タイムリターン~憧れの人に告白をすると魔導師の道が開かれます。

木端慎一

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7話

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「理由の一つ目は、まだラジタニアは外界人に慣れていなくての。街にいきなりお主が現れるとなれば、最悪、殺されていたかもしれん」

連れてこられたあとに言う内容ではない、と俺は思った。しかし、おっさんがそれを踏まえてでも俺をここに呼んだ理由が気になった。

「それは…… ずいぶん物騒だな。歓迎されていないことはわかったけど、そんな環境で修行なんてできるのか?」と素朴な疑問をぶつけてみたが、答えるのが面倒くさかったのか、おっさんは無視して話を続ける。

「二つ目の理由はここに特別講師をよんでおるんじゃ」

「特別講師? やめてくれよ…… こっちの世界の人なんだろ? 殺されたらどうすんだよ」

ただでさえ、おっさんの対応で手一杯なのに、これ以上変なのが来るのはごめんだ。

「そこは心配いらん! ワシが教えてもいいんじゃが、専門家に頼んだ方がええじゃろ。お主もきっと気に入るはずじゃ」

「教える? なにを?」

話を聞かずに「では呼ぶぞ」といっておっさんが手を叩いた。すると、突然、火柱が目の前で燃えさかり唸りをあげている。

「あつっ、今度はいったいなにしたんだ?…… って、えっ!? 女神!?」

火がおさまると、俺は目を疑った。おっさんが言っていたように、気に入るのは間違いない、とすぐに確信する。なぜなら、炎の中から現れたのはスタイルのいい美女だったからだ。スラッと長い手足にサラサラな赤い髪、鋭い目付き、そして、暴力てきともいてる胸をした女性が立っていた。
思わず女王さまと呼びたくなる容姿だ。

「あ、あなた様はいったい……」

すでに心は服従を誓っている。

「おじいさま、教える子ってこれのことですか?」

身長は俺の方がかろうじて大きいはずなのに、遥か高みから女王様は私をお見下しになられていた。

「そうじゃ、頼んだぞ。メラ」

メラ様は品定めをするように俺をまじまじとみている。
一方俺の方もメラ様に対する品定めが行われていた。視界と頭はSっ気の強い謎の女性の胸で埋め尽くされていた。

(しかし凄い胸だな、思春期の俺には刺激が強すぎる。なにカップあるんだろう、D?いや、 この感じはもっとだな、Eか?まさか……)

「Fね」

「素晴らしい、いやっ、えっ!? どうして……」

「まぁ、そうじゃろうな……」とおっさんががっかりしたようにため息をついて俺を哀れんだ目でみている。

「まさか…… また俺の心の声を…… していい時悪い時があるだろ」

おっさんを睨みつけていると、メラ様がゴミを見るかのように冷たい視線を向けておられた。

「心の声だと? なにを寝ぼけた事を言っている。 貴様の魔法素材がFということだ。そんな事も知らずにこのラジタニアにきて魔法を学ぼうというのか? あまり、調子に乗っていると燃やしてやるからそのつもりでいろ」

手に炎をまとわせながら、殺害予告をされ、すぐに木陰で休んでいるおっさんを見る「ちょっと、おい、おっさん、説明してくれよ。魔法を学ぶってなんだよ?」

同時に命の危機だと、目線でおっさんに助けを求めてもいた。

「魔法素材Fということは、つまり、最低評価ということじゃ。お主は魔法の素質ゼロということじゃな」

「そりゃそうだろ、人間なんだから、というか誰なんだよ、今にも俺を燃やそうとしてるこの人は?」

「ほう、F素材のゴミの分際で生意気だな、やはりここで灰になっておくか?」

手に纏(まと)わせた炎をさらに強めると、ようやくおっさんが「その辺にしとけ」と助けに入り、謎の女性はようやく火を消した。

「助かった……」

「ははは、気が強いじゃろ? メラはわしの孫なんじゃ。今は魔法士官学校で教官をしておっての、お主を鍛えるにはちょうどいいじゃろ?」

「孫!? 顔というかなにもかも、かけ離れすぎだろ!てことはこの人もおっさんと同じ、魔法使いなのか? 魔導士だっけ?」

女王様、いや、メラ様が鋭く睨みつける。

「おい、貴様、そんな簡単に魔導士になれると思っているのか?」

「いや、そんなこと言われたって俺魔法使いの事よくしらないし、それにおっさんは魔導師だって……」
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