星につむぐ物語-イストリア-

冬原水稀

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9. プラネタリウムの中で

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 ……どうして、あんなこと言っちゃったんだろう。
 それだけを、もんもんと考える日々が続いた。おかげで、引き受けることになったレク係にも身が入らない。何も考えられなくて。
 光ちゃんはそんな私にあきれているのか気付いていないのか、話しかけてはこなかった。光ちゃん、一人でレクを考えてくれてるのかな。ごめんだけど、今は光ちゃんと話す勇気すら持てそうにない。
 やっぱり、ステラの言ってたことは間違ってる。私に想像力なんてない。
 だって、あんなことを言ったらホクトがどんなに傷つくか、想像できなかったんだもの。
「はぁ……」
「七星、どうかした? ここ最近ため息ばっかりだよ」
「藍ちゃん」
 心配そうな顔をして、藍ちゃんは私をのぞきこんでた。
 優しい友だちがいることに、じわっと涙が出てくる。
「レク係、うまくいかない? おかしいとは思ったんだよね、七星が立候補したの。だって目立つこと、そんなに好きじゃないじゃん?」
「……それはいいの。ほら……新学期だから、新しいこと始めようかなーって立候補したんだから」
 ということにしておこう。
「そっかぁ。かっこいいね七星!」
「あはは……」
 誤魔化して笑う。なんでもステキ! ってほめてくれる、ホクトのこと思い出しちゃった。
 本当はこんなにかっこ悪いのにね。
「私に言えないこと?」
 藍ちゃんは笑ってくれた。けど、私はすぐに答えられない。
 あの日のことを話すには、まずホクトのことも話さなきゃいけないから。
「……まあ、うん。簡単に言うなら、言われたことについカッとなって、嫌なこと言っちゃったんだよね……相手がどう思うのか、考えもせずに」
 藍ちゃんの笑顔を見たら、何だか話したくなってしまった。ホクトのことはぼかして、小さく、つぶやくみたいに打ち明ける。
 うつむく私の視界のはしっこで、柔らかい黒髪がゆらゆら揺れた。「そっかぁ」、と声も柔らかい。
「でもさ、それってその相手も、七星がどう思うか、ちゃんと考えてないよね」
「え?」
「だってそうでしょ? 七星は理由なく人にひどいこと言う子じゃないし。そりゃあ、そのケンカで七星はひどいこと言ったかもしれないよ? でもそれは、七星自身も傷ついたからだよね」
 私も……傷ついた?
「それって結局、七星のことを想像できてないのは相手も同じってこと! お互い様だよ」
 詳しいことは分からないけど。藍ちゃんはそう言っておどけてみせる。
「私たちエスパーじゃないんだからさ、相手のことをぜーんぶ想像するのは無理でしょ? だから時々、間違えちゃうことだってあるよ。大事なのは、そのあと」
「その……あと」
「うん。ごめんねって言うんだよ。七星は悪いことを言ってしまった。でも『私だって傷ついた』って、ガマンしないでちゃんと言うこと」
 藍ちゃんの言葉が、耳から入って、心の奥のほうまで届いていくような感じがした。それは、乾いた心に水みたいにしみて行って、心地いい。
 そっか。
 全部想像できなくても……間違えても、いいんだ。でも、間違えたままにしていたらいけない。
 そうだよね。間違えたままにしたから、「昔」はうまくいかなかったんだもの。
 ホクトとの関係は、このままにしちゃいけないよ!
「ありがとう藍ちゃん、私、その子と仲直りしようと思う!」
「うん、がんばれ~」
 のんびりと手を振ってくれる。そんな友だちがいることに、とっても安心した。
 ホクトと仲直りできたら、私は前に進める。そんな気がする。


