『転生勇者の俺、家族に正体を隠さず話した結果、家族も最強になった件』

アルさんのシッポ

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第1部 第3章「村の繁栄」

第14話「ノエルの成長とクラフト魔法の可能性」

第14話「ノエルの成長とクラフト魔法の可能性」


 ノエルが家族になってから一ヶ月が経った。
 その一ヶ月で、ノエルは驚くほど成長していた。
 毎朝、家族全員で外周5キロを3周するランニング。
 双子はまだ僕がバフをかけないとついてこられないけど、ノエルは最初から自分の身体強化魔法だけでついてきた。
 訓練の後は、槍術の練習。
「えい!」
 ノエルが槍を振るう。
 その動きは、一ヶ月前とは比べ物にならないほど鋭い。
「いいよ、ノエル。槍の軌道が安定してる」
「本当?」
 ノエルが嬉しそうに微笑む。
「うん。お父さんから教わった基礎がしっかりしてるからだね」
 ノエルの表情が少し曇る。
 でも、すぐに笑顔になる。
「お父さんとお母さんの分まで、強くなる」
 その決意に満ちた瞳を見て、僕は胸が熱くなった。
「ノエル、今日グランベルに行って、冒険者ギルドに登録しようか」
「本当!?」
 ノエルが目を輝かせる。
「うん。もう十分実力があるよ」
 その日の午後、僕とノエルと母さんの三人で、グランベルの町に向かった。
 ソフィア姉さんとマルク兄さんは、フォレストン村での訓練指導に行っている。
 双子は村長に預けた。
 冒険者ギルドに入ると、受付のミラさんが笑顔で迎えてくれた。
「あら、アレン様。今日は…」
 ミラさんがノエルを見る。
「こちらの方の登録ですか?」
「はい。家族になったノエルです」
「家族…ですか」
 ミラさんが少し驚く。
「はじめまして。ノエルです」
 ノエルが丁寧に頭を下げる。
「では、ギルドマスターに確認してきますね」
 しばらくして、ガルムさんが現れた。
「アレン、また家族が増えたのか」
「はい。幼馴染のノエルです」
 ガルムさんがノエルを見る。鋭い目つきで、値踏みするように。
「いくつだ?」
「七歳です」
「七歳…アレンと同じか」
 ガルムさんが腕を組む。
「では、実技試験を行う。訓練場に来い」
 訓練場では、木製の人形が設置されていた。
「あの人形を、武器で破壊しろ」
 ノエルが槍を構える。
 町で買った、ノエル用の軽量の槍だ。
 深呼吸。
 そして、身体強化魔法を発動する。
「ブースト・アップ、マイルド」
 柔らかな光がノエルを包む。
 ノエルが駆け出す。
 速い。
 人形の前で槍を構え――突き。
 ドンッ、という音と共に、人形の胴体に大きな穴が開いた。
 貫通している。
 ガルムさんが驚く。
「身体強化魔法…それも、かなりのレベルだ…」
 彼は人形に近づき、穴を確認する。
「この威力…Eランク相当はある」
 ノエルに向き直る。
「お前、いつから訓練を?」
「一ヶ月前からです」
「一ヶ月で…このレベルに…」
 ガルムさんが僕を見る。
「お前が教えたのか」
「はい」
「…やはり、お前は普通ではないな」
 ガルムさんが頷く。
「合格だ。Fランクを与える」
 ノエルが嬉しそうに微笑む。
「ありがとうございます!」
「ただし」
 ガルムさんが真剣な表情で言う。
「最初の一ヶ月は、アレンと一緒でなければ依頼を受けられない。いいな?」
「はい、わかりました」
 ギルドを出ると、ノエルが嬉しそうに飛び跳ねた。
「やった! 私、冒険者になれた!」
「おめでとう、ノエル」
 母さんも優しく微笑む。
「これから、家族みんなで冒険できるわね」
 僕たちは村への帰路についた。
 道中、ノエルが言った。
「アレン、クラフト魔法の訓練、もっとしたいな」
「うん、僕も。実は、考えてることがあるんだ」
「何?」
「村に、新しい建物を作りたいんだ。クラフト魔法で」
 ノエルが目を輝かせる。
「本当!? 私も手伝う!」
「ありがとう。二人でやれば、きっとすごいものが作れるよ」
 村に戻ると、村長に相談した。
「村長さん、クラフト魔法で建物を作ってみたいんです」
「クラフト魔法…?」
「はい。土魔法と生産系魔法を組み合わせた魔法です。これを使えば、短期間で建物を建てられます」
 村長が驚く。
「そんな魔法が…」
「まだ練習段階ですけど、小さな建物なら作れると思います」
 僕は提案する。
「まず、試しに小さな物置を作ってみます。それが成功したら、もっと大きなものに挑戦したいです」
「わかった。好きにやってくれ」
 村長が頷く。
 翌日、僕とノエルは村の外れに、小さな物置を作ることにした。
 村人たちが興味深そうに見守っている。
「まず、設計図をイメージするんだ」
 僕は説明する。
