定番料理には、ちょっぴりの隠し味を。

くるみ最中

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side1.米原孝雪(まいばらたかゆき)の場合

定番料理には、ちょっぴりの隠し味を。第二話

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そうして、俺は休みの日は高井戸さんと過ごすことが多くなり、幸せな生活を送っている、はずであった。

ところが……人間とは欲が出る生き物である。
俺は、この生活に不満を持ち始めたのである。

「はあ……」

それは、高井戸さんのセックスが、淡白なことである。

もともと、高井戸さんはノーマルである。だから、俺とのセックスもごく一般的なものだし、高井戸さんは入れる側専門である。
後者には不満はない。不満があるとしたら、前者である。

「ぬぬ……」

高井戸さんがもともとノーマルなことに、俺は不安がある。このまま、普通のセックスで、高井戸さんは俺に飽きやしないかということだ。
だって、俺はそのままで濡れる女ではない。しっかりとローションを塗り込まなければ濡れない、ただの男なのだから。
だから、このまま淡白なセックスが続いたら……それが原因で、俺たちは別れることにならないだろうか。

それは嫌だ!

だから俺は、このところ機会を狙っている。
高井戸さんとの仲、もといセックスを、進化させる機会を、である。

試しに、今日、俺はひとつ自分から誘ってみることにした。
リビングでテレビを見ている高井戸さんの前に、トランクス姿で四つん這いをして歩いてみたのである。

「……」
「……?」

高井戸さんは、首を傾げている。
……全くこの……ちょっとは反応しろっつーの!
俺は、したいって言ってんの!

「……猫の真似?」
「にゃーん…………って、違う!」
あーこの……ていうか、分かった!

「わざとやってんの? とぼけてんの?」

俺はそう言いながら、高井戸さんの膝の上に肘をついて、睨み上げた。高井戸さんは二人がけのソファに座り、テレビを見ていたのが、俺にすり寄られて、ふふっと笑った。
「わざとって何が?」
「だからぁ……エッチしようよ。」
「うん? したいの?」
「うん。」
「うん、いいよ」
……随分あっさりしてんなぁ……。
こんな風にあっさりしてるから、俺がいつも不安になるってんじゃん。俺はくじけず言う。

「今日は、ソファでしてみない?」
「うん? いいよ」
……やっぱり、あっさりしてる……。

俺はむかっ腹を立てながら、ソファの上の高井戸さんの膝に乗りながら、風呂上りに着ていたTシャツを脱いだ。
「……汚れても知らないからね……」
ソファの話だ。
「ん? いいよ?」
本当にわかってるのだろうか。パジャマや何かと間違えてるんじゃないだろうか。
俺はやっぱり少しイライラしながら、俺を見てにやにやと笑っている高井戸さんの服に、手をかけた。



「あ……っはっ……はっ、はぅ……」
たか、今日は何だか興奮してるの?」

猫撫で声のような声で、高井戸さんは俺に話しかける。俺はといえば、ソファの上で高井戸さんにぐちゅぐちゅと指を入れられて、息も絶え絶えだ。
というか、しまった。俺は、今夜のことをずっと考えていて、どうやらいつもより興奮してしまったらしい。いつもより気持ちよくなるのも早ければ、感度もあがってしまって、少しのことで大きい声が出てしまう。

「孝は、ここが好きだよねぇ……」
「あー……! たっ、高井戸さん、そこ、や、やぁ……!」
「もう入れちゃおうかな」
そう掠れた声で言われて、俺ははっとする。これでは、いつものエッチと何ら同じじゃないか。
これではまた、変化がないものになってしまう。
「た、高井戸さん……! きょ、今日ちょっと……」
「ん?」
「ま、前からする? 後ろからする……?」
男には、女にないものがある。だから、最初、高井戸さんには後ろからしてもらうようにしていた。
前からされたこともある。でも、男同士に慣れない高井戸さんに気を使って、遠慮していたこともあり、どちらかというと後ろからのほうが多い……。
聞いてみたのは、高井戸さんが男同士に抵抗がなくなったか、ちょっとだけ探ってみたのだ。
高井戸さんは、俺の言うことに「そうだなあ……」と言いながら、関節の太い指を、俺のアナの中に入れて、ぐちゅぐちゅとかき混ぜている。
『どっちでもいいよ』なんて投げやりに言われたら、俺のショックは計り知れない。とにかく突っ込めればいい、みたいに言われたなら、そんなの俺の身体に満足しているとはほど遠いからだ。
俺は、ドキドキして返事を待っている。だが、その間にどうも気持ちがよくなってきてしまった。
高井戸さんの指が巧みなのである。
だんだんと、高井戸さんが俺を弄んで、からかっているようにも思えてきた。

「……あっ! ああっ……った、高井戸さ……!」
「うーん、ごめん……なかなか決まんない。」

そう言いながら、俺のいいところをひっかくように抜き差しを続けるので、俺は辛抱たまらなくなってしまった。
「――――あっ……! やっ、やあ……!!」
俺の先端から、白い飛沫ひまつがびしゅ、びしゅと飛んでしまった。
俺は快感に顔を歪めながら、高井戸さんの与えてくれた快感に酔いしれた。
俺の、完全なる失態である。

……しばらくして、俺は謝った。
「…………はぁ……っ、ご、ごめんなさい……」
「ん?」
「さ、先、いっちゃって……」
「うん、いいよ」

そう言って高井戸さんは俺にキスをしてくれる。
優しい。すごく優しくて、良いのだが、俺はこれでは不満なのである。
彼は言う。

「孝がいっちゃったし、今日は終わりにする?」
そういうわけにいくか。これじゃあ、いつも以下だ。
「……ううん、絶対にヤダ。」
「そっか、いいよ」

そう言っていつも通りにこにこと笑っているのが高井戸さんだ。
それじゃ、やなんだよ。
俺が、不満なの。

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