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2. ある少女
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私は本を閉じて、教室を見回してみた。
新学期が始まってすぐは、クラスでレクをすることになってる。知っている人が何人かクラスにいると安心なんだけど。
あ、あそこにいるの、同じ小学校の男子だ! 良かった、知ってる人はたくさんいるものだね。
「また帳は星の本読んでるのか?」
「好きのレベルが高くて変わってるよな」
「か、変わってないから!!」
そうそう。私の星好き、こうやってよくからかわれたっけ。目立つタイプじゃないのに、「星好き」で有名になったりして。ノリが変わらないのも、ものすごく安心するんだけどね。
あはは、と笑う男子たちは、次に教室の扉の方角を見つめた。
誰か来たのかな?
「っ!!」
あ、あの子は……。
その少女に気が付いた藍ちゃんも目を丸くする。驚きと、憧れのまなざしだった。
「光ちゃんだ! わぁ、一緒のクラスなんだ! かっこいい……!」
「そ、うだね……」
私は歯切れ悪く答えてしまう。
……光ちゃん、同じ、クラスなんだ。
ずき、と心が直接握られたように傷む。
光ちゃんが、教室に入った瞬間。クラスの視線が一気に集まった。
きゃあっと小さく悲鳴を上げる女の子。困惑する他校の子。良い意味でも悪い意味でもその子は注目を浴びていた。それはそうだよね、だって。
「光ー! やばお前男の制服じゃん。男の俺よりイケメンかよ~」
「光がお前よりイケメンなのは元からだろ」
そう。教室の扉から姿を見せたその女の子は、男の子の制服を着ていた。男の子の制服……っていうか、スラックスを履いてるんだよね。この中学校は、性別に関係なく制服を選ぶことが出来るんだ。
満田光ちゃん。ショートカットに切りそろえた髪に、キリッとした顔立ち。すらっと背も高くて、遠目から見て、いや近くで見ても男の子と見間違えちゃうようなかっこいいオーラ。
小学校の頃からあんな感じの女の子なんだ。小学校が同じメンバーからしたらもう慣れたもので、光ちゃんのことを「イケメン」ってほめたりしてる。実際、かっこいいもんね。
……私は小学校で一度も光ちゃんと同じクラスにはなっていないけれど……はぁ。
「どうした、七星?」
「あっ、ううん! 何でもない!」
光ちゃんは周りの視線なんか気にせず、すたすた自分の席へ歩いていく。
その道を遮らないようにみんなよけて、何だか偉い人みたい。
「光ー! 中学上がっても一緒にサッカーしてくれよな」
男子がそう声を掛ける。光ちゃんはそちらを見て、「ん」と笑った。
きゃあ、とまた悲鳴。光ちゃん、もう他校だった女の子にも「かっこいい」認定されてる……。
それから、光ちゃんは席に着くと教室を見回した。
あ、まずい!!
その時、バチッ! と、思いっきり目が合っちゃった。
「っ……藍ちゃん!!」
「うわっ! な、何!?」
「一時間目なんだっけ!」
「今日は新学期初日だから、委員会決めとかかな……?」
すごい勢いで目をそらし、話もそらした。ごめんね藍ちゃん、答えてくれてありがとう。
光ちゃんがどんな顔してるか、見られないよ。……それとも、私に対して何も思ってない、かな。
「あっ七星、六年生の時の委員長もいるよ。おーい、委員長ー!」
私も藍ちゃんもクラスのみんなも、光ちゃんの話題からは遠ざかっていった。
ザワザワ。みんなの声がざわめく教室よりも、心の中から、そんな音がしていた。
新学期が始まってすぐは、クラスでレクをすることになってる。知っている人が何人かクラスにいると安心なんだけど。
あ、あそこにいるの、同じ小学校の男子だ! 良かった、知ってる人はたくさんいるものだね。
「また帳は星の本読んでるのか?」
「好きのレベルが高くて変わってるよな」
「か、変わってないから!!」
そうそう。私の星好き、こうやってよくからかわれたっけ。目立つタイプじゃないのに、「星好き」で有名になったりして。ノリが変わらないのも、ものすごく安心するんだけどね。
あはは、と笑う男子たちは、次に教室の扉の方角を見つめた。
誰か来たのかな?
「っ!!」
あ、あの子は……。
その少女に気が付いた藍ちゃんも目を丸くする。驚きと、憧れのまなざしだった。
「光ちゃんだ! わぁ、一緒のクラスなんだ! かっこいい……!」
「そ、うだね……」
私は歯切れ悪く答えてしまう。
……光ちゃん、同じ、クラスなんだ。
ずき、と心が直接握られたように傷む。
光ちゃんが、教室に入った瞬間。クラスの視線が一気に集まった。
きゃあっと小さく悲鳴を上げる女の子。困惑する他校の子。良い意味でも悪い意味でもその子は注目を浴びていた。それはそうだよね、だって。
「光ー! やばお前男の制服じゃん。男の俺よりイケメンかよ~」
「光がお前よりイケメンなのは元からだろ」
そう。教室の扉から姿を見せたその女の子は、男の子の制服を着ていた。男の子の制服……っていうか、スラックスを履いてるんだよね。この中学校は、性別に関係なく制服を選ぶことが出来るんだ。
満田光ちゃん。ショートカットに切りそろえた髪に、キリッとした顔立ち。すらっと背も高くて、遠目から見て、いや近くで見ても男の子と見間違えちゃうようなかっこいいオーラ。
小学校の頃からあんな感じの女の子なんだ。小学校が同じメンバーからしたらもう慣れたもので、光ちゃんのことを「イケメン」ってほめたりしてる。実際、かっこいいもんね。
……私は小学校で一度も光ちゃんと同じクラスにはなっていないけれど……はぁ。
「どうした、七星?」
「あっ、ううん! 何でもない!」
光ちゃんは周りの視線なんか気にせず、すたすた自分の席へ歩いていく。
その道を遮らないようにみんなよけて、何だか偉い人みたい。
「光ー! 中学上がっても一緒にサッカーしてくれよな」
男子がそう声を掛ける。光ちゃんはそちらを見て、「ん」と笑った。
きゃあ、とまた悲鳴。光ちゃん、もう他校だった女の子にも「かっこいい」認定されてる……。
それから、光ちゃんは席に着くと教室を見回した。
あ、まずい!!
その時、バチッ! と、思いっきり目が合っちゃった。
「っ……藍ちゃん!!」
「うわっ! な、何!?」
「一時間目なんだっけ!」
「今日は新学期初日だから、委員会決めとかかな……?」
すごい勢いで目をそらし、話もそらした。ごめんね藍ちゃん、答えてくれてありがとう。
光ちゃんがどんな顔してるか、見られないよ。……それとも、私に対して何も思ってない、かな。
「あっ七星、六年生の時の委員長もいるよ。おーい、委員長ー!」
私も藍ちゃんもクラスのみんなも、光ちゃんの話題からは遠ざかっていった。
ザワザワ。みんなの声がざわめく教室よりも、心の中から、そんな音がしていた。
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