「高さ2メートル、幅3メートル、奥行き2メートルの物置」
「うん」
 ノエルが頷く。
「次に、必要な土を集める」
 僕たちは同時に土魔法を発動する。
 周囲の土が集まってくる。
「そして、魔力で成形する」
 集まった土が、魔力によって固まり、形を成していく。
 壁、床、天井。
 徐々に物置の形ができあがっていく。
 村人たちが驚きの声を上げる。
「おお…」
「魔法で建物が…」
 三十分後――
 小さな物置が完成した。
 土でできた、頑丈な物置。
 扉も、土で作った。
「できた!」
 ノエルが嬉しそうに叫ぶ。
「すごいよ、ノエル!」
 僕も嬉しくなった。
 村人たちが物置に近づいて、確認する。
「本当に…建物ができてる…」
「しかも、頑丈だ」
「これ、どれくらい持つんだ?」
「魔力で固めてあるから、普通の土壁よりずっと頑丈だよ。何十年も持つと思う」
 村長が驚愕している。
「こんな魔法が…これがあれば…」
「はい。村の建物を、どんどん作れます」
 僕は説明する。
「ただし、僕とノエル二人だけだと時間がかかります。だから…」
「だから?」
「村の中で、クラフト魔法の適性がある人を探したいんです」
 その日の午後、村人全員に魔法適性の検査を行った。
 水晶球に手を当てて、光の色を確認する。
 約200人の村人の中で――
 土属性と生産系の両方の適性を持つ者が、五人見つかった。
「すごい! 五人も!」
 ノエルが嬉しそうだ。
「これなら、クラフト魔法のチームが作れる」
 僕はその五人に声をかけた。
「みなさん、クラフト魔法を学びたいですか?」
 五人とも、目を輝かせて頷いた。
「もちろんだ!」
「建物を作る魔法なんて、すごい!」
「俺たちにもできるのか?」
「できるよ。僕とノエルが教えるから」
 翌日から、クラフト魔法の訓練が始まった。
 五人の村人――
 中年男性二人、若者二人、中年女性一人。
 みんな真剣な表情で訓練に取り組む。
「まずは、土の塊を作ることから始めます」
 僕が実演する。
「土魔法で土を集めて、魔力で固める」
 五人が挑戦する。
 最初は上手くいかなかったけど、一週間後には全員が基礎をマスターした。
「すごい! みんな上達が早い!」
 ノエルが嬉しそうだ。
 そして、二週間後――
 僕たちは、七人で協力して、小さな家を建てることに挑戦した。
「設計図を共有します。みんな、イメージして」
 僕が設計図を説明する。
 一階建て、二部屋の小さな家。
「では、始めます」
 七人で同時に魔法を発動する。
 土が集まり、形を成していく。
 でも――
 途中で魔力が切れる者が出てくる。
「すみません…もう魔力が…」
「大丈夫。交代しよう」
 僕とノエルが引き継ぐ。
 そして、また別の人が魔力を回復したら交代。
 こうして、交代しながら作業を進めることで――
 三時間後、小さな家が完成した。
「できた…!」
「本当に家が…!」
 村人たちが歓声を上げる。
 その家は、土でできているけど、とても頑丈だった。
「これなら、普通の家と同じくらい使えるぞ」
「しかも、三時間で完成した」
「普通なら、何日もかかるのに」
 僕は考えた。
 この方法なら、村全体の家を短期間で建て替えられる。
 そして、もっと大きな建物も作れる。
「村長さん」
 僕は村長に提案した。
「このクラフト魔法のチームで、村の建物を作り直したいです」
 村長が驚く。
「村全体を…?」
「はい。古くなった家を新しくしたり、共同施設を作ったり」
「それは…素晴らしいが…」
「費用は僕が出します。材料費だけなら、そんなにかかりません」
 村長が深々と頭を下げる。
「ありがとう…本当にありがとう…」
 その夜、家族で話し合った。
「アレン、村全体を作り直すなんて、大丈夫?」
 母さんが心配そうに言う。
「大丈夫だよ、母さん。クラフト魔法なら、材料は土だけでいいんだ。魔力で固めるから、とても頑丈になる」
 ノエルも言う。
「私も手伝う! 村のみんなのために!」
 ソフィア姉さんが言う。
「私たちも手伝えることがあったら、言ってね」
 マルク兄さんも頷く。
「うん。家族みんなで協力しよう」
 双子も元気よく叫ぶ。
「僕たちも!」
「私たちも!」
 僕は家族を見回した。
 温かな笑顔。
 支え合う絆。
「ありがとう、みんな。じゃあ、明日から本格的に始めよう」
 翌日から、村の大建設プロジェクトが始まった。
 まず、古くなった家から順番に建て替えていく。
 僕とノエルと、五人のクラフト魔法使いのチームで。
 最初の家は、村で一番古い、倒れかけの家だった。
「まず、古い家を解体します」
 土魔法で、古い家を崩す。
 そして、新しい家を建てる。
 七人で交代しながら、魔力を注ぎ込む。
 四時間後――
 新しい、頑丈な家が完成した。
「すごい…新しい家が…」
