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かわの絵
清水の滝
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「逆鱗には既に意志が宿っているでしょう」
出された珈琲を飲みながら一息ついていると、息長帯比売命がそう口にした。
「意志が宿っていると、どうなるんですか?」
夏奈子が質問する。
「竜の元に戻ろうとするか、自ら登竜門に向かうかと」
「登竜門?」
夏奈子がおうむ返しに聞く。
「霊的な存在がそこを通ると、竜になれる場所のことじゃ。普通は滝じゃったり、枯れ川じゃったりするの。意外にも沢山あっての、九州だけでも9つはあるじゃろう」
宇迦之御魂が解説をする。
日頃からよく聞く言葉だけに、本当に実在とは。
「ええ、この地域の登竜門といえば、清水の滝でしょう」
息長帯比売命が頷く。
「でも、そんなに沢山あったら、次々に竜が生まれるんじゃないですか?」
夏奈子が問う。
「もちろん誰でもなれるわけではないのじゃ。長年生きた妖怪や生き物、土地神の類いでないと竜にはなれん。それに、簡単には登れぬから登竜門なのじゃ」
宇迦之御魂は壁を指し示す。
そこには2体の龍が描かれた掛軸が、吊るされていた。
互いに渦を巻きながら天を目指す2対の龍、その下の方には石の鳥居と滝が描かれている。
「とにもかくにも、登竜門を訪れて見なければ何も先に進まぬ」
「そうですね」
宇迦之御魂の言葉に頷くと、僕と夏奈子は腰をあげる。
「それで、登竜門までどうやっていきますか?」
夏奈子が質問する。
「問題ない。わしは稲荷神じゃ。大抵の神社仏閣には祠がもうけられておるからの」
「ひとっとびじゃ!」
宇迦之御魂は力こぶをつくって見せるが、ちっさすぎてほとんど変わらない。
でも、こんなに頼りになるから不思議なものだ。
「さて、準備はよいかの。姫は来ないのか?」
宇迦之御魂の言葉に息長帯比売はくびをふる。
「私は神域からは出られませんので」
「……わかった」
宇迦之御魂は頷くと、目をこちらに向ける。
「行きましょう」
ーー ーー ーー
ここは清水の滝。
高さ20mはある崖の上から、大量の水が絶えず落ち続けている。秋の紅葉と相まって、幻想的な空間になっている。
そこには、真っ白な蛇がたたずんでいた。
「おや、まさかあなたが先に来るとは思いませんでした」
「意外かい?」
蛇の視線の先には、人夜途がいた。
「そうじゃな」
「僕はこの人間の町が好きだ。僕や君が竜になることで町が消えるなら、僕は死を選ぶ」
蛇は頷く。
「僕は君を殺しに来たんだ」
「うむ」
「怖くはないのかい?」
「わしはもとよりお前の一部、お前が生き続けることこそがわしの願いじゃ。わしが死にお前が生きるなら、死など恐るるにたらず」
「そうか………」
「おや、お客さんかな?」
蛇は振り向く。
蛇の視線の先には、宇迦之御魂と二人の人間がいた。
人間の男が人夜途に駆け寄る。
「人夜途さん!」
「迷惑をかけたみたいだね。ごめん」
「迷惑じゃないです。僕は皆さんと関わるのが好きなだけですから」
人夜途と人とが気さくに話すのを見届ける。それはまるで古の人と妖怪の境目がない時代のようで。なるほど、彼らがいるなら…………。
蛇は自らの舌を噛みきる。
おびただしい量の血が流れ出る。
数秒もしないうちに、視界はボヤけ音は微かになっていく。ふと頭に温もりが感じられた。それが人のものか人夜途のものかは分からない。
ただ、できることなら。
「…………死にたくはないものじゃ」
ーー ーー ーー
出された珈琲を飲みながら一息ついていると、息長帯比売命がそう口にした。
「意志が宿っていると、どうなるんですか?」
夏奈子が質問する。
「竜の元に戻ろうとするか、自ら登竜門に向かうかと」
