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第20話 買い物 2
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「まずは杖か?」
「お姉ちゃんからお下がりをもらったのでしばらくそれを使うつもりです。ですので、控え武器を一緒に選んで欲しいです」
「なるほどな」
三日前、お姉ちゃんが半ベソをかきながら予備として使っていた杖を一本くれた。たしか七十万ハンスはするものだったはず。
今は百五十万ハンスくらいするものをメインで使っているらしく、そっちの方がいいか訊いてきたけれど、お姉ちゃんの仕事が滞るので断った。
そもそも、僕はマスターが迎えに来るまでの1週間の間に杖の扱いには慣れておいたものの、慣れただけであって、未だに魔法を放つ時は素手の方がしっくりくる。
「じゃあオーソドックスに短剣か弓かナイフだよな、やっぱ大魔導師のサブウェポンと言ったら」
「それが僕、恥ずかしながら男の割に非力で……。前に色々試してみたんですけど、それらはどうにも上手くいかないんです。ナイフは悪くはないんですけどね」
ちなみにお姉ちゃんの控え武器はナイフだ。魔法で攻撃した方が手っ取り早いし強力なため、まったく使ったことないらしいけど。
「となると斧や槍は当然ダメか。鉄球は論外……いや、そういや坊主、たしか情報によれば『速度』なんだよな、唯一使えるの」
「はい」
「非力な人間でも扱え、速さが大事な武器……あるぞ。ぴったりのものが」
「ほんとですか!」
「ああ、鞭だ。剣よりは断然軽いし、自分や味方に当たらない程度に練習さえしとけば、雑に振り回してもある程度の威力は見込める。それ以上となるとかなりの技術が必要ではあるが……どうだ?」
「試させてください!」
「いいぜ。そのための地下室があるんだ。来な坊主」
再び店長さんについていきその地下室に通してもらった。そこにはすでに何人か木製の武器を手にとり振り回してる人達が。
店長さんは壁にかけてあるお試し用とみられる武器の中からムチを手に取ると、僕のもとに持ってきた。
「ほらよ、あのマトにむかって振ってみな」
僕はムチの柄を握りマトに向かって打ってみた。上手く当たらなかったけれどべシンといい音を立てて地面を叩く。
なるほど、これはたしかに練習すれば僕でも扱えそうだ。というかこれしかない気がしてきた。今まで手に取った武器の中で一番しっくり来る。
「おっと、まあみんな最初はそんなもんだよ」
「……ムチください!」
「え?」
「これでも今までで一番うまく扱えたんです」
「決断が早いな。そうなのかい」
「はい!」
「いい返事だ。じゃあ決まりだな」
すぐに僕たちは上に戻り、僕のものとなるムチムチ選びを始めた。この店にある一番安いものは家畜の皮でできた普通のムチで二万ハンス。一番高いものは強力な魔物の皮のムチで三百万ハンス。
とりあえず、すぐにでも自分から発せるある程度の威力が欲しい僕は五万五千ハンスの鉄糸を編み込んだムチを買うことにした。
「初っ端から鉄のムチってのは心配だからな……成り立てなのに一気に十万ハンス近くも商品を買ってくれた礼として、練習用のムチを一本おまけでつけてやるよ」
「いいんですか?」
「ああ、遠慮すんな」
「ありがとうございます!」
その上店長さんは、自称するほど非力である僕が木箱を宿舎まで持ち運ぶのは難しいだろうからと、代わりに運んでくれた。
僕の部屋の戸の前に、どすんと一式入った木箱が置かれる。
「よし、これでいいだろう」
「なにからなにまで、ありがとうございました」
「いいんだって。なんつーか、普通の人なら絶望してもおかしくない境遇なのによ、元気なのがやけに気になってな。首を突っ込んでみたくなったってわけよ」
「ほほう……」
「個人的には『擬似職』のスキルを取得することをオススメするが、そこら辺うまくやれよな。じゃあな!」
店長さんは宿舎から去っていった。
『擬似職』の能力は、職業で得られる恩恵を擬似的に能力で得られるというものだ。例えば魔法使いでも『擬似剣士』を持っていればある程度剣の扱いが上手くなる。本職には負けるけど。
とはいえ、『真』や『極』の段階まで到れば本職に負けないくらいになれるらしい。
無理に目指す必要はないと思うけど。あったら便利だろうしなにかしら入手を目指すのもいいかも。
木箱から中のものを取り出し、全部ちゃんと入ってるか再確認してから僕は昼食をとりに再び外に出た。
