定番料理には、ちょっぴりの隠し味を。

くるみ最中

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side2.高井戸純(たかいどじゅん)の場合

ジムの先生 第一話

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最初に会ったときは、変わった先生だなって思った。

俺がスポーツジムに入った理由は、運動不足を解消するため。
会社がある日は、会社帰りにマシントレーニングとか、クロスフィットのようなもの、それからキックボクシングとか格闘技をもじった有酸素運動のクラスを取るのがいいなって思ってた。
それから、俺は火曜日が休みだから、その日はプールがいいなって思ってた。
一人暮らしにとってスポーツジムは、風呂に入れる場所としても重宝するんだ。
家で風呂を洗わなくて済む。それに、一人で湯船にお湯を張るのは何だかもったいない気がするでしょう。
時々、大きな風呂に気兼ねなく浸かれるのはすごく魅力だ。

平日は夜も昼も混んでいなくて、俺はこのジムが気に入った。値段も高くないし、施設も新しいし、家の駅にあるから休みの日に来るのも苦じゃない。
ただ一つ言うなら、同年代の友達が作りにくいなってことだった。

平日夜クラスの、ズンバってのを取ってみた。
人数自体が少なくて、同年代の男が少ない……。
少し年上の女の人と目が合ったけど……ジムで出会うって俺は好きじゃない。
そのための場所として通う、みたいのが嫌なんだ。
お? 風呂に入っていたら、近くの男性がすり寄ってきた。
な、なんだなんだ? なんかちょっと変わった人だ。
ごめんなさい、そっち系の人には興味がないんだ。

俺は、そんなでちょっとだけ足りなさをこのジムに感じていた。居心地の良さが足りない、という感じか。
そんなときに水泳のクラスに行ってみて、米原まいばら先生に会ったのだ。

おおっ……すごい腹筋。
水泳のインストラクターの人は、とりたてて全身鍛える、みたいな人は少ないはずだけれど。
米原先生は違うようだ。上腕二頭筋と胸筋が割とぷっくりしている。
それからすごい、引き締まった6パックの腹筋。
水泳とは別に鍛えていそうだ。
筋トレにはまる人は、自己愛というか、ナルシストな人も、ややいる。
自信をつけたい内気な人も。
ナルシスト系の人は好きじゃないけど、インストラクターとして教えるのが真剣なら、それはそれで好感がもてる。身体づくりに真面目じゃない人に教えられても、説得力がないしね。

でも先生、俺のことをぽかんと見ているのは何でなんだ?

俺が周りを見ると、他の参加者は、主婦と年のいったおじさんだけみたいだ。
おお……何か恥ずかしいな。俺の年代の男性は珍しいのかな。
そうだよな、休みの土日に来る人がきっと多いよね。

米原先生は、教えるのがとても真面目。
25メートル以上泳げる人のクラスで、丁寧にフォームを直してくれる。
「練習では、左右同じ頻度で息継ぎをしてみてください。得意なほうだけではなくて」
なるほどな。米原先生の教え方は、優しくて感じがよい。
俺は米原先生に好感をもった。
でも、先生の表情はなぜか固い。俺に教えるときは、特にだ。
あっちの、主婦の人に教える時は和やかなムードじゃないか。なんだかなあ。
主婦にもてる感じなのかな?
納得いかないなあ。

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