「登竜門?」
夏奈子がおうむ返しに聞く。
「霊的な存在がそこを通ると、竜になれる場所のことじゃ。普通は滝じゃったり、枯れ川じゃったりするの。意外にも沢山あっての、九州だけでも9つはあるじゃろう」
宇迦之御魂が解説をする。
日頃からよく聞く言葉だけに、本当に実在とは。
「ええ、この地域の登竜門といえば、清水の滝でしょう」
息長帯比売命が頷く。
「でも、そんなに沢山あったら、次々に竜が生まれるんじゃないですか?」
夏奈子が問う。
「もちろん誰でもなれるわけではないのじゃ。長年生きた妖怪や生き物、土地神の類いでないと竜にはなれん。それに、簡単には登れぬから登竜門なのじゃ」
宇迦之御魂は壁を指し示す。
そこには2体の龍が描かれた掛軸が、吊るされていた。
互いに渦を巻きながら天を目指す2対の龍、その下の方には石の鳥居と滝が描かれている。
「とにもかくにも、登竜門を訪れて見なければ何も先に進まぬ」
「そうですね」
宇迦之御魂の言葉に頷くと、僕と夏奈子は腰をあげる。
「それで、登竜門までどうやっていきますか?」
夏奈子が質問する。
「問題ない。わしは稲荷神じゃ。大抵の神社仏閣には祠がもうけられておるからの」
「ひとっとびじゃ!」
宇迦之御魂は力こぶをつくって見せるが、ちっさすぎてほとんど変わらない。
でも、こんなに頼りになるから不思議なものだ。
「さて、準備はよいかの。姫は来ないのか?」
宇迦之御魂の言葉に息長帯比売はくびをふる。
「私は神域からは出られませんので」
「……わかった」
宇迦之御魂は頷くと、目をこちらに向ける。
「行きましょう」
ーー ーー ーー
ここは清水の滝。
高さ20mはある崖の上から、大量の水が絶えず落ち続けている。秋の紅葉と相まって、幻想的な空間になっている。
そこには、真っ白な蛇がたたずんでいた。
「おや、まさかあなたが先に来るとは思いませんでした」
「意外かい?」
蛇の視線の先には、人夜途がいた。
「そうじゃな」
「僕はこの人間の町が好きだ。僕や君が竜になることで町が消えるなら、僕は死を選ぶ」
蛇は頷く。
「僕は君を殺しに来たんだ」
「うむ」
「怖くはないのかい?」
「わしはもとよりお前の一部、お前が生き続けることこそがわしの願いじゃ。わしが死にお前が生きるなら、死など恐るるにたらず」
「そうか………」
「おや、お客さんかな?」
蛇は振り向く。
蛇の視線の先には、宇迦之御魂と二人の人間がいた。
人間の男が人夜途に駆け寄る。
「人夜途さん!」
「迷惑をかけたみたいだね。ごめん」
「迷惑じゃないです。僕は皆さんと関わるのが好きなだけですから」
人夜途と人とが気さくに話すのを見届ける。それはまるで古の人と妖怪の境目がない時代のようで。なるほど、彼らがいるなら…………。
蛇は自らの舌を噛みきる。
おびただしい量の血が流れ出る。
数秒もしないうちに、視界はボヤけ音は微かになっていく。ふと頭に温もりが感じられた。それが人のものか人夜途のものかは分からない。
ただ、できることなら。
「…………死にたくはないものじゃ」
ーー ーー ーー
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感想及び投票、本当にありがとうございます!
アイデアといっても様々な書籍や神話からの引用がほとんどで、書き上げて後から読み返すとまた同じような話を書いてしまったと、苦笑してしまいます(笑)
はじめまして。
続きをを楽しみにしています。
ただ、コーヒーにこだわっているのに、どうしてペーパー・ドリップなんだろう、と思いました。
コメントありがとうございます!
質問のペーパー・ドリップについてですが、ヒロインが神であるので、紙にしました。紙は神社の紙垂(しで)にも使われるように関係が深いのですよ。あとは洒落ですね(笑)