タイムリターン~憧れの人に告白をすると魔導師の道が開かれます。

木端慎一

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9話

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魔法とは、本来人間が持つオーラ(エネルギー)のようなものを実体化したものらしい。
そのため、個人の性格や性質によって魔法は変わり、どの魔法が適正かは見てみないとわからないとメラさんは説明してくれた。

再度、俺はおっさんに確認する。

「でも俺はF素材? だっけ? 素質ゼロなんだろ? 魔法なんてつかえるのか? 」

「あー、大丈夫、大丈夫」

髭をさわりながら、おっさんが答えた。少しダルそうにしているのが気になるが、そこまで大丈夫というなら信じるしかない。
おっさんは俺に向けて指をさし、口調を変える。

「んー、まぁ、なんていうか、才能ない君でも? つかえる? それが魔法? みたいな?」

「ムカつくな…… なんだよ、そのうっとうしい話し方は…… 」

「よくぞ気づいた。なかなかじゃろ? 外界人の世界で観察して身につけたんじゃ。お主知っとるか? 腰パン」

「いつの時代いったんだよ。もう死語だぞ、それ。そんなの身につけんなよ」

急に柔らかい感触が手に触れた。え?と確認すると、俺は今日まで生きてた事に感謝する。

「手をみせろ、魔法の性質をみてやる」そういってメラさんは俺の手を握り、豊潤な胸の上に俺の手を置くと、目をつぶって集中していた。

「メ、メラさん! ちょっと、そんな、俺心の準備が…… もしかして、これが魔法ですか? だとしたら男殺しの魔法なんじゃ……」

興奮して言葉が止まらない。

「黙れ、次に言葉を発したら燃やす」

「はい」

俺は手をだしたまま幸せを感じていた。あなたになら燃やされてみたいです、とは口がさけても言えない状況だ。
メラさんがなにやら呪文のようなものを唱えると手が白く光る。

「おお!これが魔法か」

「なんと!…… 」

おっさんが驚いた顔で立ち上がる。

「お前、この魔法…… 」

メラさんが目を丸くして驚いた表情をしている。

「どうしたんですか?」

「F素材の光魔法とは面白いやつじゃのう」

おっさんが嬉しそうにそう話すが、なんのことかさっぱりわからない。

「なんだよそれ? いいってことか?」

「当たり前じゃ!ワシと同じってことじゃ」

「……」ますます、いいのかわからない。

ふっ、とメラさんが笑う。「どうやらただのゴミではなさそうだな」

「二人だけで納得してないで、教えてくださいよ」

「お前の性質は光。つまり光魔法が使える。
光魔法と闇魔法は特殊魔法とも呼ばれていて、唯一決まった性質を持たない魔法だ」

「えっと……、つまり?」

「本来、私のような火や、水、電気などの個性魔法はその性質の能力しか使えない。だが、光と闇だけは例外として、光や闇の他に様々な魔法が一通り使える。もちろん限度はあるがな」

「チート魔法ってことか……」

「チート?」

「すみません。なんでもないです」

「よし、それじゃあ、明日から訓練を開始する」

「え? 今からじゃないんですか?」

「ここでは、できる事に限界がある。それとお前に魔力を少し与えといた。これで街にでても不振がられる事はないだろう」

さっきおっさんの言っていたラジタニアは外界人に慣れていない、という言葉を思い出した

なんとなく、事情を察し「あ、ありがとうございます」と答える。

「ふむ、そうじゃな、今日はもう帰ってええぞ」おっさんはそう言って魔法をかけようとしていた。

「急だな。それに帰るっていったいどこに? 俺宿なんてとってないぞ?」

「また迎えにいくでな」

問答無用でおっさんは右手を向け、魔法をかけると、お決まりともいえる体が発光し俺は意識を失った。
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