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15. ホクトの気持ち
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パチッ、と目を開けた。部屋も、窓の外も真っ暗。時計を見ると……一時。ふわ……目が覚めちゃったなぁ。もう一回寝よう。
……。
…………。
……眠れない!!
明日は、いよいよレクがあるから眠らないといけないのにな。
ごろごろ。何回か寝返りをうっても……うーん、ダメそう。
一回起きちゃったほうが良いかも。星座の本でも眺めてようかな。文字を見ていれば、眠くなるかもしれないし。あ、でも電気をつけたらホクトを起こしちゃうから、そうしないように……。
「……って、あれ?」
私は自分の身の回りを見渡す。ホクトがいない!
寝相が悪くて布団から落ちちゃった? ……でも、布団の下にも、そもそも部屋の中にもいないよ。
どうして、そこへ行っちゃったの!?
「ほ、ホクトー……っ?」
小声で呼びかけてみる。
答えは返ってこない。なんで!?
前にいなくなった時は、ケンカしたからって理由が分かってた。でもこんな、何も言わずにいなくなっちゃうなんて。心配だよ。
どうするかなんて考えてないけど、私はベッドから降りた。部屋にある大きい窓から、青白い光。月の光だ。部屋全体が、青くぬられてしまったみたい。ホクトの、青がかった白い毛並みを思い出してぎゅーっと心がしめつけられる。
じんわりと目が熱くなった。慌てて上を向いて、窓の外の月でも見よう……と目を向ける。
「あ……!!」
そして思わず、声を上げた。
ホクトが、窓の外にある一階部分の屋根の上で座ってる。
私の部屋は二階にあるんだ。だから、一階の屋根に上ることが出来る。私もよく窓から出て屋根の上で星を見るけど、まさかホクトがいるなんて。
「な、なんだぁ……」
てっきり「いなくなっちゃった」と決めつけていたから、体の力が抜ける。よ、良かった。でもなんでそんなところに?
窓を開けて、「ホクト」って呼ぼうとした……けど、立ち止まった。
なぜって、その横顔が、とっても真剣だったから。
真剣に、自分の足元にあるものを見つめてる。あれって、私の本だ。間違いないよ。本棚を見る。うん、一冊分隙間がある、ここから取っていったんだ。
「ホクト……?」
本を、読んでるの? どうして、そんなに真剣で……さみしそうな顔をするの?
ページをめくる。小さい手で、必死に大きい本をおさえて。じっくりそのページを見たあと、またページをめくる。繰り返し。繰り返し。
声、かけない方がいいのかな? ……でも、放っておけないよ。
「ホクト!」
ガラッ! と窓を開ける。
ビクゥッ!!!! とホクトが肩をふるわせた。
「わ、なななななナナセ! 早起きさんだね!」
「そんなに驚かなくても……」
妙にホクトはわたわたしていた。本を隠そう、としていたけれど、自分の小さい体じゃ無理だと分かったみたい。あきらめて、ただ本を閉じた。
お互いに何も言えないで、数秒。私もなんて言葉をかけたら良いか分からないから、とりあえずホクトを抱き上げた。
「とりあえず……中入ろう? 春だけど、まだ外は肌寒いよ。風邪引いちゃう」
私は片腕にホクト、片腕に本を抱いて、部屋に入れた。一匹と一冊を床に置いて、窓を閉める。うん、ガラスでできた窓が冷たい。
「えと……かってに本を持って行って、ごめんね?」
「そんなことはいいよ。一体どうしたの?」
こんな夜に、あんな顔をして。
ホクトは少しためらっていたけれど、やがて答えてくれた。
「ナナセは……がんばってるから」
「え?」
「ワタシも、がんばらないとって、思った」
そこで、小さい子ぐまが顔を上げる。星空を閉じこめた目が、相変わらずきれいで……そして、光っていた。「勇気」とか、「決意」とか、そういう気持ちが。ホクトの目に反射する星の光たちと、一緒に。
その「気持ち」の光が強くて、びっくりする。
あんなに無邪気で自由だったホクトが、なんだか大人になったみたいだった。
「ナナセは、自分でいろんなものをつかんだよ。ニガテだった『そうぞうする』ってことも、ヒカルちゃんとの友情も。だからワタシも、ナナセに甘えてばかりじゃダメだって、思ったの!!」
「じゃあ、本を見てたのは」
「うん、ワタシだけで、『ワタシがなんなのか』っていうの探してた。でも……ダメなの。どうしても、思い出せないの。自分がなにか、わからない」
悔しそうに言ったホクトは、ポロ、ポロ。流れ星みたいな、涙を流した。
そんな。ホクトが一人で頑張っていたなんて。私……自分のことで精いっぱいで、気がつかなかった、私、ホクトのことを手伝うって言ったのに!