 その家の住人が涙を流す。
「ありがとうございます…」
「いえ、これからもどんどん建てていきますよ」
 二軒目、三軒目、四軒目。
 一日に二軒ずつ建てていく。
 村人たちも驚いている。
「こんなに早く…」
「魔法ってすごいんだな」
 一週間後、十軒の家が新しくなった。
 村の景観が、徐々に変わっていく。
 ある日、ノエルが提案した。
「アレン、建材も使ってみない?」
「建材?」
「うん。土だけじゃなくて、木や石も組み合わせたら、もっと綺麗な家が作れるかも」
「それはいいアイデアだね」
 僕たちは次の家で、実験してみた。
 土で基礎を作り、木材で柱を立て、石で装飾を加える。
 クラフト魔法で、これらを一体化させる。
 結果――
 とても美しい家が完成した。
「わあ…すごく綺麗…」
 村人たちが感嘆の声を上げる。
「これなら、町の家にも負けない」
「まるで貴族の家みたいだ」
 ノエルが嬉しそうに微笑む。
「私、クラフト魔法が大好き!」
「僕も。すごく楽しいよね」
 僕たちは、建築の可能性に夢中になっていた。
 一ヶ月後、村の半分の家が新しくなった。
 そして、僕たちは次の大きなプロジェクトに取り組むことにした。
「村長さん、城壁を作りたいです」
「城壁…?」
「はい。村を守るための、頑丈な城壁です」
 僕は設計図を見せる。
「高さ5メートル、厚さ1メートルの石壁。村全体を囲みます」
 村長が驚く。
「そんな大きなものを…」
「クラフト魔法なら、できます。時間はかかりますけど」
「それと、堀も掘ります。幅3メートル、深さ2メートル」
「堀まで…」
「はい。そして、跳ね橋も作ります。これで、村は魔物や盗賊から完全に守られます」
 村長が深々と頭を下げる。
「頼む…この村を、守ってくれ…」
 城壁の建設は、壮大なプロジェクトだった。
 僕とノエルと、五人のクラフト魔法使い。
 そして、村人たちも手伝ってくれる。
 石を運んだり、土を掘ったり。
 まず、堀を掘る。
 土魔法で土を移動させる。
 村全体を囲む、大きな堀。
 一週間かけて、完成した。
 次に、城壁。
 石と土を組み合わせて、頑丈な壁を作る。
 高さ5メートル、厚さ1メートル。
 七人で交代しながら、少しずつ作っていく。
 一日に20メートルずつ。
 村の外周は約800メートル。
 単純計算で、40日かかる。
 でも――
 途中から、村人たちが材料を準備してくれたり、簡単な部分を手伝ってくれたりして、効率が上がった。
 三十日後――
 ついに、城壁が完成した。
 村全体を囲む、立派な石壁。
「すごい…本当に城みたいだ…」
 村人たちが感動している。
「これなら、魔物が来ても安心だ」
「盗賊も入れない」
 そして、跳ね橋も完成した。
 堀を渡るための、木製の橋。
 普段は下ろしておいて、緊急時には上げる。
 これで、村の防衛は完璧だ。
 その夜、僕とノエルは城壁の上に立っていた。
 夕日が、村全体を照らしている。
「綺麗だね…」
 ノエルが呟く。
「うん。僕たちが作った城壁から見る景色は、特別だね」
「アレン、ありがとう」
 ノエルが急に言った。
「え?」
「私を家族にしてくれて。魔法を教えてくれて。生きる理由をくれて」
 ノエルの目から、涙が溢れる。
「お父さんとお母さんがいなくなって…もう何もかも終わりだと思った。でも…」
「でも?」
「アレンと家族のみんなが、私を受け入れてくれた。新しい家族になってくれた」
 ノエルが微笑む。
「だから、私、頑張る。この村を、みんなを守れるくらい強くなる」
 僕はノエルの肩を叩いた。
「ノエルはもう十分強いよ。そして、優しい。それが一番大事なんだ」
「アレン…」
「一緒に、この村を守ろうね。家族みんなで」
「うん!」
 二人で城壁の上から、村を見下ろす。
 新しい家々、綺麗な井戸、立派な倉庫、診療所、学校。
 そして、それを囲む頑丈な城壁。
 この村は、確実に変わっていた。
 貧困と絶望の村から、希望と繁栄の村へ。
 そして、これはまだ始まりに過ぎない。
 これから、もっと良くなっていく。
 その夜、窓の外を見上げると、一つの星が特に明るく輝いていた。
「セレスティア、見てくれてる?」
 小さく呟く。
「クラフト魔法で、村がすごく良くなったよ。ノエルも、すごく頑張ってるよ」
 星が優しく瞬く。
 女神の微笑みを、感じた気がした。
「これからも、頑張るね。もっともっと、みんなを幸せにするために」
 そして、僕は安らかな眠りについた。
 明日も、家族と一緒に。
 村人たちと一緒に。
 新しい未来を、作っていく。

次回:第15話「村の代表、そして新たな挑戦」

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