 ……って、決意したはいいものの。
 ホクト、どこ行っちゃったんだろう。思いあたるところを探してみようと思ったけど、思いあたるところなんて、ない。強いて言えば出会った天ケ丘だけど、見つからなかった。
 うーん、でもホクトが動き回っていたら「動物園でもない場所に子ぐまがうろついてる!」って話題になってるはず。そんな話を聞かないってことは、案外動かずじっとしてるのかな。
 もしかしたらいつの間に私の家に! ……なーんてことも考えて一旦帰宅して探してみたけど、どこを探してもいなかった。
「出てきてよ……ホクト」
 出て行って、って言ったくせに勝手だと思う。
 けど私は、本当にあの子に謝りたいんだ。星座を助けるうんぬんの話は、私に出来るか分からないけど、少なくともホクトのせいじゃないって。今度はそう言ってあげたい。
「あ……」
 もう一度町に出向いて歩き回っている内に、私は自分になじみ深い場所へとたどり着いていた。
 人の住んでいる場所から忘れ去られたように、ぽつん、と立つドーム状の建物。とても大きくて、遠くから見たら目立ちそうだけど、町の外れにあるからほとんどの人が気にしない。ドームの周りには植物がたくさん生えていて、もはやドームが緑色になってる。ドームだけじゃない。すすけたクリーム色の壁も植物のツタが生い茂っていて、時折ぽつぽつ、かわいらしい花も咲いていた。
 ここは、元気を無くした時に私のよく来る場所……プラネタリウム、だ。
「今日は……確か開いている日だよね」
 吸い込まれるみたいに、足がそっちへ向く。しまいには、歩き出す。
 ここ、誰が管理しているか分からない不思議なプラネタリウムなんだ。週に五日、一日四回、自動で星空の映像が再生される。中学生まで無料っていうところは、星好きの私にすごくありがたい。
 プラネタリウムにしては小さいものだけど、私にとって落ち着く場所で、大好きなんだ。
 大きい扉。取っ手を握って、開けてみる。ギィィッ……木のこすれる音。
 扉を開けたら、もうすぐそこの部屋がプラネタリウムだから、中は暗い。電気一つ無くて、いつもと変わらない風景がそこには広がっていた。
 ドーム型の天井。
 円状に並べられ、その全部が中心を向いているソファ製のイス。
 そして真ん中。天井に人口の星空を映し出す機械。
 誰も来てないみたい。元々、私以外のお客さんがいることはたまにしかないんだけどね。
 ──ブーーッ!!
 大きな音が鳴り響いて、ビクッと肩を震わせた。
 夕方五時……そうだ、プラネタリウムが上映される、一日四回の内の一回だ!!
『上映中の飲食、喫煙、撮影等はご遠慮ください──……まもなく上映が始まります──……』
 女の人の、アナウンス。
 どうしよう。このまま入って見ていくか、帰るか。
「……」
 えい、と心の中で掛け声。私はプラネタリウムの中へ入っていった。
 今少し、元気がないのは事実だし、ちょっと見ていこう。星座の話だし、何かホクトに関するヒントも見つかるかも。
 映像がよく見える席に座る。プラネタリウムの映像は、春の星座特集だった。
『皆さんが普段見ているのは、こんな風な夜空ですね。しかし、本来の夜空にはもっとたくさんの星があります。普段は、街の光に負けてしまう星が多いのです』
 もう何度も見ているから、ほぼ暗記までしてしまったアナウンスの内容。
 不安で頭がいっぱいで半分聞き流してしまうけれど、私は段々、人工の夜空の中に集中していった。
『では、街の光を消してみましょう』
 私は、指パッチンをする用意をする。
 いつもの流れだ。街の光以外には今、ぽつ、ぽつとしか星が見えないプラネタリウムの夜空。
『三つ数えて、指を鳴らします。さぁみなさんも、一緒に』
 昔は、指を鳴らせなくてもどかしく思ってた時期があったっけ。
 くすり、と思わず笑った一瞬後。

 ぱちん!!

 指を鳴らす。
 その瞬間……ぶわぁぁっと、たくさんの星が夜空に広がった。
 紺色のカーペットに、輝く宝石をたくさん零してしまったみたい。大小、色、さまざまにあるけれど、どれも自分の輝きをもっていることは確かだ。都会の光に負けてしまっていた引っこみじあんの星も、今はチカチカ。ひかえめに、でも「私はここにいるよ」って光ってる。
「はぁ……」
 気が付いたら、私はため息を零している。
 きれい。
 何度も見たことあるはずの星に、やっぱりそう思う。
 実際に目で見る星の方がもちろんきれい。だけど、こうして知らない星と私を出会わせてくれるのは、プラネタリウムのいいところだ。
『星がよく見えるようになりましたね。有名な星を順番に見てみましょう』
 定番の、二つのひしゃくの形。おおぐま座とこぐま座。
 とりわけ輝くのは、都会でも見える北極星。子ぐま座のしっぽの先。いつも北にいて、私たちの道しるべになってくれるもの。……明るい道しるべ、か。
 何だか、ホクトのことを思い出しちゃったな。

 ──どうしてそう、ナナセは『できない』ばっかりなの!?

