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男はそのまま「ば、化け物!」と叫んでまた何発か打ったが、私にはそんなもの通用しない。
蓑にすっかり包まれている俺は、はたから見れば不気味であろう。
ふふふ。
男は「うわー!」と言って逃げていった。

男が逃げてしばらく経つと、俺は目から涙をこぼした。
「いてー、いてーよーオオオ」
そばの木に寄りかかってかぶっていた蓑を脱ぐ。
キジは脱いだ途端バサバサと音を立てて地面に降り立った。

千鶴とおじいさんはあまりに多くのキビダンゴを作りすぎたのだ。
どれだけ袋に詰めても無くなる気配がなかった。
しかしせっかく作ったのだから、持って行かせたい。
そういうおじいさんの考えで、残ったキビダンゴは蓑に全てくっつけた。

つまり着物と蓑の間にキビダンゴガードがあったということだ。
これの利点はもう一つあって、キビダンゴの厚さ分俺の体が大きく見えて、なんだか威圧感があるのだ。
えっへん。
キビダンゴにいくつもの弾がめり込んでいる。
衝撃で俺の背中も赤い。
痛かったなぁ。
キビダンゴガードがなかったら今頃流血してキジ取られてたぞ。
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