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14、幼馴染の思い出
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私の父が、お義母様と再婚した頃――
まだ幼い私は、遠縁の家へと預けられました。
猫としか仲良くできない娘と、新しい夫人・・・・・・どっちをロドニー伯爵家に残した方が良いかは明白でしたものね。
その遠縁の家が、ラッセル子爵家・・・・・・カーライルは、その家の一人息子でした。
ラッセル子爵夫妻は、年が近いから仲良くなれるでしょうと、カーライルを紹介してくれましたが・・・・・・。
カーライルは、私の事を嫌っていました。
『おい、不細工』
カーライルは、いつも怒ったような顔をしていました。
『不細工』と言いながら、私の顔をじっと見るのです。
怖くて、私が目を背けていると、彼は『不細工!』と怒鳴るのです。
私は、自分の醜い顔がすっかり嫌になってしまいました。
彼と会いたくなくて、部屋に隠れていても、使用人が鍵を開けるのです。
にこにこと笑う大人達が、何か、恐ろしいもののように見えていました。
どこに隠れていても、屋敷にいる人間が、私の場所をカーライルに伝えるのです。
『不細工、付いてこい』
彼に手を引っ張られて、庭に連れて行かれることもよくありました。
私の足が縺れても、『のろま』と怒って、どこまでも――
つる薔薇の柵に突き飛ばされ、小さな池に落とされ、木を登れと命令されて。
私の体には生傷が絶えませんでした。
泣いても、笑っても、返事をしても、黙っても。
彼はいつも怒鳴っていました。
大人達に『彼が怖い』と訴えても、みんな笑うだけで・・・・・・。
お父様に捨てられた私は、誰にも愛されないから嫌われるんだ・・・・・・私は、その時には、全てを諦めていました。
そんな日々が終わったのは、季節が変わる頃――
私の様子を見に、お父様が来られた時がありました。
でも、その日、私はカーライルに、物置に閉じ込められていました。
『お前みたいな不細工、父親も会いたくないってさ! 可哀想だからここで飼ってやるよ!』
暗くて寒い物置の中、私は泣いていました。
そんな私の前に降り立ったのが、白い『ほうき星』でした。
カーライルの頭に降り立つと、一声鳴いて。
いつの間にか沢山の猫が集まった物置小屋に、大人達が駆け付けた時、私はお母様を呼びながら泣き続けていたそうです。
私は、ただただ、お父様に頼み続けました。
『お母様の所に連れて行って』
もうこんなつらい生活は嫌だ、私が嫌いなら殺して――と、ずっと泣き続ける私の姿を見た父は、ただただ困り果てていました。
「当家への不義理と見做す」
それだけをラッセル子爵に告げた父は、私を抱えてロドニー伯爵家へと帰りました。
お義母様は私の境遇を同情してくださいましたが、父は私の扱いに手を焼いていました。
屋敷の離れも、遠縁の家も駄目なら、どこへ出せばいいのか・・・・・・亡きお母様の伝手で入った寄宿学校も修道院も、結局追い出されて。
何年、十何年経とうと、私は醜い厄介者――
その事実を思い起こされて、私は体の震えが止まりませんでした。
まだ幼い私は、遠縁の家へと預けられました。
猫としか仲良くできない娘と、新しい夫人・・・・・・どっちをロドニー伯爵家に残した方が良いかは明白でしたものね。
その遠縁の家が、ラッセル子爵家・・・・・・カーライルは、その家の一人息子でした。
ラッセル子爵夫妻は、年が近いから仲良くなれるでしょうと、カーライルを紹介してくれましたが・・・・・・。
カーライルは、私の事を嫌っていました。
『おい、不細工』
カーライルは、いつも怒ったような顔をしていました。
『不細工』と言いながら、私の顔をじっと見るのです。
怖くて、私が目を背けていると、彼は『不細工!』と怒鳴るのです。
私は、自分の醜い顔がすっかり嫌になってしまいました。
彼と会いたくなくて、部屋に隠れていても、使用人が鍵を開けるのです。
にこにこと笑う大人達が、何か、恐ろしいもののように見えていました。
どこに隠れていても、屋敷にいる人間が、私の場所をカーライルに伝えるのです。
『不細工、付いてこい』
彼に手を引っ張られて、庭に連れて行かれることもよくありました。
私の足が縺れても、『のろま』と怒って、どこまでも――
つる薔薇の柵に突き飛ばされ、小さな池に落とされ、木を登れと命令されて。
私の体には生傷が絶えませんでした。
泣いても、笑っても、返事をしても、黙っても。
彼はいつも怒鳴っていました。
大人達に『彼が怖い』と訴えても、みんな笑うだけで・・・・・・。
お父様に捨てられた私は、誰にも愛されないから嫌われるんだ・・・・・・私は、その時には、全てを諦めていました。
そんな日々が終わったのは、季節が変わる頃――
私の様子を見に、お父様が来られた時がありました。
でも、その日、私はカーライルに、物置に閉じ込められていました。
『お前みたいな不細工、父親も会いたくないってさ! 可哀想だからここで飼ってやるよ!』
暗くて寒い物置の中、私は泣いていました。
そんな私の前に降り立ったのが、白い『ほうき星』でした。
カーライルの頭に降り立つと、一声鳴いて。
いつの間にか沢山の猫が集まった物置小屋に、大人達が駆け付けた時、私はお母様を呼びながら泣き続けていたそうです。
私は、ただただ、お父様に頼み続けました。
『お母様の所に連れて行って』
もうこんなつらい生活は嫌だ、私が嫌いなら殺して――と、ずっと泣き続ける私の姿を見た父は、ただただ困り果てていました。
「当家への不義理と見做す」
それだけをラッセル子爵に告げた父は、私を抱えてロドニー伯爵家へと帰りました。
お義母様は私の境遇を同情してくださいましたが、父は私の扱いに手を焼いていました。
屋敷の離れも、遠縁の家も駄目なら、どこへ出せばいいのか・・・・・・亡きお母様の伝手で入った寄宿学校も修道院も、結局追い出されて。
何年、十何年経とうと、私は醜い厄介者――
その事実を思い起こされて、私は体の震えが止まりませんでした。
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