特に今は食べたいものもなかったので、先程の店の近くにあったサンドイッチ屋さんのホットドックで手軽に済ませる。
それからすぐに、僕にとって一番大事な場所を目指し始めた。
ギルドから歩いて40分ほど。この国一番の国営大図書館。本の虫の僕にとってはこんな素晴らしい場所他にない。移動時間が苦にならない程だ。
たどり着いてすぐに中に入り、受付の人に話しかけた。
「はい、国営大図書館へようこそ! 入館チケットは一日一枚で五百ハンス、回数券や月間、年間パスポートもございます!」
「これを使って、年間パスポートをお願いします」
お父さんからもらった半額券を差し出した。
なおこの半額券、何度でも使えるらしい。丸一年は押し入れの奥に眠ることになるだろうけれど、今から買う年間パスポートの期限が切れたら再び活躍してもらうことになるだろう。
「どれどれ……ああ、エンジール街の図書館の関係者さんでしたか! こちらは半額券となりますので、年間パスポート五万ハンスのところ、二万五千ハンスとなります。加えて一度にお貸しできる冊数も普通より五冊多い十五冊となりますよ」
「では、それで」
受付の人は少し特殊な年間パスポートを発行してくれた。
国営大図書館の蔵書量であれば『速読・改』があったとしても大いに楽しむことができるだろう。
夕飯時になったらギルドに戻り、そこで夕食をとる。誰かが声をかけてきたら挨拶して……という感じで今日の残りの時間はすごそう。とにかく今は、たっぷりと読書に浸らなければ。
==========
(あとがき)
※明日は午後6時と午後11時の二本投稿です!
冒険者になってまだ2年ですでに計220万ハンスも杖を買っている16歳の主人公のお姉さん。冒険者としてかなり成功しているようです。
(ありがとうございます、本当にありがとうございます!)
(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、是非よろしくお願いします!)
25時:追記
タグ一覧を設定しました。今まで忘れていました。申し訳ありません。
とりあえず『魔法』『魔法使い』『最強』『成り上がり』『ファンタジー』『異世界』の6つにしてみました。
転移や転生していないので、異世界のタグが正しいかわかりません。もし違うなと思ったら教えてください。
「お姉ちゃんからお下がりをもらったのでしばらくそれを使うつもりです。ですので、控え武器を一緒に選んで欲しいです」
「なるほどな」
三日前、お姉ちゃんが半ベソをかきながら予備として使っていた杖を一本くれた。たしか七十万ハンスはするものだったはず。
今は百五十万ハンスくらいするものをメインで使っているらしく、そっちの方がいいか訊いてきたけれど、お姉ちゃんの仕事が滞るので断った。
そもそも、僕はマスターが迎えに来るまでの1週間の間に杖の扱いには慣れておいたものの、慣れただけであって、未だに魔法を放つ時は素手の方がしっくりくる。
「じゃあオーソドックスに短剣か弓かナイフだよな、やっぱ大魔導師のサブウェポンと言ったら」
「それが僕、恥ずかしながら男の割に非力で……。前に色々試してみたんですけど、それらはどうにも上手くいかないんです。ナイフは悪くはないんですけどね」
ちなみにお姉ちゃんの控え武器はナイフだ。魔法で攻撃した方が手っ取り早いし強力なため、まったく使ったことないらしいけど。
「となると斧や槍は当然ダメか。鉄球は論外……いや、そういや坊主、たしか情報によれば『速度』なんだよな、唯一使えるの」
「はい」
「非力な人間でも扱え、速さが大事な武器……あるぞ。ぴったりのものが」
「ほんとですか!」
「ああ、鞭だ。剣よりは断然軽いし、自分や味方に当たらない程度に練習さえしとけば、雑に振り回してもある程度の威力は見込める。それ以上となるとかなりの技術が必要ではあるが……どうだ?」
「試させてください!」
「いいぜ。そのための地下室があるんだ。来な坊主」
再び店長さんについていきその地下室に通してもらった。そこにはすでに何人か木製の武器を手にとり振り回してる人達が。
店長さんは壁にかけてあるお試し用とみられる武器の中からムチを手に取ると、僕のもとに持ってきた。
「ほらよ、あのマトにむかって振ってみな」
僕はムチの柄を握りマトに向かって打ってみた。上手く当たらなかったけれどべシンといい音を立てて地面を叩く。
