最底辺冒険者のまったりダンジョン散歩

塩塚 和人

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第3話 Fランク、弟子を連れて散歩する

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◆ 1.弟子、早速ついてくる

翌朝。
ユウトがギルドに行くと、ミナが入口で正座して待っていた。

「ユウト師匠っ! ……おはようございます!!」

「お、おはよう……。なんで正座?」

「覚悟です! ダンジョン散歩術、学ばせてください!」

(散歩術なんてないんだけどなぁ……)

苦笑しながら受付に向かうと、ミユキが全力で止めに入った。

「ユウトさん、今日こそはお願いですから“何も起こさないで”ください!」

「起こしてないよ。昨日も散歩してただけだし」

「だからです!!!」

今日は心なしかギルド全体の視線が刺さる。
“今日のユウトの被害者は誰だ”みたいな空気だ。

ミユキ
「ミナさん、ユウトさんの後ろを歩いちゃだめです!
 危険ですから、できるだけ距離を――」

ユウト
「え、後ろ危ないの?」

ミユキ
「あなたが一番危ないんです!!」

◆ 2.ミナ、緊張の初ダンジョン同行

ダンジョン入口。

「ひ、ひぃ……今日も暗い……!」

「大丈夫大丈夫。明かりもあるし、道も整ってるし」

ユウトはいつも通り軽い足取り。
ミナはガチガチの初心者丸出しでついていく。

〈ポヨン〉

スライムが跳ねてきた。

ミナ
「し、師匠っ! 戦闘が……!」

ユウト
「あ、こいつさっきもいた気がするなぁ。元気だねぇ」

〈ポヨ〉(そのままユウトの横を通過)

ミナ
「こ、攻撃されなかった!? な、なんで!?」

ユウト
「なんでだろうね?」

ミナ
「それが知りたいんです!!」

◆ 3.想定外の“弟子効果”

しばらく歩いていると、通路の先に巨大な影があった。

〈グゴ……〉

牙を持つ大型モンスター“ストーンウルフ”だ。

ミナ
「し、師匠!? これ中層の魔物ですよ!!」

ユウト
「あれ? 昨日ベアさんがいたせいかな。道、変わってる?」

ミナ
「師匠が原因ですよ!!」

しかしストーンウルフはユウトを見た瞬間――。

〈……ヒュンッ!!〉

来た道を全力で引き返した。

ミナ
「逃げたぁぁぁぁ!! な、なんで!? 師匠何したの!?」

ユウト
「別に? 歩いてただけ」

ミナ
「歩くのどんだけ強いんですか!!」

◆ 4.事件発生:ミナが消えた

そのあとしばらくは順調だった。

が――分岐路で、ふとユウトが振り返ると。

「……あれ? ミナ?」

いない。

代わりに、地面に落ちているのはミナの小さなバッグと、
謎の引きずり跡。

「あー……迷子になったか。俺の弟子なのに迷子ってどうなんだろ」

(いや、ユウトのせいで周囲のモンスターが逃げて通路の構造変わるんだが?)

と、この状況を理解できる者はいない。

少し進むと、奥から叫び声が聞こえた。

「た、助けて――!! 師匠ーー!!」

「ああいたいた」

ユウトは気軽に声を張ると、反響した音に反応して、
ミナの叫び声が一層激しくなる。

「ど、どこですか師匠! 足元に穴があって!!
 変な部屋に落ちて、変な魔法陣が!!」

「あー……それ、たぶん“隠し訓練部屋”だね」

「え、訓練って……うわぁあ何か出たぁああ!!」

◆ 5.まさかの“訓練モード破壊”

ユウトがミナのもとに辿り着くと、

訓練用のホログラムモンスターが
彼女にゆっくり迫っていた。

訓練とはいえ、初心者には十分怖い。

「おー、これ初心者向けのやつだよ。大丈夫大丈夫」

「ひィィィィ! 師匠ぉお!!」

ユウトが部屋に入った瞬間――。

ピシッ……ピキピキ……!

ホログラムが震え、
訓練装置の魔力回路が一斉に光り出した。

〈……ピ……エラー……〉

〈ガガガガガ!!〉

そして。

ドーーン!!

訓練室の装置が一斉にショートし、煙を吹き上げた。

ミナ
「な、な、なんで壊れたんですかぁあ!!」

ユウト
「いやぁ……なんか相性悪かったのかな?」

(正確には、ユウトの無自覚な“気配ゼロ&魔力圧の異常値”に
訓練装置がバグっただけである)

◆ 6.ギルド、また騒ぐ

ギルド職員
「誰ですか!? 誰が訓練室を爆破したんですか!?」
「最新式の魔力制御装置が……!!」
「今日の請求書、またとんでもない金額ですよ!!」

ユウト
「えーと……ごめん?」

ミナ
「師匠は悪くないです! 私が落ちたせいで……!」

ミユキ
「……ユウトさん。今日だけで“Bランク武闘熊懐柔事件”に続き、
 “訓練室爆破事件”が追加されました」

ユウト
「俺そんなに迷惑かけてる?」

ギルド
「かけてます!!!」

◆ ◆ ◆

こうしてユウトとミナの“弟子修行”は、
初日からギルドに大損害を与える結果となった。

しかし、それでもミナは師匠に言った。

「わ、私……もっと強くなりたいので……
 明日もついて行きます!!」

ユウト
「うん、明日はもっとゆっくり歩こうね」

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