2 / 4
2
せっかくのお祝いパーティーは葬式の様な雰囲気で幕を閉じた。
「サインをしただけなのに、疲れたわ」
自室の椅子に深く座り込む。
私は窓際にそっと目をやった。
(今日は来ていないのね)
怪我をした小鳥を助けたら、翌日手紙を持ってきた。
気まぐれで返事を返せば、小鳥は翌日も私の元に手紙を運び、それからずっと見知らぬだれかとの文通が続いている。
妃教育に疲れた時、優しく励ましてくれたり、たまに、季節の花やアクセサリーなんかをプレゼントしてくれた。
気まぐれで始めたのに、いつの間にか、手紙が届くのが楽しみで仕方がなくなってしまっていたのだ。
空は既に暗く、小鳥が飛ぶには難しいだろう。
(手紙を楽しみにしていたんだけれど…仕方ないわね)
真実の愛を見つけた。と叫んだエドワード様が羨ましい。
私もこの秘密の文通相手のような人と結婚したかった…。
けれど、私は恋愛結婚をする事は無いだろう。後悔はしていないけれど、少し寂しかった。
涙が一つポロリと落ちた時、ノックの音がした。
「夜分遅くにすみません、僕です、シオンです」
慌てて涙を拭き扉へと向かう。
第二王子のシオン様。こんな夜遅くに一体どうしたというのだろうか?
扉の向こうの彼は、酷く慌てた様子だった
「どうしたの?」
「…手紙より、こちらの方が早いと思ったので」
手紙という言葉に固まる。
シオン様と手紙のやり取りをしていた記憶はない。
エドワード様の婚約者である私がシオン様と文通するのはルール違反だからだ。
それに、彼の肩にはいつもの小鳥が羽を休めている。
「まあ!…まさかあなたが手紙の主だったのね!」
「黙っていてすみません。それから、今日のパーティーの時も…」
相手が兄のエドワードでなければぶん殴ってやったのに。と悔しそうにシオン様は言った。
パーティの最中に物騒な事を考えていたなんて…。思わずくすりと笑みがこぼれる。
「良かった。笑ってくれましたね」
シオン様がくしゃりと人懐っこそうな笑みを浮かべる。
「あなたはいつも私を笑顔にしてくれるわ」
感謝してるの。と答えると、突然シオン様が私の前にひざまずいた。
「婚約破棄をしてお辛い時期にすみません。ですが、どうか聞いてください
…僕の花嫁になってくださいませんか?」
ずっと…ずっと前からお慕いしていました。
祈る様にそう言って私の手を取る。
ずっと夢に見ていた手紙の主との結婚。
それに、幼いころから見ていたから知っている。
シオン様は聡明で優しく次期王にも相応しい方。
でも、私は、素直にその手を取って良いものか迷った。
「でも、私はシオン様より年を取っているわ」
言い訳が口をついて出る。
「それがなんだと言うのでしょうか」
「モニカみたいな愛嬌も無いし…」
「まさか!それは兄の力不足です」
それに、それに。と言い訳を続ける私に彼は言った。
「あなたじゃないと、嫌なんです」
今まで遠くからただ見つめる事だけしか出来ませんでした。
婚約破棄で傷ついたあなたの隙を付くのは申し訳ないと思っていますが、僕には今しかチャンスがありません。
熱を帯びた表情でシオン様が私を見つめる。
「本当に私で良いのね。後悔しない?」
用心深く私は問う。
「勿論。後悔なんてするはずがありません」
「…分かったわ。降参よ」
「やったー!!」
子供みたいな声を上げてシオン様が私の体を持ち上げる。
ちょっと待って、いくら何でも喜びすぎじゃない?
「父上に報告します!」
「え?ちょっと、私を下ろしてからぁぁぁああ!!」
そのまま私を横抱きにして、シオン様は廊下を走っていく。
すれ違う侍女と執事が目を丸くしていた。
「サインをしただけなのに、疲れたわ」
自室の椅子に深く座り込む。
私は窓際にそっと目をやった。
(今日は来ていないのね)
怪我をした小鳥を助けたら、翌日手紙を持ってきた。
気まぐれで返事を返せば、小鳥は翌日も私の元に手紙を運び、それからずっと見知らぬだれかとの文通が続いている。
妃教育に疲れた時、優しく励ましてくれたり、たまに、季節の花やアクセサリーなんかをプレゼントしてくれた。
気まぐれで始めたのに、いつの間にか、手紙が届くのが楽しみで仕方がなくなってしまっていたのだ。
空は既に暗く、小鳥が飛ぶには難しいだろう。
(手紙を楽しみにしていたんだけれど…仕方ないわね)
真実の愛を見つけた。と叫んだエドワード様が羨ましい。
私もこの秘密の文通相手のような人と結婚したかった…。
けれど、私は恋愛結婚をする事は無いだろう。後悔はしていないけれど、少し寂しかった。
涙が一つポロリと落ちた時、ノックの音がした。
「夜分遅くにすみません、僕です、シオンです」
慌てて涙を拭き扉へと向かう。
第二王子のシオン様。こんな夜遅くに一体どうしたというのだろうか?
