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アリエスの女 始まりの章
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スクールの講義で一洋真帆の姿がなかった。少しほっとして講義を進めいつも通り八時半に終えた。帰宅すると九時前だろう。今夜は満月が美しいだろうと期待しながら家路についた。
町中から北へ富士山に向かってゆるい坂道をシルバーのSUV車で上る。まっすぐ広い道から十分もすると少し細く曲がりくねった道に出て周囲は木々が茂りさらに山深くなった場所に僕の家がある。庭のような広っぱが駐車場だ。駐車場の手前から車のライトと明るい月光に照らされて赤いスポーツカーがぼんやり浮かんで見えた。僕はため息をつきながら駐車し車から降りた。予想通り真帆からの声がかかる。
「先生。おかえりなさい」
「ただいま……」
まっすぐに強く見つめる瞳に言い返すことが出来ず家の中に案内した。
コーヒーを淹れ彼女にも差し出すと「いただきます」と礼儀正しく頭を下げカップを傾けた。
「で、一洋さんはどうしたいの」
一口飲んで彼女は真剣な表情で答えた。
「ワタシを観てください。身体全部。そしてセックスの仕方とか」
「……わかった。シャワーを浴びてくるよ。君はその隣の寝室にでもいなさい」
こくっと頷き真帆はオレンジ色のワンピースを翻し寝室へ入っていった。
僕は浴室に入って熱いシャワーを浴びた。眼鏡をはずしていると湯気で何も見えないに等しいが曇った鏡にはしょぼくれた中年の男が映っていることぐらいは分かる。若い女から『セックス』という単語を聞いても僕の陰茎には何の刺激も与えなかった。――まあ、鑑定だからな。やるんじゃないから役立たずでもいいか……。
田舎に引っ込んでから女性を抱いていない。もともと性欲が強いほうでもないので月に何度かのマスターベーションでことは足りている。気乗りしないが仕事だと自分に銘じて真帆のもとへ向かった。
寝室に入ると明るい照明の中、セミダブルのベッドの上に行儀よく真帆は腰かけていた。僕は電気を消しベッドサイドのプラネタリウムのような灯りを放つライトをつけてやる。天井の散りばめられた星々のような光の粒を真帆は見やった。二人で眺める。少しの静寂ののち真帆が口火を切った。
「先生。ネクタイまでしてるんですか?」
「うん。鑑定だからね。」
「まあ。そうですね。」
「じゃ、始めよう。一洋さん、二人きりでベッドインすると仮定していつも通りの振る舞いをしてもらえるかな」
「はい」
真帆にそう告げると彼女はてきぱきとワンピースの下までおよそ十個はあるだろう前ボタンをはずし始めた。ミカンの花のような白い大ぶりなボタンを三つ外しかけた時に僕はその手を制した。
「君。自分で服を脱ぐの?」
「ええ。相手の服も脱がせますよ」
「うーん」
「だめですか?ワタシの好きになる人って受け身なんですよ。待っててもじっとしてるし……」
「せめて相手の服から脱がせようか。その前に服を着たまま寄り添ったり愛撫を待ってもいいんだよ」
彼女の手を取り、僕はその手を彼女の乳房の上に起き、さらにその手の下に自分の手を差し入れた。しかし触れないようにすぐに手をひっこめる。
「こうやって導くといい」
「は、はい」
「流石に触りはじめれば積極性が出てくると思うんだ。今までの彼氏、童貞が多いの?」
「一人ワタシが初めてらしい人はいました。でもたぶん違うかなあ」
「ふむ。まあキスする前に服をさっさと脱がないようにね。男は意外とロマンチストなんだよ」
「わかりました」
「じゃ、二人とも服を脱いでペッティングを始めたとするよ。このへんで多少は相手のほうが君の上に乗っかったりしてない?」
真帆は恥ずかしそうに答える。
「やっぱりワタシが乗っかってます……」