 ホクトの、言うとおりだ。私は何かにつけて言い訳を並べて、私には出来ないって言う。それがもう、クセになっちゃった。
 でもホクトは、そんな私に何度「ナナセはできる」って言ってくれただろう。まだ出会って一か月も経っていない、この短い間で。それは、あの子自身の楽観的な性格もあるかもしれないけど。
 いつだって、元気づけようとしてくれてたのは確かだった。
『春の星座を見つけるポイントは、「春の大曲線」です。その名の通り、春の明るい星を繋げて出来る大きなカーブ線のことなのですが……』
 天井に映し出された星空に、おおぐま座の星からうしかい座の星へ、そこから更に伸びておとめ座の星へ。白い線が伸びていく。
『この明るい目印があれば、見つけることが難しい星座も見つけることができます。例えばこの曲線を、さらに伸ばしてみましょう……そこにある小さな四辺形が、からす座です』
 ……そうだ。ホクトを探す手掛かりは、きっとある。ホクトの帰る星座の手掛かりも、どこかに。
 また、星座に元気をもらった。
 何だかのどに熱いものがこみ上げてきて、私は名前を呼びたくなった。
 息を吸って、吐いて。

「ホクト……」
「ナナセ……」

「うわぁっ!?」
 すぐ隣から返事が返ってきた!?
「プラネタリウム内では静かに」って、小さいころ私を叱ったお母さんの声が頭の中でする。だって、これはしょうがないよ。
「ホクト!?」
 隣の椅子に、小さくて白いふわふわ。ぴこぴこと耳と長いしっぽを動かして、どこかきまり悪そうに、鼻もひくひくしてる。暗い中でも目立つ、お星さまみたいな目。いつの間にかホクトがいたんだもん!
 ホクトは少しきょろきょろしてから、遠慮がちに私を見上げた。
「ナナセ……えと、げんき?」
「探したんだよ! どうしてここに?」
 もうプラネタリウムのアナウンスなんて全然頭に入ってこない。
 珍しく元気がなくて小さいホクトの声。それを拾おうと、私の耳が集中する感覚がした。
 私の「探した」という言葉に目を大きくしてから、ホクトは答えた。
「なんかね、なんか……ここ、すごくおちつく気がしたの。それに、それにね……ここに入らなきゃいけない気がした。なんでだろーって思ったんだけど……ナナセがいたからなんだね」
 優しく名前を呼ばれて、きゅっと胸がしめつけられる。
 白い毛が、ふるふると揺れた。
「ワタシ、ナナセに出て行ってって言われたから……もう会わないようにしようって思ったの! 思ったんだけど……心の中でずっと、ナナセに会いたいって思ってたの。仲直りがしたかったの!」
「ホクト……」
「ナナセ! いっぱいワガママして、ごめんなさ……っ!!」
 ホクトの声がとぎれた。
 きっと私が抱き上げて、むぎゅっと抱きしめたからだ。
 肌ざわりのいい白い毛が、ほっぺをくすぐる。くすぐったい。けど、あったかい。
「違うよホクト! 私が『ごめん』って言わなきゃいけないの……ひどいこと言ってごめんね!」
 ケンカしたからって、やっぱり「出て行って」はひどすぎたよ。
 私はちゃんとあの時、私の気持ちを伝えられていたらよかった。
『私たちエスパーじゃないんだからさ、相手のことをぜーんぶ想像するのは無理でしょ?』
 大事なのは気持ちを伝えること。藍ちゃんの言葉を思い出す。
 私の気持ち。本当は怖いだけだったって気持ち。傷ついたって気持ちも。
「でもねホクト、私も、怖くて……『できない』ばかりじゃいけないって分かってる。でも私にも、どうしたらいいか分からないんだ」
 分からないで終わらせない。今度こそ。
「だから、私の話、聞いてくれる……? そしたら私たち……もっと仲良くなれると思うの!」
「ナナセ……うん。うん!!」
 ホクトは私の腕の中で、何度も何度もうなずいた。
 服のすそが、しっとりぬれていく。泣きすぎだよ、と私は笑ってしまった。
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