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第一章
情報と来客
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「と、いうわけだからレイスの事、お願いね。セバス」
「承知しましたお嬢様。レイス様、暫しの間このセバスが責任を持って身の回りのお世話、及びレイス様のお手伝いをさせていただきます」
俺は再びフィリムの家に来ている。ヨハネス様に認めてもらうまでの間、此処にいて良いと言ってくれた。
フィルムは執事のセバスさんに今回の事情を全て話してくれた。
セバスさんも微笑みながら承認してくれ、ここにいる間は、俺の使用人として動いてくれるという。
「セバスは私が生まれたからずっと世話をしてくれている名執事なの。困ったり手伝って欲しいことがあったら何でも言っていいわよ」
「お嬢様。私とて不可能な事もございます故、あまり過度に期待させては困ります」
「はは……宜しくお願いします、セバスさん」
初めて会った時からセバスさんからは凄い迫力を感じていたし、フィリムが名執事と言うくらいだ。本当に何でもこなせてしまう気がして、つい笑ってしまった。
♢
風呂へ入って脱衣所に戻ると、さっきまで着ていた服は何処かに消え、新しい服が用意されていた。
俺は着替えて、脱衣所の外で待っていた使用人さんに誘導され、リビングへ行くと、フィリムが椅子に座って本を読んでいる。俺を待っていてくれたようで、テーブルには豪華な食事が用意されていた。
「さ、食べたら今後の事を話すわよ」
話す事は勿論、黒幕探しだ。
ザガルとウイガルが敵という事は分かっている。ヨハネス様はこの二人を小物と言っていた。
その裏側にいる黒幕を捕らえなければ今回の件は解決できない。
食事も終えて、俺とフィリムは本題に入った。
「フィリム。ヨハネス様を憎んだり恨む者、もしくは魔眼を忌み嫌う者の中で伯爵より上の地位の人物で心当たりはないの?」
「私は当然として、お父様、オルダニネス国王陛下以外の全員がヨハネスの敵と認識して間違いないと思うわ」
「多いな」
「けれど、アイツを殺したいほど嫌っている奴は少ないと思う。だから、黒幕の候補は目星が着かないこともないけれど……」
言いよどむフィリム。
次の瞬間、急に公爵家が慌ただしくなった。
家の入口の方からか。使用人さんがバタバタと足音を立てて走ってきた。
「フィリム様、第一王子ダイン様がお見えです!」
「なんですって?!」
いつにも増して大きな声で驚いていた。
「第一王子って……」
「まさに話そうとしてた黒幕候補の筆頭候補よ!」
「なら俺も一緒に……!」
フィリムは首を縦に振って頷いた。
俺とフィリムは第一王子の待つ客間へ向かう。
♢
「久しぶりだな、フィリム」
「な……なんでここにダインが来るのよ。お父様は長期で国を留守にしてるって知ってるでしょ」
「フッ……今日は公爵に用はない」
「だったらなんでここに……!?」
嫌な空気感を出すような挨拶をしたのも直ぐ、第一王子の目線は俺に向けられた。
「……そうか、ヨハネスと一緒に会談をしていたのはお前だな」
「そうですが、それが何か?」
何故かわからないが、この王子と会話をしただけで、背筋が凍りつくような寒気を感じた。
「そう警戒する事もないだろう。私はお前達二人と話をしに来ただけだ」
「なんで彼まで!?」
「話せばわかる」
完全に第一王子に押されている。
「わ……わかったわよ……隣の部屋で待ってなさい……」
いつものフィリムのキッパリとした迫力がない。俺も何故かわからないがダイン王子には不気味で近寄りたくない。
しかし、これはダイン王子が黒幕なのか判断できる絶好のチャンスだ。
予期せぬ事態に戸惑いながらも、何故か指名を受けていた俺も同席の上、第一王子との会談が始まった。
「承知しましたお嬢様。レイス様、暫しの間このセバスが責任を持って身の回りのお世話、及びレイス様のお手伝いをさせていただきます」
俺は再びフィリムの家に来ている。ヨハネス様に認めてもらうまでの間、此処にいて良いと言ってくれた。
フィルムは執事のセバスさんに今回の事情を全て話してくれた。
セバスさんも微笑みながら承認してくれ、ここにいる間は、俺の使用人として動いてくれるという。
「セバスは私が生まれたからずっと世話をしてくれている名執事なの。困ったり手伝って欲しいことがあったら何でも言っていいわよ」
「お嬢様。私とて不可能な事もございます故、あまり過度に期待させては困ります」
「はは……宜しくお願いします、セバスさん」
初めて会った時からセバスさんからは凄い迫力を感じていたし、フィリムが名執事と言うくらいだ。本当に何でもこなせてしまう気がして、つい笑ってしまった。
♢
風呂へ入って脱衣所に戻ると、さっきまで着ていた服は何処かに消え、新しい服が用意されていた。
俺は着替えて、脱衣所の外で待っていた使用人さんに誘導され、リビングへ行くと、フィリムが椅子に座って本を読んでいる。俺を待っていてくれたようで、テーブルには豪華な食事が用意されていた。
「さ、食べたら今後の事を話すわよ」
話す事は勿論、黒幕探しだ。
ザガルとウイガルが敵という事は分かっている。ヨハネス様はこの二人を小物と言っていた。
その裏側にいる黒幕を捕らえなければ今回の件は解決できない。
食事も終えて、俺とフィリムは本題に入った。
「フィリム。ヨハネス様を憎んだり恨む者、もしくは魔眼を忌み嫌う者の中で伯爵より上の地位の人物で心当たりはないの?」
「私は当然として、お父様、オルダニネス国王陛下以外の全員がヨハネスの敵と認識して間違いないと思うわ」
「多いな」
「けれど、アイツを殺したいほど嫌っている奴は少ないと思う。だから、黒幕の候補は目星が着かないこともないけれど……」
言いよどむフィリム。
次の瞬間、急に公爵家が慌ただしくなった。
家の入口の方からか。使用人さんがバタバタと足音を立てて走ってきた。
「フィリム様、第一王子ダイン様がお見えです!」
「なんですって?!」
いつにも増して大きな声で驚いていた。
「第一王子って……」
「まさに話そうとしてた黒幕候補の筆頭候補よ!」
「なら俺も一緒に……!」
フィリムは首を縦に振って頷いた。
俺とフィリムは第一王子の待つ客間へ向かう。
♢
「久しぶりだな、フィリム」
「な……なんでここにダインが来るのよ。お父様は長期で国を留守にしてるって知ってるでしょ」
「フッ……今日は公爵に用はない」
「だったらなんでここに……!?」
嫌な空気感を出すような挨拶をしたのも直ぐ、第一王子の目線は俺に向けられた。
「……そうか、ヨハネスと一緒に会談をしていたのはお前だな」
「そうですが、それが何か?」
何故かわからないが、この王子と会話をしただけで、背筋が凍りつくような寒気を感じた。
「そう警戒する事もないだろう。私はお前達二人と話をしに来ただけだ」
「なんで彼まで!?」
「話せばわかる」
完全に第一王子に押されている。
「わ……わかったわよ……隣の部屋で待ってなさい……」
いつものフィリムのキッパリとした迫力がない。俺も何故かわからないがダイン王子には不気味で近寄りたくない。
しかし、これはダイン王子が黒幕なのか判断できる絶好のチャンスだ。
予期せぬ事態に戸惑いながらも、何故か指名を受けていた俺も同席の上、第一王子との会談が始まった。
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