タイムリターン~憧れの人に告白をすると魔導師の道が開かれます。

木端慎一

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14話

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「死罪じゃな……」

あっさりと、おっさんはそう宣言した。わけがわからずに、俺は慌てて止める。

「おい! おっさん! 何言ってんだよ!」

「っていうのは冗談じゃ」と焦った俺をみて、笑っているおっさんに死罪を言い渡したくなるのを堪える。

「なんて冗談言うんだよ! まだこの国の事よく知らないんだから、本当だと思うだろ」

「さっきも説明したと思うが、死罪になるのは本当じゃよ」

「え? そうなのか?」

おっさんの視線は膝ま付く男に向けられる。

「この男はそれほどの覚悟をもって、お主に期待した。ということじゃろ」

男は顔を伏せたまま答えない。確かに、とふりかえる。「お前が王になれ」と話している時、この男の顔は冗談を言っているようには見えなかった。

「しかし、どこで誰がきいているかわからん、さっき話した内容はここだけの秘密じゃぞ」

おっさんがくぎをさすようにそう言うと「も、もちろんです」と静かに答えた。

「それじゃあ、ワシらはそろそろいくとするか、きっとメラが燃えるように怒ってるおるぞ」

「あの人なら本当に燃えてそうだな……」

行こうと背をむけると、男は立ち上がり、俺を呼び止める。

「おい、少年。さっきの話し忘れるなよ。俺はお前の言った事が本当かどうかこの先見届けるからな」

振り返り「わかりました」とだけ告げて魔法士官学校に向かう。

「お主がラジタニアの王か…… 面白そうな話しじゃな。ワシもその話しに乗らせてくれ」と言い出したのは、学校が見え始めた時だった。

「え、いや、あれはあの人が勝手に……」

「なんじゃ、わかったと言っておったのは嘘か?」

「そ、それは 」と言葉に詰まる。
正直、王になれるとも思わないし、これからどうなっていけばいいかなんて俺にはわからない。
けど……。

「この国は、階級制度によって苦しんでいる人がいるってことはわかったし、助けたいとも思ってるよ。でもまだ、どうしていいのかも、自分がどうなりたいかもわからないんだ…… 」

「今はそれでよい。これから見つけていけ」と答えたあと「ついたぞ!」と目の前の建物に指さした。

門番とおぼしき二人に睨まれながら、建物を見上げる。
 中世ヨーロッパの建築物を思わせる外観をしていて、小さな城のようだ。そして、校章と思われるエンブレムが屋根のすぐしたについている。
この建物の外観を見ているだけで、すでに重々しい空気が体にまとわりつくようだった。

「ここが、魔法士官学校 …… すげぇな 」
建物に圧倒されていると「なんだ貴様、なんのようだ」と門番の一人が槍を片手に前にでる。

「え? あ、すいません。魔法士の訓練をしにきました」

気づくと、おっさんがいなくなっている。肝心な時にいつもいない。

「貴様が魔法士? 見たところ外界人のようにみえるが? ん? だが、少なからず魔力はあるようだな」

「え? 俺に魔力?」と混乱していると、どこかに行っていたおっさんが姿を見せる。

「メラの魔力じゃろ。それよりこんな所でなにをぐずぐずしておる。早く入らんか」

「あ、そうか。俺確か…… メラさんから魔力を……。 それが、そこにいる門番に……」

門番に視線を向けると、門番は目を見開き、信じられない、といった表情をしながら「シルバ様!?」と驚いていた。

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