悠久の大陸

彩森ゆいか

文字の大きさ
57 / 80

第57話 止まらない

しおりを挟む
 憔悴した様子で起き上がり、ヘッドセットを取り外した那月を、辰泰が心配そうに眺めていた。
「那月、どうした?」
「……俺には無理だった」
「な、なにが?」
「俺には戦えない。スオウのステータスもスキルも使いこなせない。もっと楽に強くなれて、簡単に倒せると思ってたのに、身体がすくんで動けなかったんだ」
 小刻みに震える那月を、辰泰が近寄って抱きしめる。
「ごめん、スオウ。一回死んだ」
「いや、俺も無謀に戦って何回も死んでるし、それは、べつに」
 辰泰は那月の肩口に顔をうずめた。
「ステータスが高くても、スキルが多くても、使いこなすには慣れと技術が必要なんだ。コントローラーで操作するだけのゲームでもあるだろ? いかにボタンを早く押すかで結果が変わったり、複雑な操作で技が発動されたりみたいな。それと同じで、身体の使い方、武器の使い方、コツがいるんだ。那月はまだ戦闘に慣れてないから」
「……それだけじゃ、なくて」
「ん?」
 那月の声が震え、嗚咽混じりになっているので、スオウは顔をあげて彼の顔を見つめた。
「どうした?」
「……気持ち、よくて」
「え?」
「気持ちよく、なっちゃって」
「なにが?」
「死ぬって思った瞬間に、イッちゃったんだ」
「…………」
 ごくっと辰泰がつばを飲み込んだ。
「……えっと、それは……たぶん、那月のここに刻み込まれちゃった……っていう、やつかな?」
 辰泰は那月のこめかみの辺りに人差し指を当て、軽くトントンと叩いた。
 経験したのはゲーム内のキャラだが、那月本人の記憶や意識にも刻みつけられてしまっているようだ。
「……かも」
「あーやべえ、それはちょっと、俺の股間にくる」
「興奮するとこなの、それ」
「ゲームの中のナツキだけじゃなくて、リアルな那月も開発されちゃってるって思うと」
 那月の身体が押し倒された。辰泰が上にのしかかる。
「那月、好きだよ。愛してる」
「……辰泰……」
 那月はぼんやりと辰泰を見上げた。
 興奮した辰泰は自分の服を脱ぎながら、那月を裸に剥いていく。
 うっすらと色づいた乳首を舌先で転がされ、那月はびくっと小さく震えた。
「ふ……っ」
「乳首、好き?」
「……好き」
 甘噛みされた。
 唾液を絡ませながら辰泰は巧みに舌を遣い、少しずつ那月を狂わせていく。
「あ……あ……」
 那月は喉を反らしながら、甘い声を漏らす。男同士で身体を重ねることへの心理的な抵抗など、もはやどこにも残ってはいなかった。甘美な快楽に身を浸し、ただただ陶酔する。
 舌で突起を潰され、唇で喰まれる。軽く吸われ、那月はびくびくと小刻みに震える。
「はっ……はぁっ……」
 次に指先でつままれた。ぐりぐりとこねくりまわされる。辰泰の指先は感じやすい場所を見つけると、執拗なほどそこばかりをいじる。那月の前の前で星が散った。
「やっ、あ、そこばっか……やっ……」
「乳首気持ちいいの?」
 甘い声で問いかけてくる。那月はこくこくとうなずいた。
「頭、変になっちゃう……っ」
「もっと変になろう?」
 辰泰の手が那月の股間へと伸びた。じかに握られる。そこはすでに頭をもたげ、透明な蜜を垂らしていた。
「溢れてるよ?」
 辰泰の親指が、蜜を溢れさせている尿道口をぐりぐりとこねた。
「ひっ、あっ、だめっ……ぐりぐりしちゃ」
「ここいいの?」
「あぁっ、やぁっ……」
 辰泰の手が、竿全体を握った。根元から先端にかけて大胆にしごかれる。
「ふぁっ……あっ」
 先端の膨らみのくびれ部分を、親指と人差し指で作った輪でこねくりまわされる。
「やっ、もう、いくっ……!」
 那月の身体が小さく跳ねた。勃ちあがったものから白濁が吹き出し、辰泰が手で受け止める。すかさず彼はそれを那月の尻へと塗った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...