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「…んっ、なんだか、苦し………」
「潰されそうよね!」
違う。確かにいろんな人が後ろから前から左右から押し合いへし合いしているが、それによる苦しさとは全く異なっている、と思う。
「………?」
なんだろうか、この頭痛は、耳鳴りは。
「はいはーい。これ以上は近づいちゃダメねー」
ずっと遠くから、喧騒をくぐって、そんな声がした。
頭が真っ白になっていく。
これは………。
「そ!れ!で!は!!…し!あ!い!を!!……は!じ!め!ま!す!!!」
波がうねった。
俺の意識はほとんどなくなってしまって、ただ向こうを見つめる。
一瞬黒い炎が見え、そしてまた消えた。
「ウォォォォォォ!!!」
ほとんど何も分からないにほ関わらず、その場にいた誰もが叫び回っていた。
気がつけば、俺もそれに参加している。
そして、感覚が消失した。
…………………
「ピーマン、ピーマン、ねぇ、ほら、起きなよぉ」
「………?」
「もうすぐ出発だよー?」
「えっ」
目を開けた。協会の中である。
「……あ」
「どうしたの?」
ナズハが俺の目の前で手をヒラヒラ泳がす。
「…夢、か」
「ん?どんな夢見たの?」
「いや、何でもない」
「えー、言ってみてよ」
俺が黙っていると、彼女はちょっと人差し指を顎に当てて考える仕草をした。
「…例えばー、協会長の試合を、よだれ垂らしたり目をひん剥いたりしながら応援してた夢とか?」
「!!っおい!それは夢じゃねぇのか?!」
俺が肩を揺すると、ナズハはヘラヘラと笑った。
「やっぱり図星なんだ。あれ、実際にあったことだよ」
「…………はぁ………」
俺は脱力して息をついた。
「えっとね、地方から来た人の中に、『魅了』っていう術を持ってた人がいたの。それで、協会長はその人を利用して、金儲けしたのね」
「……………」
「かなり貯まったよ。そのお金の一部を使ってさっき遊んで来たトコ」
「………今、何時?」
「えっとぉ、14時28分」
クラっと目の前が暗転した。あれから今まで二度寝していたということらしい。
「…地方の子もね、お金を分けてあげると、すっごい喜んでたよ。試合では誰一人として協会長に触れられもしなかったんだけど」
「……そっか」
「うん。観客の中にさして金を持て余してそうな人はいないように見えたんだけど、『お金下さい』って言ってみたら、まぁ出てくるわ出てくるわ。凄かったよ。鼻血がこびりついてるお札もあったけど」
「……………」
「まぁ、自主的にお金をくれたんだから良いんだけどさぁ。ちょっと申し訳なくなっちゃった。『魅了』されたせいで、服が買えなくなった人とか多いと思う」
ナズハは楽しそうに説明した。
「…なぁ、どこで遊んだんだ?」
「協会長オススメのゲーセン」
「ふーん」
『身体強化』で動体視力を無闇に上げまくってUFOキャッチャーに臨む協会長の姿が目に浮かぶ。
UFOキャッチャーならまだ効果は薄いかもしれないが、モグラ叩きとか、大変なことになりそう。
「潰されそうよね!」
違う。確かにいろんな人が後ろから前から左右から押し合いへし合いしているが、それによる苦しさとは全く異なっている、と思う。
「………?」
なんだろうか、この頭痛は、耳鳴りは。
「はいはーい。これ以上は近づいちゃダメねー」
ずっと遠くから、喧騒をくぐって、そんな声がした。
頭が真っ白になっていく。
これは………。
「そ!れ!で!は!!…し!あ!い!を!!……は!じ!め!ま!す!!!」
波がうねった。
俺の意識はほとんどなくなってしまって、ただ向こうを見つめる。
一瞬黒い炎が見え、そしてまた消えた。
「ウォォォォォォ!!!」
ほとんど何も分からないにほ関わらず、その場にいた誰もが叫び回っていた。
気がつけば、俺もそれに参加している。
そして、感覚が消失した。
…………………
「ピーマン、ピーマン、ねぇ、ほら、起きなよぉ」
「………?」
「もうすぐ出発だよー?」
「えっ」
目を開けた。協会の中である。
「……あ」
「どうしたの?」
ナズハが俺の目の前で手をヒラヒラ泳がす。
「…夢、か」
「ん?どんな夢見たの?」
「いや、何でもない」
「えー、言ってみてよ」
俺が黙っていると、彼女はちょっと人差し指を顎に当てて考える仕草をした。
「…例えばー、協会長の試合を、よだれ垂らしたり目をひん剥いたりしながら応援してた夢とか?」
「!!っおい!それは夢じゃねぇのか?!」
俺が肩を揺すると、ナズハはヘラヘラと笑った。
「やっぱり図星なんだ。あれ、実際にあったことだよ」
「…………はぁ………」
俺は脱力して息をついた。
「えっとね、地方から来た人の中に、『魅了』っていう術を持ってた人がいたの。それで、協会長はその人を利用して、金儲けしたのね」
「……………」
「かなり貯まったよ。そのお金の一部を使ってさっき遊んで来たトコ」
「………今、何時?」
「えっとぉ、14時28分」
クラっと目の前が暗転した。あれから今まで二度寝していたということらしい。
「…地方の子もね、お金を分けてあげると、すっごい喜んでたよ。試合では誰一人として協会長に触れられもしなかったんだけど」
「……そっか」
「うん。観客の中にさして金を持て余してそうな人はいないように見えたんだけど、『お金下さい』って言ってみたら、まぁ出てくるわ出てくるわ。凄かったよ。鼻血がこびりついてるお札もあったけど」
「……………」
「まぁ、自主的にお金をくれたんだから良いんだけどさぁ。ちょっと申し訳なくなっちゃった。『魅了』されたせいで、服が買えなくなった人とか多いと思う」
ナズハは楽しそうに説明した。
「…なぁ、どこで遊んだんだ?」
「協会長オススメのゲーセン」
「ふーん」
『身体強化』で動体視力を無闇に上げまくってUFOキャッチャーに臨む協会長の姿が目に浮かぶ。
UFOキャッチャーならまだ効果は薄いかもしれないが、モグラ叩きとか、大変なことになりそう。
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