「ごめんね、ホクト」
「どうして!? ナナセがあやまることないよ」
「でも、私ホクトの星座探し手伝うって言ったよ。最近、それが出来てなくて……ホクト一人に頑張らせちゃった」
「それはちがうよ! 元々ワタシのことだもの。それにナナセはナナセのことを、たいせつにしてほしい」
じっと、見つめあう。
何だかあたたかいのに、切なかった。
前の私だったら、「ホクトの手伝いはムリ。『自分でやる』って言ってくれて助かった」って考えたと思う。
前のホクトだったら、「もっとワタシの星座探し手伝ってよー!!」って、ワガママ言っていたと思う。
私たち、きっと成長したんだ。だからあったかい。でも、切ないよ。お互いのことを考えているから、遠慮しあっちゃうなんて。
ホクトは、私の手をぎゅっとにぎった。
「起こして、ごめんね。ワタシももう寝るよ。だから、一緒に寝ましょ! 明日はレクなんだもんね! ワタシも楽しんじゃうぞー!」
ホクトの明るい声が、逆に苦しかった。
だけど私は無理に笑って、うなずく。
「勝手なこと、しちゃだめだからね」
「わかってまーす!!」
あぁ、どうしたらいいんだろう。私は、私のことも、ホクトのことも大切にしたい。いつか、「ナナセにめいわくかけちゃう」って、今度こそ家出したらどうしよう。星座が見つかったら、いつかはお別れ。そんなことは分かってる。
でもそれまで、せめて一緒にいたいんだ。
自分の星座が見つかって喜ぶホクトを、私は近くで見たいんだ。
そう言いたいのに、ホクトが「はやくはやく」と布団に寝かせてきたから、言えなかった。
いろいろ考えちゃって眠れない。私の手を、ぽんぽんずっと、フワフワの手はなでてくれた。まるで、お母さんみたいに。
だけどそれは、私が眠る前に止まっちゃって。代わりに聞こえてきたのは、ホクトの寝息。
先に寝てしまった小さいお母さんに、私はふふっと笑ってしまった。それから、私も頭を撫でる。
どうか、明日のレクがうまくいきますように。そしてホクトが、自分一人で頑張ることがありませんように。そう星に願いをかけながら、目を閉じた。
……。
…………。
……眠れない!!
明日は、いよいよレクがあるから眠らないといけないのにな。
ごろごろ。何回か寝返りをうっても……うーん、ダメそう。
一回起きちゃったほうが良いかも。星座の本でも眺めてようかな。文字を見ていれば、眠くなるかもしれないし。あ、でも電気をつけたらホクトを起こしちゃうから、そうしないように……。
「……って、あれ?」
私は自分の身の回りを見渡す。ホクトがいない!
寝相が悪くて布団から落ちちゃった? ……でも、布団の下にも、そもそも部屋の中にもいないよ。
どうして、そこへ行っちゃったの!?
「ほ、ホクトー……っ?」
小声で呼びかけてみる。
答えは返ってこない。なんで!?
前にいなくなった時は、ケンカしたからって理由が分かってた。でもこんな、何も言わずにいなくなっちゃうなんて。心配だよ。
どうするかなんて考えてないけど、私はベッドから降りた。部屋にある大きい窓から、青白い光。月の光だ。部屋全体が、青くぬられてしまったみたい。ホクトの、青がかった白い毛並みを思い出してぎゅーっと心がしめつけられる。
じんわりと目が熱くなった。慌てて上を向いて、窓の外の月でも見よう……と目を向ける。
「あ……!!」
そして思わず、声を上げた。
ホクトが、窓の外にある一階部分の屋根の上で座ってる。
私の部屋は二階にあるんだ。だから、一階の屋根に上ることが出来る。私もよく窓から出て屋根の上で星を見るけど、まさかホクトがいるなんて。
「な、なんだぁ……」
てっきり「いなくなっちゃった」と決めつけていたから、体の力が抜ける。よ、良かった。でもなんでそんなところに?
窓を開けて、「ホクト」って呼ぼうとした……けど、立ち止まった。
なぜって、その横顔が、とっても真剣だったから。
真剣に、自分の足元にあるものを見つめてる。あれって、私の本だ。間違いないよ。本棚を見る。うん、一冊分隙間がある、ここから取っていったんだ。
「ホクト……?」
本を、読んでるの? どうして、そんなに真剣で……さみしそうな顔をするの?
