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キジはしばらくぐったりしていたが、やがて首をぐいっとあげて、それから足も上げた。
フラフラしている。
俺が助けようとすると、それを目で制した。

「キビダンゴを一個貰えば、元気になると思うんだけど」
キジは残念そうにそう言って、私の方を見た。

わあ、選択肢が一つだ。
わかりやすくて助かります。
俺はキビダンゴを半分渡した。

キジはガツガツ食べて、それが終わると、うんしょと伸びをした。
「それで、あんたは私をどうする気なの?」
キジがやっと聞いてきた。

「えーと、鬼退治に同行してもらうつもりなんだけど」
「鬼退治!」
キジは羽をばさっと広げてこちらを見た。
「…って何?」
俺は返答に窮した。
どうしよう。

「えっと、鬼を退治することなのだけれど」
「鬼って…何なの?」
「肌が赤くてツノが生えてて舌がちろちろしているのだけれど」
ああ、とキジがうなづいた。繋がったらしい。
「イグアナね」

俺とキジは進みだした。
キジは飛べばいいのに、イッチョマエに俺の肩にとまっている。
しばらく歩くと、「動くな」と声がかかった。

振り向くと、先ほどの村の人と思われる人物が銃を構えている。
その銃のセンサーは的確に俺を捉えている。
「何の用です」俺はなるべく落ち着いていった。
焦ったらズドンだぞ。

「そのキジを置いていけ」
男は低い声で言った。
「何故ですか、お、ぼ、俺が買ったのに」
時々俺と言えばいいのか僕と言えばいいのかわからなくなる。

「俺の生活がかかってるんだ」
男は引き金にかけている手に力を強めた。
こういうことが分かるということだから俺とその人とはあまり離れていない。
俺はやれやれと進行方向を向いた。

何をするでもない、進むしかないのだ。
村の人は焦ったことだろう。
「この野郎、撃つぞ、証拠なんて残らないんだからな!」などと叫んでいる。
そうすることで、自分を奮い立たせているらしい。

パンと乾いた音が響く。
その弾は確実に俺を打ち抜いた、はずだったのだが。
「…何故だ?」
俺は歩き続ける。
痛いそぶりも見せない。
男は大層驚いたようだった。
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