異常と生活している私の方が『異常』かもしれない。

ヨロ航

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ーー『異常』の1週間目 ーー

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朝が来た。
いつも通りの朝。
「めんどくさい…」

私は田中 響。至って『普通』の人間です。
会社では業務に不満はありませんが、上司からは愚痴、同僚からは相談と周りの人間関係に若干だが辟易しているくらいです。

そんな私の新たな悩みはなんか『微妙に存在感』があるこのです。



『…………………………………………』
この『黒いローブ』を纏った何かが部屋の隅に居座っていることです…



初日から1週間経ちましたが、変化なし。
私に害を与えるでもなく、何かを要求してくるでもなく、微動だにしません。

最初の3日目までは一々お伺い(私の部屋なのに)立てていましたが、あまりの『反応』の無さに私自身『もういいや』ってなりました。

ですが今日の朝は違いました。



『…………………………………』
座ってる。



……え?なんで?疲れた?1週間立ちっぱで?

それにしては

『…………………………………』
いつも通り前を見据えている。
背筋ピンとしてる。
なんというか『儀式』みたいに見えました。

でも一応声はかけます。

「あの…ひょっとして疲れました?」


『……………………………』


(相変わらず返事ねえなコイツ)
しかしもし疲れているのなら……

私はコップに水1杯となんとなく『お供え』的な感じで別のグラスにウィスキーを半杯
ウィスキーは私が好きだからです。あとこの人の風貌とウィスキーは合います(?)


「良ければどうぞ」
とりあえずお盆に乗せて目の前に起きます。

『……………………………』

返事、反応なし。
やはり今日もこの方はいつも通り。

「…では私は会社に行ってきます。特にあれならそのままにしてください。」

ー無視ー

私は会社に向かいます(しんど~)

ーーーーーーーーーーーーーーーー
帰宅


玄関のドアを開けるのに鍵を探します。
でも違和感を感じました。
部屋から。

(?…?…なんか…なんか変。だけど息苦しいとかはない…)

玄関を開けて、中に入りますが最初に目に着いたのは『明らかにおかしいテーブル』です。

なぜなら



コップ(空)
グラス(空)
そんで『綺麗』に洗ってある。



「!?」
なんですか!?
これは!?
罠ですか!?
明らかに朝にあの方に渡した物が置いてある!

つーか『動く』の!?(まあ座っていたけども)
動けるんですかアレ!?

恐る恐る目を向けますが

『………………………………』

今は立っています。今日もいつも通り。

「……美味しかったですか?」

ー無視ー

でも…朝渡した水とお酒を飲んで、洗って、テーブルの真ん中に綺麗な状態で置く……


「感謝?義理?マニュアル?」
やっぱり、この方はよく分かりません。

しかし私の中である大事な事を思い出しました。ピコーンって。


「……呼び方…名前」


なんとなく自分でも可笑しいと思います。
しかし朝からの今の現状を見て感じてしまったのです。


『同居人』
そう同居人です。ならば名前や呼び方は決めた方が声掛けしやすいです。


「……スミス。」
私はポツリと呟きます。


「スミスさん。とこれからは呼んでいいですか?」

無論ー無視ー

この方は勝手(?)なので私も勝手に喋ります。

「ちなみに由来は部屋の隅にいる人→部屋の隅の人→へやのすみ→ヘヤノ・スミス→スミスさん、です。」


『……………………………………………………』


えへん
我ながら良い発想です。文句は多分ないでしょう。


『………………………………………………………』


ほら、ない。
(多分ただの無視ですが)


「ではよろしくお願いします。スミスさん。」
頭を下げる。

すると…

僅かに床が軋む音が聞こえました。
何かが少し『動いたような』

私はバッと顔をあげますが、そこにはいつもの無言・無造作・無表情の彼(?)

……まあ良いです。

少し色々ありましたがーー


今日も『スミスさん』はいつも通りです。
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