「……もうちょっと待とうか」
「はい……」
「ちょっと何とも言いにくいけど一洋さんがワンテンポ早い感じだね。体位も騎乗位かな?」
「まあ、そうですね。わかっていても自分から動いちゃうんですよ」
真帆は自嘲的な笑みを浮かべた。確かに頭でわかっていても彼女のように活力に満ち考えるより先に身体が動いてしまうタイプには僕のアドヴァイスは実行が難しいだろう。眼鏡の位置を中指で直しながら少し考え込んでいると真帆が「あ、あのっ」と話しかけてきた。
「ん?」
「実際に抱いてみてください。実践で教えてもらわないと、ワタシ……分からないと思うんです。先生、お願いです」
「ダメだよ。さすがにそれはやめておくよ。生徒とそういう関係にはなれないよ。申し訳ないけど」
「ワタシ、スクールやめてきました。だからもう生徒じゃありません」
――えっと驚いていると真帆が突然のしかかってきた。
「ちょっと、君」
「お願い、先生」
女性の割に強い力で僕の両手首をつかみベッドに押さえつけ荒々しい口づけをしてくる。
「む、ぐ、う、むむ」
なんとか顔をそらし彼女の身体の下から抜け出す。
「だからそういう性急な行為はダメだよ。君が真剣なのがよくわかったから僕も観念するよ。よく聞いて。僕が『いい』と言うまで自分から動いてはダメだ。僕の指示に従うこと。いいね?」
「わかりました」
まっすぐに目を向けてくる真帆の顎を手に取り僕は口づけを始めることにした。
彼女の唇は上唇のほうが少し厚ぼったく口角が上向きですぐに吸い付いてきそうな形をしている。アヒル口というやつだ。この形の唇は愛らしく見えることもあるが口づけを交わしにくい。彼女をベッドに横たわらせ小首をかしげるように顔を傾けさせてから舌を差し入れる。
「優しく吸いなさい」
僕の差し入れた舌を吸わせる。絡め合わせてからお互いの唾液が十分に口の中を潤すのを感じてから僕は口づけをやめた。青いネクタイを外してサイドテーブルに置き彼女に指示をする。
「じゃ、僕のシャツのボタンをはずしなさい」
「はい」
彼女は身体を起こして濡れた唇と潤んだ瞳で言われたとおりにボタンをはずし始めた。
「ゆっくりね。はずしたら脱がしてしまわずに胸をマッサージするように撫でてごらん」
僕も彼女のワンピースのボタンをはずす。下まではずしてしまうとワンピースと同じオレンジ色のシンプルなブラジャーとショーツが見える。
「今度からキャミソールをもう一枚くらい着ておきなさい。そんなに凝った下着じゃなくていいから」
「わかりました」
彼女は従順に頷きながら僕の胸を撫でまわしている。
「あの」
「ん?」
「先生って身体逞しいんですね。もっとひょろっとしてるのかと思ってた」
頬を染めて擦りながら身体を見てくる。
「占いの仕事してる時以外はここら辺の山仕事を手伝ったりもしてるからね。勝手についた筋肉だよ」
「そうなんですか」
ワンピースを脱がしてから僕は自分でシャツを脱いだ。
「そのまま横になってて。僕がするのをじっと感じていなさい」
「――はい」
彼女はエアロビクスのインストラクターと言うだけあって無駄な贅肉なかった。しかし痩せているわけでもなく程よい筋肉と厚みのある身体でなかなかしっかりしている。乳房も固めだが大ぶりで僕の割と大きめの掌に少し余るくらいの大きさだ。薄く日焼けした肌が健康的で明るい気持ちにさせる。ブラジャーを外しても期待外れではなくしっかりとしたバストの形を保っていた。薄茶色の大ぶりな乳輪と乳首が僕を見つめているようだ。
首筋から舌を這わせ、腰のくびれを撫でて揉んでやり方に口づけをすると、彼女は少しくすぐったい様で身体をにじらせた。乳房を丸く愛撫しながら乳輪を舐めていると「ああん」と甘い声が漏れ始める。乳首にヒットさせずにじらしていると彼女は耐えられないらしく僕の肩をつかんで「じらさないでください」と乳首に誘導しようとする。
