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おじいさんは俺が立つことを待ち遠しにしている。
俺も立ちたい。
歩きたい。
桃だけで筋肉がつくのかどうか。
それに冷たい川で冷やしているだけで衛生面は大丈夫なのだろうか。
それでも俺は元気だった。
でも、そろそろ桃の汁は無くなりそうだな。
ふむ、でも乳は嫌だな。
そう思っていたある日。
おばあさんが家に飛び込んできた。
「これ!これを見ておくれええ!」
何事かと思うと、両手に大きな桃を抱えている。
「おおお!」
おじいさんも叫ぶ。
今までの汁を飲みきるという時に新しく加わるというのは、やはり神様のお恵みだということで、おじいさんとおばあさんはハイタッチした。
「やはり桃を与えて育てるというのはあっていたんじゃ!」おじいさんは誰にともなく言う。
「本当ですねえ」おばあさんも言う。
「いや待て、この中にまた赤ん坊がおるかもしれん。ゆっくりやろう、ゆっくり」
おじいさんは丁寧に新しい桃を切り開く。
いいなあ、俺もあんな風にしてもらえたなら、もう少し安心できたと思うけどな。
開いた桃の中は…
「空っぽじゃ」おじいさんはヘトヘトと座り込んでしまう。
「いいじゃないですか。また一人増えたのでは、手に負えませんから」
おばあさんが慰めると、おじいさんも
「そうじゃそうじゃ、わしらもトシじゃから」といってガハハと笑った。
俺も立ちたい。
歩きたい。
桃だけで筋肉がつくのかどうか。
それに冷たい川で冷やしているだけで衛生面は大丈夫なのだろうか。
それでも俺は元気だった。
でも、そろそろ桃の汁は無くなりそうだな。
ふむ、でも乳は嫌だな。
そう思っていたある日。
おばあさんが家に飛び込んできた。
「これ!これを見ておくれええ!」
何事かと思うと、両手に大きな桃を抱えている。
「おおお!」
おじいさんも叫ぶ。
今までの汁を飲みきるという時に新しく加わるというのは、やはり神様のお恵みだということで、おじいさんとおばあさんはハイタッチした。
「やはり桃を与えて育てるというのはあっていたんじゃ!」おじいさんは誰にともなく言う。
「本当ですねえ」おばあさんも言う。
「いや待て、この中にまた赤ん坊がおるかもしれん。ゆっくりやろう、ゆっくり」
おじいさんは丁寧に新しい桃を切り開く。
いいなあ、俺もあんな風にしてもらえたなら、もう少し安心できたと思うけどな。
開いた桃の中は…
「空っぽじゃ」おじいさんはヘトヘトと座り込んでしまう。
「いいじゃないですか。また一人増えたのでは、手に負えませんから」
おばあさんが慰めると、おじいさんも
「そうじゃそうじゃ、わしらもトシじゃから」といってガハハと笑った。
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