婚約破棄?いいですよ。ですが、次期王を決めるのは私ですので

水中 沈

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「コメット、今ここで君との婚約を破棄する!!」

建国記念パーティーの最中、私の婚約者であり、第一王子のエドワード様は人目も気にせずに大声でそう言った。
彼の傍らでは、伯爵令嬢モニカがべったりと張り付いている。

国を挙げての祝いの日にこんな大騒ぎを起さなくても良いだろうに。
彼らには怪訝そうな顔をする貴族たちの事が見えていないらしい。

はあ、と一つため息を吐いて、静かにエドワード様に尋ねる。

「理由を聞いてもよろしいでしょうか」

「理由?自分が何をしたのか分かっていないのか!!
君は。いや、君たちは寄ってたかってモニカを苛めた。そうだろう?」

小さく震えるモニカを抱きしめたエドワード様は、私を含めた何人かのご令嬢を指差し、その罪状を述べていく。

お前は、モニカだけお茶会に誘わなかった。
お前は、モニカに話しかけられても無視をした。
お前は、モニカの悪口を広めた。

そして私は…モニカに扇子を向けて脅した。と


「そうですね」

苛めたか、苛めなかったか。
そう問われれば、答えはもちろん『はい苛めました』だ。
 
しかし、勝手に被害者面するのはやめて欲しい。
彼女はここでのルールを守らなかった。

図書館で大声を出して騒げば外につまみ出されるのと同じ。
彼女は何度注意されても決まりを守らなかったから私たちの輪から排除された。
ただ、それだけの事だった。
 
婚約者がいる男性にアプローチをかける。
お茶会では、主催者の話を遮り、自分の話ばかりする。
パーティーの際、あえて婚約者がいる男性と衣装を合わせてくる。

こんな頭のおかしいご令嬢、誰が仲良くしようと思うのだろう?逆に教えて欲しいわ。

(でも、いいのかしら?私と婚約破棄をするってことは、つまりそう言う事なんだけれど…)

王になる為、エドワード様がいままでどれだけ努力を積み上げてきたかを私は知っている。
”あの”事を知っているのかは分からないけれど、今ここで婚約を破棄してしまうには惜しい。
悩む私に彼は言った。 

「俺は真実の愛を見つけた!コメットではなく、モニカと結婚する!」

『真実の愛を見つけた』そう。それがあなたの答えなのね。

「いいですよ。婚約、破棄しましょう」

私は笑顔で書類にサインをした。
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