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4、歓迎されないお飾り様
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お忙しい中、ようやく来てくださった使用人さん――
私が恐る恐る食事をお願いすると、彼女はもう一度鼻を鳴らしました。
「妻の『仕事』もできないのに、奥様ぶっちゃって・・・・・・」
・・・・・・私がお飾り妻だということは、彼女も知っているようです。
それなのに、厚かましくお願いしてしまって・・・・・・本当に申し訳ありません。
彼女が・・・・・・名前を聞いていませんでしたが・・・・・・彼女が部屋を出てから少しして――
今度は三人になって戻ってきました。
全員が同じ服を着ていて、私と同じぐらいか少し年上ぐらいの見た目です。
皆がワゴンやお盆を持っていて、食事の準備に三人も来てくれたそうです・・・・・・そんな、私なんかに恐れ多い・・・・・・。
先程の方も含め、皆さん、楽しそうに笑顔を浮かべておられて・・・・・・機嫌を直していただけたら何よりです。
丸い机にクロスを敷いて、お茶と蓋付きのお皿——準備ができたようで、座るように声を掛けられました。
何が入っているのでしょうと、期待しながら蓋を開けると・・・・・・。
『あははははっ』
使用人さん達は、楽しそうに笑い声をあげています。
私はそれを聞きながら、皿の上の物をじっと見つめていました。
銀色の大きなお皿に乗っていた物は、生のお肉でした。
色合いからするに、鳥のようですが・・・・・・。
これが、私のご飯なのでしょうか?
「金で旦那様を買って、偉そうに妻ぶっちゃって」
「何でお飾りの為なんかに食事の準備をしないといけないのよ」
私の周囲で囁く声・・・・・・ああ、やはり、私なんかが女主人となったことに、皆さん不満を持っていらっしゃるようです・・・・・・。
生肉を食べたら、お腹を壊して――もしかしたら、命を落とすかもしれません。
でも、罪深い私が、これで許されるのなら・・・・・・。
でも、私より先に手を伸ばす存在がいました。
それは、白と茶の混じった、毛足の短い手で――
「にゃあ」
気付けば、机の上には、猫が乗っていました。
先程、私を起こしてくれた子です。
そして、黒いつやつやした猫や、こげ茶のふわふわした猫も、部屋の中を歩いています。
「あら、あなた達は駄目よ」
私は咄嗟に皿を持ち上げました。
猫にも、生肉は害になるはず・・・・・・何の罪もない猫達を苦しめるわけにはいきません。
使用人さん達の方を見ると、どうやら猫達の方に注目しているようです。
足を少しずつ動かして、出口の方へと後退りしています。
「あの・・・・・・」
私が声を掛けると、全員が一斉に此方を見ます。
皆様、同じように目を丸くしておられて・・・・・・。
「お肉を茹でたいので、鍋をお借りしてもいいでしょうか?」
そう聞きながら、私はお皿を見せました。
「け、けだものぉぉぉ!」
でも、一人が叫び声を上げたかと思えば、全員がどたどたと走り去ってしまいました・・・・・・。
ああ、私ったら、やってしまいました・・・・・・。
猫が神の遣いと言われていても、貴族社会では猫と生活することなんてありませんものね。
寄宿学校や修道院でも、ふと現れた猫で皆様を驚かせていたのです。
私が恐る恐る食事をお願いすると、彼女はもう一度鼻を鳴らしました。
「妻の『仕事』もできないのに、奥様ぶっちゃって・・・・・・」
・・・・・・私がお飾り妻だということは、彼女も知っているようです。
それなのに、厚かましくお願いしてしまって・・・・・・本当に申し訳ありません。
彼女が・・・・・・名前を聞いていませんでしたが・・・・・・彼女が部屋を出てから少しして――
今度は三人になって戻ってきました。
全員が同じ服を着ていて、私と同じぐらいか少し年上ぐらいの見た目です。
皆がワゴンやお盆を持っていて、食事の準備に三人も来てくれたそうです・・・・・・そんな、私なんかに恐れ多い・・・・・・。
先程の方も含め、皆さん、楽しそうに笑顔を浮かべておられて・・・・・・機嫌を直していただけたら何よりです。
丸い机にクロスを敷いて、お茶と蓋付きのお皿——準備ができたようで、座るように声を掛けられました。
何が入っているのでしょうと、期待しながら蓋を開けると・・・・・・。
『あははははっ』
使用人さん達は、楽しそうに笑い声をあげています。
私はそれを聞きながら、皿の上の物をじっと見つめていました。
銀色の大きなお皿に乗っていた物は、生のお肉でした。
色合いからするに、鳥のようですが・・・・・・。
これが、私のご飯なのでしょうか?
「金で旦那様を買って、偉そうに妻ぶっちゃって」
「何でお飾りの為なんかに食事の準備をしないといけないのよ」
私の周囲で囁く声・・・・・・ああ、やはり、私なんかが女主人となったことに、皆さん不満を持っていらっしゃるようです・・・・・・。
生肉を食べたら、お腹を壊して――もしかしたら、命を落とすかもしれません。
でも、罪深い私が、これで許されるのなら・・・・・・。
でも、私より先に手を伸ばす存在がいました。
それは、白と茶の混じった、毛足の短い手で――
「にゃあ」
気付けば、机の上には、猫が乗っていました。
先程、私を起こしてくれた子です。
そして、黒いつやつやした猫や、こげ茶のふわふわした猫も、部屋の中を歩いています。
「あら、あなた達は駄目よ」
私は咄嗟に皿を持ち上げました。
猫にも、生肉は害になるはず・・・・・・何の罪もない猫達を苦しめるわけにはいきません。
使用人さん達の方を見ると、どうやら猫達の方に注目しているようです。
足を少しずつ動かして、出口の方へと後退りしています。
「あの・・・・・・」
私が声を掛けると、全員が一斉に此方を見ます。
皆様、同じように目を丸くしておられて・・・・・・。
「お肉を茹でたいので、鍋をお借りしてもいいでしょうか?」
そう聞きながら、私はお皿を見せました。
「け、けだものぉぉぉ!」
でも、一人が叫び声を上げたかと思えば、全員がどたどたと走り去ってしまいました・・・・・・。
ああ、私ったら、やってしまいました・・・・・・。
猫が神の遣いと言われていても、貴族社会では猫と生活することなんてありませんものね。
寄宿学校や修道院でも、ふと現れた猫で皆様を驚かせていたのです。
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