運命の終着点

めぐみ

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「あっ、んあっ♡や、ぁあっ!ゲイル…っ♡っ、も、おかしく…っなりそ…っ!」

「は、あ…ッ、ン、またっ、イきそう?」

必死に首を縦に振ると顎を持ち上げられて食べられそうなくらい濃厚なキスをされる。唾液を流し込まれ、喉奥まで舌を押し込まれて、全身が彼の体液で満たされるような暴力的なキス。口の中でタバコの苦味が広がったが自然とそれを嫌だとは思わなかった。
これだけ乱暴に彼で満たされたらそれ以外のことは考えられなくなって彼にしがみつきながら絶頂した。

「ハ、ん…っ、キス、されながらイくの可愛い…っ、お、れも…っもう…ッぐ、ァアッ!…あぁ、あぁあ…っ」

それを追うように彼も私を抱きしめながらお腹の上に射精した。白くてダマになる程濃い精液がたっぷりと降りかかる。ゲイルはそのままぐったりと私に体重をかけて倒れこみ、腹部は彼の精液で互いにぐちゃぐちゃになった。

「すげー…気持ち良かった…」

呼吸を整えながら私に触れるゲイルの肌の感触がベトベトしているのに不快に感じなくて、彼の肩に擦り寄ると先ほどよりも強く私を抱きしめた。

「ヴァレリア…無理矢理してごめんな?体、大丈夫か?」

「い、まさら…っ」

笑ってそう答えるとどこからともなくハラハラと花びらが舞って2人に降りかかる。彼の魔力がまた感情に左右されているのだろう。

「あー…もう、これ恥ずかしいな」

ゲイルは照れ隠しをするように額に手を当てて顔を逸らした。しかし植物は落ち着くどころか私の脚にツルを絡ませてくる。なんだかその姿が愛おしく感じてしまう。

「ヴァレリア…俺の魔力全部吸い取って、そしたら多分消えるから」

自分の無意識の粗相に耐え切れないかのようにゲイルは私の手を掴んで自分の胸に触れさせたが私はそのまま吸い取らず彼の背中にしがみついた。

「このままでいい」

「いや、その…俺が恥ずかしいんだけど…」

「散々人を恥ずかしい目に合わせといて、不公平だからこのまま!」

押し負けたのかゲイルはそれ以上言わず、私の隣に横たわった。

「ヴァレリア…愛してる、おやすみ」

砂糖菓子のような甘ったるい言葉を吐かれて、彼の腕の中で眠気と余韻に浸る。これだけ優しさと甘さを向けられては、なんだか感情のはっきりしない自分がずるいように思えた。







鼻腔を甘い香りと草木の爽やかな香りがくすぐった。確かに家の裏はすぐ森だが、こんなにはっきりと自然の匂いを感じることはない。ベッドの上で身を捩ると体に草の感触を感じて慌てて飛び起きた。

「なっ…」

目を開けると部屋一面が木々に覆われ、床は芝生と花が生い茂っていた。腰には逃すまいとツタが絡みついてそれは隣でまだ気持ちよさそうに眠っている彼と繋がっていた。

「ちょっ、ちょっとゲイル…っ!起きてよっ!というかこの腰…っ!」

「ん、ヴァレ…リア…、おはよ」

彼に触れて魔力を吸い取ればいいだけのことだが、私は気が動転して慌ててゲイルを叩き起こした。寝ぼけ眼のゲイルは体を起き上がらせて私を見るとふにゃりと顔を緩ませて、起きがけ一発目から抱き寄せて深いキスをかましてきた。

「おい!廊下まで生い茂ったこの植物は…ッ!」

そのキスのタイミングは最悪で、どうやら廊下にまで達していた植物を見て慌てて入ってきた父に思いっきり見られてしまう。自分の娘と男が、朝から裸でベッドの上で濃厚なキスを交わしているシーンを。

「ゲイルダメだってば!!!!」

彼の体を突き飛ばし、その拍子に魔力も全て奪い取る。そこでやっと草木は消え去り、いつも通りの部屋へと戻る。しかしそうしたところで弁明などできない状況だ。父の視線の先には昨日脱がされた服があって顔から血の気が引くのが分かった。

「叔父さん?」

そんな父に追い討ちをかけるようにゲイルは声をかけ、全身の毛穴から汗が噴き出す感覚に陥った。自分が手を出しましたと言わんばかりの様相で何をしでかすのかと思うと下手に口出しすることもできない。

「まぁ、これだけそばにいて男女の関係になるなという方が難しいか」

しかし父は予想外にもため息をついたのちに、落ち着いた声色で歩み寄ってゲイルの顔面にバスローブを叩きつけた。

「だが覚えておくといい、火遊びのつもりなら必ず後悔させてやる。娘を傷つけたり、娘が他の男を選ぶようなことがあれば…お前を生かしておく必要はない。村人総出になってでも息の根を止めてやるから覚悟しておくんだな」

落ち着いた、なんていうのはとんでもない勘違いだったようだ。視線だけで人を殺せそうなほどにゲイルを強く睨みつけてとんでもない言葉を浴びせた。

「そんなつもりは毛頭ありませんのでご安心を。彼女のためなら命など惜しくないほど愛していますよ、神官様」

ゲイルはにっこりと笑って答えたがその場の空気は極寒だ。この場でどういう顔をしていいか分からないでいるとゲイルの腕が私を強く引き寄せて頭を撫でた。

「大丈夫、安心しろ…お前が怖がる必要はないから」

その優しい声色が凍りついた空気を溶かして包み込んでくれるようだ。彼の言葉通り安心してその胸に擦り寄った。

「娘ももう子供ではない。娘がいいなら、私は止めないが…互いに婚姻を結ぶ気があるのか?」

「私はありますが…彼女にはまだ心の整理が必要でしょう」

ゲイルの手がそっと私の肩を包み込んでバスローブを纏わせた。私が前の彼のことをどこかで思っていることなんて彼は察していて…急かさないでくれているのだと感じた。

「彼女の心の整理がつくまで私は待ちますし、心が癒せるならなんだってします。それまでは神官様にもお時間をいただきたいのです」

「…せいぜい私を失望させないでくれ。」

父は大きく息を吐いてそう言うと部屋から立ち去っていった。重い空気から逃れられた私はそこでやっと呼吸ができたような気がする。だけどいろいろ思い返すととんでもない話をしていた気がする。
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