扉の向こうの彼は、酷く慌てた様子だった
「どうしたの?」
「…手紙より、こちらの方が早いと思ったので」
手紙という言葉に固まる。
シオン様と手紙のやり取りをしていた記憶はない。
エドワード様の婚約者である私がシオン様と文通するのはルール違反だからだ。
それに、彼の肩にはいつもの小鳥が羽を休めている。
「まあ!…まさかあなたが手紙の主だったのね!」
「黙っていてすみません。それから、今日のパーティーの時も…」
相手が兄のエドワードでなければぶん殴ってやったのに。と悔しそうにシオン様は言った。
パーティの最中に物騒な事を考えていたなんて…。思わずくすりと笑みがこぼれる。
「良かった。笑ってくれましたね」
シオン様がくしゃりと人懐っこそうな笑みを浮かべる。
「あなたはいつも私を笑顔にしてくれるわ」
感謝してるの。と答えると、突然シオン様が私の前にひざまずいた。
「婚約破棄をしてお辛い時期にすみません。ですが、どうか聞いてください
…僕の花嫁になってくださいませんか?」
ずっと…ずっと前からお慕いしていました。
祈る様にそう言って私の手を取る。
ずっと夢に見ていた手紙の主との結婚。
それに、幼いころから見ていたから知っている。
シオン様は聡明で優しく次期王にも相応しい方。
でも、私は、素直にその手を取って良いものか迷った。
「でも、私はシオン様より年を取っているわ」
言い訳が口をついて出る。
「それがなんだと言うのでしょうか」
「モニカみたいな愛嬌も無いし…」
「まさか!それは兄の力不足です」
それに、それに。と言い訳を続ける私に彼は言った。
「あなたじゃないと、嫌なんです」
今まで遠くからただ見つめる事だけしか出来ませんでした。
婚約破棄で傷ついたあなたの隙を付くのは申し訳ないと思っていますが、僕には今しかチャンスがありません。
熱を帯びた表情でシオン様が私を見つめる。
「本当に私で良いのね。後悔しない?」
用心深く私は問う。
「勿論。後悔なんてするはずがありません」
「…分かったわ。降参よ」
「やったー!!」
子供みたいな声を上げてシオン様が私の体を持ち上げる。
ちょっと待って、いくら何でも喜びすぎじゃない?
「父上に報告します!」
「え?ちょっと、私を下ろしてからぁぁぁああ!!」
そのまま私を横抱きにして、シオン様は廊下を走っていく。
すれ違う侍女と執事が目を丸くしていた。
あなたにおすすめの小説
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
婚約破棄ですって?私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?
花見 有
恋愛
「ダーシャ!お前との婚約を破棄する!!」
伯爵令嬢のダーシャ・パレデスは、婚約者であるアーモス・ディデス侯爵令息から、突然に婚約破棄を言い渡された。
婚約破棄ですって?アーモス様は私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?
殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~
和泉鷹央
恋愛
忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。
彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。
本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。
この頃からだ。
姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。
あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。
それまではとても物わかりのよい子だったのに。
半年後――。
オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。
サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。
オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……
最後はハッピーエンドです。
別の投稿サイトでも掲載しています。
婚約破棄された私と侯爵子息様〜刺繍も私も、貴方が離さない〜
ナナミ
恋愛
「ディアナ!お前との婚約を破棄する!」
ディアナ・コヴァー伯爵令嬢は、婚約者である伯爵子息に断罪され、婚約破棄されてしまった。
ある子爵令嬢に嫌がらせをしていたと言うことである。彼女には身に覚えのない冤罪であった。
自分は、やっていない、と言っても、婚約者は信じない。
途方に暮れるディアナ。そんな時、美形の侯爵子息であるフレット・ファンエスがやって来て……。
伯爵令嬢×美形侯爵子息の恋愛ファンタジー。
「やはり鍛えることは、大切だな」
イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」
その日、一つのお見合いがあった。
ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。
クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。
そして互いに挨拶を交わすその場にて。
ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。
けれども……――。
「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」
ようやく自由にしてくださって感謝いたします
一ノ瀬和葉
恋愛
華やかな舞踏会の夜、突然告げられた婚約破棄。
誰もが涙と屈辱を予想する中、令嬢の唇からこぼれたのは――思いがけない一言だった。
その瞬間から、運命は静かに、しかし決定的に動き出す。
※ご都合です、小説家になろう様でも投稿しています。
【完】今流行りの婚約破棄に婚約者が乗っかり破棄してきました!
さこの
恋愛
お前とは婚約を破棄する! と高々と宣言する婚約者様。そうですね。今流行っていますものね。愛のない結婚はしたくない! というやつでわすわね。
笑顔で受けようかしら
……それとも泣いて縋る?
それではでは後者で! 彼は単純で自分に酔っているだけで流行りに乗っただけですもの。
婚約破棄も恐らく破棄する俺カッコいい! くらいの気持ちのはず! なのでか弱いフリしてこちらから振ってあげましょう!
全11話です。執筆済み
ホットランキング入りありがとうございます
2021/09/07(* ᴗ ᴗ)