魔法系男子のゆふるわな日常(希望)

ねじまる

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第一章 青き衣(ジャージ)をまといし者

かりかりっとして さくさくっとしたもの

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「俺はまだピッチピチの独身貴族だぞ! 彼女募集中だ、コンチクショウ!」

 振り向くと、目の前が眩しい光に覆われる。
 一瞬、周りの空気がすべて奪われたように息ができなくなってしまった。

「かはっ、くそっ!」

 再び空気が戻ってくるなり俺は悪態を吐いた。
 ノエルが不思議そうな顔で見上げる。

「どうした?」

「ま、魔法を封じられちゃいました」


「なにぃ! おまえ、まったくつかえぬヤツだな!」

「うん、本当。使えなくなっちゃったんですけどね」

 こうやって普通に話すことは可能だが、魔法を唱えようとすれば、たちどころに空気が薄くなり、呼吸ができなくなるだろう。

 ぼんやりと遠くを見やって現実逃避をしたくなった。
 魔法が使えなくなってしまえば、今の俺はただの青ジャージである。

 睨むことしかできない俺を、おっさんは目尻を下げて笑っていた。
 獲物を追い詰めて、じわじわといたぶるのが御趣味のようだ。
 何とも悪徳貴族らしい。

「さて、アルカ殿……どうされますかな? このまま、そこの下等生物と戯れるか、頭を下げて私の下へ戻るか」

「同じ人間だろ! 下等生物ってなんだよ!」

 屈強な戦士二人がおっさんの前に立ちはだかっているが関係ない。
 俺は拳を振り上げて走った。
 全力で走るなんて、数年振りかもしれない。

「同じ大地に生まれたモン、みんな兄弟って、親父が言ってたぞ!」

 怒りを込めた一撃を突き出す。
 当然、戦士二人が動いた。

「交渉決裂、ですな」

 愉快そうにおっさんが腹を揺らして笑い、指をパチンと鳴らす。
 拳が届くこともなく、俺は戦士二人に腕を絡め取られ、身動きを封じられた。

「それにしても、どういう経緯で森へ出られてしまったのやら……」

「庭でばったりノエルと出会った。彼女が逃げるから、彼女を追って迷路の中に入った」

「なっ……」

 急におっさんの顔色が変わった。

 あれ?
 今、何か重要な秘密を知ってしまった的なフラグが立ったように思えるのだが……。

「迷路の一番奥に綺麗な花畑があって、そこの生け垣に開いてた穴から彼女が逃げたから、俺は生け垣をぽーんと魔法で跳び越えて……」

「花?」

 思ってもみなかったところから反応が戻ってきたものだ。

「迷路の奥に花畑があったのか?」

 おっさんが、ぎょっとして隣に目を向ける。

 俺を叩き落とした若い執事だ。
 あの、狩る者の目をして俺を脅した、ハンターな執事である。

「ク、クルトン?」

 執事の名前だろう。
 主が呼ぶのを執事は聞こえなかったかのように俺を見ていた。


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