「だめでしょ。じっとしてなさい」
「だって――だって」
このままだと彼女はすぐ自分の欲求を満たそうと行動をしてしまうだろう。僕は彼女の両手を万歳させて、さっき外したネクタイで両手首をまとめて結んだ。
町中から北へ富士山に向かってゆるい坂道をシルバーのSUV車で上る。まっすぐ広い道から十分もすると少し細く曲がりくねった道に出て周囲は木々が茂りさらに山深くなった場所に僕の家がある。庭のような広っぱが駐車場だ。駐車場の手前から車のライトと明るい月光に照らされて赤いスポーツカーがぼんやり浮かんで見えた。僕はため息をつきながら駐車し車から降りた。予想通り真帆からの声がかかる。
「先生。おかえりなさい」
「ただいま……」
まっすぐに強く見つめる瞳に言い返すことが出来ず家の中に案内した。
コーヒーを淹れ彼女にも差し出すと「いただきます」と礼儀正しく頭を下げカップを傾けた。
「で、一洋さんはどうしたいの」
一口飲んで彼女は真剣な表情で答えた。
「ワタシを観てください。身体全部。そしてセックスの仕方とか」
「……わかった。シャワーを浴びてくるよ。君はその隣の寝室にでもいなさい」
こくっと頷き真帆はオレンジ色のワンピースを翻し寝室へ入っていった。
僕は浴室に入って熱いシャワーを浴びた。眼鏡をはずしていると湯気で何も見えないに等しいが曇った鏡にはしょぼくれた中年の男が映っていることぐらいは分かる。若い女から『セックス』という単語を聞いても僕の陰茎には何の刺激も与えなかった。――まあ、鑑定だからな。やるんじゃないから役立たずでもいいか……。
田舎に引っ込んでから女性を抱いていない。もともと性欲が強いほうでもないので月に何度かのマスターベーションでことは足りている。気乗りしないが仕事だと自分に銘じて真帆のもとへ向かった。
寝室に入ると明るい照明の中、セミダブルのベッドの上に行儀よく真帆は腰かけていた。僕は電気を消しベッドサイドのプラネタリウムのような灯りを放つライトをつけてやる。天井の散りばめられた星々のような光の粒を真帆は見やった。二人で眺める。少しの静寂ののち真帆が口火を切った。
「先生。ネクタイまでしてるんですか?」
「うん。鑑定だからね。」
「まあ。そうですね。」
「じゃ、始めよう。一洋さん、二人きりでベッドインすると仮定していつも通りの振る舞いをしてもらえるかな」
「はい」
真帆にそう告げると彼女はてきぱきとワンピースの下までおよそ十個はあるだろう前ボタンをはずし始めた。ミカンの花のような白い大ぶりなボタンを三つ外しかけた時に僕はその手を制した。
「君。自分で服を脱ぐの?」
「ええ。相手の服も脱がせますよ」
「うーん」
「だめですか?ワタシの好きになる人って受け身なんですよ。待っててもじっとしてるし……」
「せめて相手の服から脱がせようか。その前に服を着たまま寄り添ったり愛撫を待ってもいいんだよ」
彼女の手を取り、僕はその手を彼女の乳房の上に起き、さらにその手の下に自分の手を差し入れた。しかし触れないようにすぐに手をひっこめる。
「こうやって導くといい」
「は、はい」
「流石に触りはじめれば積極性が出てくると思うんだ。今までの彼氏、童貞が多いの?」
「一人ワタシが初めてらしい人はいました。でもたぶん違うかなあ」
「ふむ。まあキスする前に服をさっさと脱がないようにね。男は意外とロマンチストなんだよ」
「わかりました」
「じゃ、二人とも服を脱いでペッティングを始めたとするよ。このへんで多少は相手のほうが君の上に乗っかったりしてない?」
真帆は恥ずかしそうに答える。
「やっぱりワタシが乗っかってます……」
「……もうちょっと待とうか」
「はい……」
「ちょっと何とも言いにくいけど一洋さんがワンテンポ早い感じだね。体位も騎乗位かな?」
