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SCREAM OUT
終わりの始まり
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――「the blaze、活動休止へ」
ネットニュースのヘッドラインが、スマホの画面いっぱいに躍っていた。
その文字を前に、悠人は何度も読み返す。だが、何度見ても同じだった。
人気絶頂、音楽シーンの最前線に立っていたはずのバンドが、突如として止まった。
理由は不明。公式コメントにも、志賀のSNSにも何の言及もない。
「……なんでだよ」
リビングでぽつりと呟いた声に、隣にいたあかねが顔を上げた。
「見た、the blazeのやつ。マジでやめちゃうの?」
そう言いながらも、彼女の目にも複雑な光が宿っていた。
藤代の主催フェス――その話が持ち上がったのは、ほんの数日前。
まだ終わりじゃないも出演を誘われていたばかりだった。
まるでその直後を狙ったかのように舞い込んだ。
「お前ら、“志賀の背中”追ってるんだろ?」
そんな言葉をどこかのバンドがSNSで投げてきたのも、目に入った。
でも、悠人の胸にあるのは――それだけじゃない。
「なあ、なんで……志賀さん、何も言わないんだよ」
その夜、彼は眠れなかった。
翌朝、早々に藤代から連絡が入った。
《今日、話せるか?場所はいつものハコ。なるべくメンバー全員で来い》
悠人が連絡を読み上げると、蓮と翼はすぐに頷き、結華も表情を引き締めた。
4人は無言のまま車に乗り込み、馴染みのライブハウスへ向かう。
薄暗い会場内、照明も入っていないステージに立っていたのは、藤代ただ一人。
「……来たか。座れ」
手短にそう言って、テーブルを指さすと、彼は缶コーヒーを開けた。
「もう聞いたか?the blaze、活動休止」
「……ああ」
悠人が答えると、藤代は静かに頷いた。
「アイツらがいないフェスになる。最初は正直、どうしようか迷ったよ。けど……お前らしかいねぇと思った」
彼はポケットから紙を取り出し、机に広げる。
「場所はお台場。特設ステージ3つ。サブとミドルは各8千キャパ。メインは――2万人入る」
蓮が息を呑む。
「お前らが、そのメインのトリだ。本来はブレイズにやってもらおうと思っていた」
一瞬、時間が止まったようだった。
言葉にならないまま見つめ合う4人に、藤代は続ける。
「他の出演バンドはもうすぐ発表される。お前らが出るって言ったら、みんな一気にOK出した。……そのくらい、お前らは“注目されてる”ってことだ」
藤代はぽつりとこぼす。
「このまま出て、終わりってわけにはいかねぇよな。
the blazeの背中を見てきたお前らが、今、前に出るんだ。……全部、見せろ。あのバカどもが見てないわけねぇんだからさ」
最後のその言葉に、悠人は少しだけ笑った。
「……了解。全部、鳴らすよ。俺たちが今まで、もらった分」
《SCREAM OUT》
その名とともに、すべてが解き放たれた。
藤代が仕掛ける大型フェス。その詳細がSNSで一斉に発表された瞬間、ネットは沸騰した。
3つのステージ構成、出演バンドのラインナップ、そして――タイムテーブル。
《メインステージ・トリ:まだ終わりじゃない》
ただその一文だけで、トレンドが制圧されるまでに時間はかからなかった。
《うそでしょ…あいつら、トリ!?》《まじで野音のバンドだよな?やば……》《the blazeの後任がまだ終わりじゃないって、どうかしてる(褒めてる)》
《テンペスト!? CRALW!? TAC!? Y.U.N.O!?》《ラインナップえぐい》《音楽好き全員集合だろこれ》《バンドシーンの今と未来が全部ある》
《SCREAM OUTって名前、意味わかる。あの“叫び”のバンドがトリなんだもん》
バンド界隈のファンたちの熱が、止まらなかった。
ライブ映像が次々と再拡散され、「野音のアンコール」「無題のイントロ」――
《まだ終わりじゃない》という存在の“物語”までもが再発掘されていく。
スタジオに集まった4人は、静かにそれを見ていた。
「……すげぇな。タイムライン、どこ見ても俺らの名前」
蓮がスマホの画面をスワイプしながら、嘆息混じりに言う。
翼は、ギターを拭きながら呟いた。
「……志賀さん、本気でステージを譲ったってことだよな」
結華は腕を組み、少し笑う。
「だったら、叫ぶしかないじゃん。見てろよ、SCREAM OUT。こっちの“叫び”が、本物だって証明してやる」
その言葉に、悠人は少し笑ったあと、
真剣な眼差しで譜面の“無題”に目を落とす。