なるほど、これはたしかに練習すれば僕でも扱えそうだ。というかこれしかない気がしてきた。今まで手に取った武器の中で一番しっくり来る。
「おっと、まあみんな最初はそんなもんだよ」
「……ムチください!」
「え?」
「これでも今までで一番うまく扱えたんです」
「決断が早いな。そうなのかい」
「はい!」
「いい返事だ。じゃあ決まりだな」
すぐに僕たちは上に戻り、僕のものとなるムチムチ選びを始めた。この店にある一番安いものは家畜の皮でできた普通のムチで二万ハンス。一番高いものは強力な魔物の皮のムチで三百万ハンス。
とりあえず、すぐにでも自分から発せるある程度の威力が欲しい僕は五万五千ハンスの鉄糸を編み込んだムチを買うことにした。
「初っ端から鉄のムチってのは心配だからな……成り立てなのに一気に十万ハンス近くも商品を買ってくれた礼として、練習用のムチを一本おまけでつけてやるよ」
「いいんですか?」
「ああ、遠慮すんな」
「ありがとうございます!」
その上店長さんは、自称するほど非力である僕が木箱を宿舎まで持ち運ぶのは難しいだろうからと、代わりに運んでくれた。
僕の部屋の戸の前に、どすんと一式入った木箱が置かれる。
「よし、これでいいだろう」
「なにからなにまで、ありがとうございました」
「いいんだって。なんつーか、普通の人なら絶望してもおかしくない境遇なのによ、元気なのがやけに気になってな。首を突っ込んでみたくなったってわけよ」
「ほほう……」
「個人的には『擬似職』のスキルを取得することをオススメするが、そこら辺うまくやれよな。じゃあな!」
店長さんは宿舎から去っていった。
『擬似職』の能力は、職業で得られる恩恵を擬似的に能力で得られるというものだ。例えば魔法使いでも『擬似剣士』を持っていればある程度剣の扱いが上手くなる。本職には負けるけど。
とはいえ、『真』や『極』の段階まで到れば本職に負けないくらいになれるらしい。
無理に目指す必要はないと思うけど。あったら便利だろうしなにかしら入手を目指すのもいいかも。
木箱から中のものを取り出し、全部ちゃんと入ってるか再確認してから僕は昼食をとりに再び外に出た。
特に今は食べたいものもなかったので、先程の店の近くにあったサンドイッチ屋さんのホットドックで手軽に済ませる。
それからすぐに、僕にとって一番大事な場所を目指し始めた。
ギルドから歩いて40分ほど。この国一番の国営大図書館。本の虫の僕にとってはこんな素晴らしい場所他にない。移動時間が苦にならない程だ。
たどり着いてすぐに中に入り、受付の人に話しかけた。
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「これを使って、年間パスポートをお願いします」
お父さんからもらった半額券を差し出した。
なおこの半額券、何度でも使えるらしい。丸一年は押し入れの奥に眠ることになるだろうけれど、今から買う年間パスポートの期限が切れたら再び活躍してもらうことになるだろう。
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「では、それで」
受付の人は少し特殊な年間パスポートを発行してくれた。
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夕飯時になったらギルドに戻り、そこで夕食をとる。誰かが声をかけてきたら挨拶して……という感じで今日の残りの時間はすごそう。とにかく今は、たっぷりと読書に浸らなければ。
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(あとがき)
※明日は午後6時と午後11時の二本投稿です!
冒険者になってまだ2年ですでに計220万ハンスも杖を買っている16歳の主人公のお姉さん。冒険者としてかなり成功しているようです。
(ありがとうございます、本当にありがとうございます!)
(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、是非よろしくお願いします!)
25時:追記
タグ一覧を設定しました。今まで忘れていました。申し訳ありません。
とりあえず『魔法』『魔法使い』『最強』『成り上がり』『ファンタジー』『異世界』の6つにしてみました。
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