タイムリターン~憧れの人に告白をすると魔導師の道が開かれます。

木端慎一

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8話

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呆れたように、ため息をつくと「1度しかいわないから、1回で覚えろ」と、この世界の魔法階級について説明をはじめた。

「この国は大きくわけて、4つの階級からなりたっている。
魔法が使えない者や魔法の必要ない生活をしている者を『シュトラ』といい。
見習いの下級魔法士から上級魔法士まで存在を『パイシャ』という」

「なるほど…… 魔法士の中にもランクがあるんですね」

「当たり前だ。そして、貴様の言う魔導士とは、魔法を導く者、つまり、上級の魔法士よりもさらに上の存在であり、階級は上から二番目の『クシャトア』になる」

「クシャトア? じゃあ、おっさんは、それなんですか?」

おっさんに横目を向けると、興味がなさそうに鼻毛を抜いてた。とてもじゃないが、そんな凄い人とは思えない

「おじいさまは『クシャトア』ではない」

「え? どういうことですか?」

「その魔導士のなかでも、限られた者しかなることのできない聖魔導師だからだ」

「聖魔導士? まだ上があるんですか?」

「そうだ。階級は『バロモン』といって、この国の最上位だ。王や司祭さまとも対等に話すことができ、この国で貴重な存在として扱われている」

「なんか…… ピンとこないんですが」

「つまり、本来貴様のような者が気軽に話しかけていいお方ではないということだ。頭の弱い貴様もここまで言われれば魔導士になることがどれほど難しいかわかっただろう」

「いや、俺なんかが魔導士になんてなれるわけないじゃないですか! 俺はただ、おっさんに言われてここに……」

話しの途中で「なるぞ」と、木陰で休んでいたおっさんが立ち上がった。

「なれるわけないだろ! 俺は普通の人間で魔法だって使えない。それに、なんで俺が魔法導師を目指すって話しになってるんだよ」

「じゃあ、お主はここになにをしにきたんじゃ?」

「な、なにをっておっさんが勝手に……」といって言葉に詰まる。おっさんは確かに俺をこの世界に連れてきた。だけど、最終的にいく決意をしたのは自分だ。

「変わりたくてきたんではないか? 今ままでよいなら別に帰ってもかまわんぞ」

「そ、それは……。 でも、俺なんかが本当に魔法を使えるようになるのか?」

「本来、魔法はだれでも使えるものなんじゃ。ただ、きっかけは必要じゃながの」

「そうなのか? でもさっき、使えない人達もいるって……」

「そのきっかけが難しいんじゃ。きっかけとは魔法ではどうにもならん。数奇な運命によって導かれるものじゃ。今のお主のようにな」

「きっかけ…… 正直、まだ自分で魔法が使えるようになるなんて、信じられないけど…… わかったよ。やってみるよ」
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