まだ何かが足りない。
でも、届くと信じたい。
――ここからが、本当の勝負だ。
ネットニュースのヘッドラインが、スマホの画面いっぱいに躍っていた。
その文字を前に、悠人は何度も読み返す。だが、何度見ても同じだった。
人気絶頂、音楽シーンの最前線に立っていたはずのバンドが、突如として止まった。
理由は不明。公式コメントにも、志賀のSNSにも何の言及もない。
「……なんでだよ」
リビングでぽつりと呟いた声に、隣にいたあかねが顔を上げた。
「見た、the blazeのやつ。マジでやめちゃうの?」
そう言いながらも、彼女の目にも複雑な光が宿っていた。
藤代の主催フェス――その話が持ち上がったのは、ほんの数日前。
まだ終わりじゃないも出演を誘われていたばかりだった。
まるでその直後を狙ったかのように舞い込んだ。
「お前ら、“志賀の背中”追ってるんだろ?」
そんな言葉をどこかのバンドがSNSで投げてきたのも、目に入った。
でも、悠人の胸にあるのは――それだけじゃない。
「なあ、なんで……志賀さん、何も言わないんだよ」
その夜、彼は眠れなかった。
翌朝、早々に藤代から連絡が入った。
《今日、話せるか?場所はいつものハコ。なるべくメンバー全員で来い》
悠人が連絡を読み上げると、蓮と翼はすぐに頷き、結華も表情を引き締めた。
4人は無言のまま車に乗り込み、馴染みのライブハウスへ向かう。
薄暗い会場内、照明も入っていないステージに立っていたのは、藤代ただ一人。
「……来たか。座れ」
手短にそう言って、テーブルを指さすと、彼は缶コーヒーを開けた。
「もう聞いたか?the blaze、活動休止」
「……ああ」
悠人が答えると、藤代は静かに頷いた。
「アイツらがいないフェスになる。最初は正直、どうしようか迷ったよ。けど……お前らしかいねぇと思った」
彼はポケットから紙を取り出し、机に広げる。
「場所はお台場。特設ステージ3つ。サブとミドルは各8千キャパ。メインは――2万人入る」
蓮が息を呑む。
「お前らが、そのメインのトリだ。本来はブレイズにやってもらおうと思っていた」
一瞬、時間が止まったようだった。
言葉にならないまま見つめ合う4人に、藤代は続ける。
「他の出演バンドはもうすぐ発表される。お前らが出るって言ったら、みんな一気にOK出した。……そのくらい、お前らは“注目されてる”ってことだ」
藤代はぽつりとこぼす。
「このまま出て、終わりってわけにはいかねぇよな。
the blazeの背中を見てきたお前らが、今、前に出るんだ。……全部、見せろ。あのバカどもが見てないわけねぇんだからさ」
最後のその言葉に、悠人は少しだけ笑った。
「……了解。全部、鳴らすよ。俺たちが今まで、もらった分」
《SCREAM OUT》
その名とともに、すべてが解き放たれた。
藤代が仕掛ける大型フェス。その詳細がSNSで一斉に発表された瞬間、ネットは沸騰した。
3つのステージ構成、出演バンドのラインナップ、そして――タイムテーブル。
《メインステージ・トリ:まだ終わりじゃない》
ただその一文だけで、トレンドが制圧されるまでに時間はかからなかった。
《うそでしょ…あいつら、トリ!?》《まじで野音のバンドだよな?やば……》《the blazeの後任がまだ終わりじゃないって、どうかしてる(褒めてる)》
《テンペスト!? CRALW!? TAC!? Y.U.N.O!?》《ラインナップえぐい》《音楽好き全員集合だろこれ》《バンドシーンの今と未来が全部ある》
《SCREAM OUTって名前、意味わかる。あの“叫び”のバンドがトリなんだもん》
バンド界隈のファンたちの熱が、止まらなかった。
ライブ映像が次々と再拡散され、「野音のアンコール」「無題のイントロ」――
《まだ終わりじゃない》という存在の“物語”までもが再発掘されていく。
スタジオに集まった4人は、静かにそれを見ていた。
「……すげぇな。タイムライン、どこ見ても俺らの名前」
蓮がスマホの画面をスワイプしながら、嘆息混じりに言う。
翼は、ギターを拭きながら呟いた。
「……志賀さん、本気でステージを譲ったってことだよな」
結華は腕を組み、少し笑う。
「だったら、叫ぶしかないじゃん。見てろよ、SCREAM OUT。こっちの“叫び”が、本物だって証明してやる」
その言葉に、悠人は少し笑ったあと、
真剣な眼差しで譜面の“無題”に目を落とす。
まだ何かが足りない。
でも、届くと信じたい。
――ここからが、本当の勝負だ。
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