「まあ、そうですね。わかっていても自分から動いちゃうんですよ」
真帆は自嘲的な笑みを浮かべた。確かに頭でわかっていても彼女のように活力に満ち考えるより先に身体が動いてしまうタイプには僕のアドヴァイスは実行が難しいだろう。眼鏡の位置を中指で直しながら少し考え込んでいると真帆が「あ、あのっ」と話しかけてきた。
「ん?」
「実際に抱いてみてください。実践で教えてもらわないと、ワタシ……分からないと思うんです。先生、お願いです」
「ダメだよ。さすがにそれはやめておくよ。生徒とそういう関係にはなれないよ。申し訳ないけど」
「ワタシ、スクールやめてきました。だからもう生徒じゃありません」
――えっと驚いていると真帆が突然のしかかってきた。
「ちょっと、君」
「お願い、先生」
女性の割に強い力で僕の両手首をつかみベッドに押さえつけ荒々しい口づけをしてくる。
「む、ぐ、う、むむ」
なんとか顔をそらし彼女の身体の下から抜け出す。
「だからそういう性急な行為はダメだよ。君が真剣なのがよくわかったから僕も観念するよ。よく聞いて。僕が『いい』と言うまで自分から動いてはダメだ。僕の指示に従うこと。いいね?」
「わかりました」
まっすぐに目を向けてくる真帆の顎を手に取り僕は口づけを始めることにした。
彼女の唇は上唇のほうが少し厚ぼったく口角が上向きですぐに吸い付いてきそうな形をしている。アヒル口というやつだ。この形の唇は愛らしく見えることもあるが口づけを交わしにくい。彼女をベッドに横たわらせ小首をかしげるように顔を傾けさせてから舌を差し入れる。
「優しく吸いなさい」
僕の差し入れた舌を吸わせる。絡め合わせてからお互いの唾液が十分に口の中を潤すのを感じてから僕は口づけをやめた。青いネクタイを外してサイドテーブルに置き彼女に指示をする。
「じゃ、僕のシャツのボタンをはずしなさい」
「はい」
彼女は身体を起こして濡れた唇と潤んだ瞳で言われたとおりにボタンをはずし始めた。
「ゆっくりね。はずしたら脱がしてしまわずに胸をマッサージするように撫でてごらん」
僕も彼女のワンピースのボタンをはずす。下まではずしてしまうとワンピースと同じオレンジ色のシンプルなブラジャーとショーツが見える。
「今度からキャミソールをもう一枚くらい着ておきなさい。そんなに凝った下着じゃなくていいから」
「わかりました」
彼女は従順に頷きながら僕の胸を撫でまわしている。
「あの」
「ん?」
「先生って身体逞しいんですね。もっとひょろっとしてるのかと思ってた」
頬を染めて擦りながら身体を見てくる。
「占いの仕事してる時以外はここら辺の山仕事を手伝ったりもしてるからね。勝手についた筋肉だよ」
「そうなんですか」
ワンピースを脱がしてから僕は自分でシャツを脱いだ。
「そのまま横になってて。僕がするのをじっと感じていなさい」
「――はい」
彼女はエアロビクスのインストラクターと言うだけあって無駄な贅肉なかった。しかし痩せているわけでもなく程よい筋肉と厚みのある身体でなかなかしっかりしている。乳房も固めだが大ぶりで僕の割と大きめの掌に少し余るくらいの大きさだ。薄く日焼けした肌が健康的で明るい気持ちにさせる。ブラジャーを外しても期待外れではなくしっかりとしたバストの形を保っていた。薄茶色の大ぶりな乳輪と乳首が僕を見つめているようだ。
首筋から舌を這わせ、腰のくびれを撫でて揉んでやり方に口づけをすると、彼女は少しくすぐったい様で身体をにじらせた。乳房を丸く愛撫しながら乳輪を舐めていると「ああん」と甘い声が漏れ始める。乳首にヒットさせずにじらしていると彼女は耐えられないらしく僕の肩をつかんで「じらさないでください」と乳首に誘導しようとする。
「だめでしょ。じっとしてなさい」
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