ページをめくる。小さい手で、必死に大きい本をおさえて。じっくりそのページを見たあと、またページをめくる。繰り返し。繰り返し。
声、かけない方がいいのかな? ……でも、放っておけないよ。
「ホクト!」
ガラッ! と窓を開ける。
ビクゥッ!!!! とホクトが肩をふるわせた。
「わ、なななななナナセ! 早起きさんだね!」
「そんなに驚かなくても……」
妙にホクトはわたわたしていた。本を隠そう、としていたけれど、自分の小さい体じゃ無理だと分かったみたい。あきらめて、ただ本を閉じた。
お互いに何も言えないで、数秒。私もなんて言葉をかけたら良いか分からないから、とりあえずホクトを抱き上げた。
「とりあえず……中入ろう? 春だけど、まだ外は肌寒いよ。風邪引いちゃう」
私は片腕にホクト、片腕に本を抱いて、部屋に入れた。一匹と一冊を床に置いて、窓を閉める。うん、ガラスでできた窓が冷たい。
「えと……かってに本を持って行って、ごめんね?」
「そんなことはいいよ。一体どうしたの?」
こんな夜に、あんな顔をして。
ホクトは少しためらっていたけれど、やがて答えてくれた。
「ナナセは……がんばってるから」
「え?」
「ワタシも、がんばらないとって、思った」
そこで、小さい子ぐまが顔を上げる。星空を閉じこめた目が、相変わらずきれいで……そして、光っていた。「勇気」とか、「決意」とか、そういう気持ちが。ホクトの目に反射する星の光たちと、一緒に。
その「気持ち」の光が強くて、びっくりする。
あんなに無邪気で自由だったホクトが、なんだか大人になったみたいだった。
「ナナセは、自分でいろんなものをつかんだよ。ニガテだった『そうぞうする』ってことも、ヒカルちゃんとの友情も。だからワタシも、ナナセに甘えてばかりじゃダメだって、思ったの!!」
「じゃあ、本を見てたのは」
「うん、ワタシだけで、『ワタシがなんなのか』っていうの探してた。でも……ダメなの。どうしても、思い出せないの。自分がなにか、わからない」
悔しそうに言ったホクトは、ポロ、ポロ。流れ星みたいな、涙を流した。
そんな。ホクトが一人で頑張っていたなんて。私……自分のことで精いっぱいで、気がつかなかった、私、ホクトのことを手伝うって言ったのに!
「ごめんね、ホクト」
「どうして!? ナナセがあやまることないよ」
「でも、私ホクトの星座探し手伝うって言ったよ。最近、それが出来てなくて……ホクト一人に頑張らせちゃった」
「それはちがうよ! 元々ワタシのことだもの。それにナナセはナナセのことを、たいせつにしてほしい」
じっと、見つめあう。
何だかあたたかいのに、切なかった。
前の私だったら、「ホクトの手伝いはムリ。『自分でやる』って言ってくれて助かった」って考えたと思う。
前のホクトだったら、「もっとワタシの星座探し手伝ってよー!!」って、ワガママ言っていたと思う。
私たち、きっと成長したんだ。だからあったかい。でも、切ないよ。お互いのことを考えているから、遠慮しあっちゃうなんて。
ホクトは、私の手をぎゅっとにぎった。
「起こして、ごめんね。ワタシももう寝るよ。だから、一緒に寝ましょ! 明日はレクなんだもんね! ワタシも楽しんじゃうぞー!」
ホクトの明るい声が、逆に苦しかった。
だけど私は無理に笑って、うなずく。
「勝手なこと、しちゃだめだからね」
「わかってまーす!!」
あぁ、どうしたらいいんだろう。私は、私のことも、ホクトのことも大切にしたい。いつか、「ナナセにめいわくかけちゃう」って、今度こそ家出したらどうしよう。星座が見つかったら、いつかはお別れ。そんなことは分かってる。
でもそれまで、せめて一緒にいたいんだ。
自分の星座が見つかって喜ぶホクトを、私は近くで見たいんだ。
そう言いたいのに、ホクトが「はやくはやく」と布団に寝かせてきたから、言えなかった。
いろいろ考えちゃって眠れない。私の手を、ぽんぽんずっと、フワフワの手はなでてくれた。まるで、お母さんみたいに。
だけどそれは、私が眠る前に止まっちゃって。代わりに聞こえてきたのは、ホクトの寝息。
先に寝てしまった小さいお母さんに、私はふふっと笑ってしまった。それから、私も頭を撫でる。
どうか、明日のレクがうまくいきますように。そしてホクトが、自分一人で頑張ることがありませんように。そう星に願いをかけながら、目を閉じた。
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