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第二章
再会と緊急
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豊穣祭が間近になったので、久々に俺達は王宮に集まった。
「レイス、フィリム、クレア、久しぶりだな。休暇は楽しめたか?」
「おかげさまで! これはヨハネスとヨハネスの部下の方々にお土産」
すぐ食べられるように剥ぎ取り作業をしたキングタラバンガニを一体分、マジックボックスから出してプレゼントした。
キングタラバンガニを倒してからかなり時間が経過しているが、マジックボックスにずっと収納していたので、新鮮な状態が保たれている。
「ほう! 王都では滅多にお目にかからないキングタラバンガニか! ありがたくいただこう」
渡すとはいえ、量が多いので、一旦マジックボックスに収納して、あとで調理場へ持って行くことにした。
「ギルド冒険者になったのか」
「うん、クレアに剣術も習ったし、フィリムには格闘技術も習ったから、王都の近くで暴れていたメガタイガー討伐の依頼も俺とフィリムで引き受けてた」
「ほう! ギルドランクAクラスの危険種認定モンスターまで倒してしまったのか。しかも二人だけで」
「フィリムの石化魔眼が無かったら危なかったけどね」
ヨハネスは俺たちの話を聞いて満足げな顔をしていた。
「こちらも進展があった。ガブネス兄上の手下が私に毒を盛り暗殺をしようとしてきたのだが、あえてその場でグラスに注がれた物を飲み、無駄なことを二度とするなと脅し、それ以降大人しくなった」
「毒を飲んだのですか!?」
「相変わらず無茶するわね……」
普通なら毒を飲むなど有り得ない。しかし、ヨハネスの用意周到さから、何かあるのだとは思っていた。
「実際には私は毒を飲んでいない。予め毒を盛られると盗聴器から推測していたからな。毒を無効化する魔道具を予め忍ばせておいた」
ヨハネスの行動も凄いが、俺たちもいずれこれくらいの用意周到さが出来るようにしなければいけないかもしれないと思った。
「さて、まもなく豊穣祭だ。今のところガブネス兄上以外の者達も怪しい動きはないが、ガブネス兄上に関してはこのまま放置していれば処刑されることも考えるはずだ。警戒は必要だろう」
今後のことを話し合っている時に想像もしないような事件が起きようとしていた。
『南東のアーロン皇国が攻め込んでくるぞ!!』
部屋の外から大声で怒鳴る声。
「なんだと!? バカな。アーロン皇国とは不可侵条約を結んでいるはずだ!! 何故だ!? すまん、席をあけるがここで待っていてくれ」
珍しくヨハネスが慌てて席を立って部屋の扉を開けて飛び出した。
♢
「それではこれより緊急対策会議を開始する」
オルダニネス国王陛下の横に控えた宰相の宣言と同時に、臨時で集まった全員が跪く。
緊急事態には、玉座の間に王子や大臣の緊急招集がある。
大臣達、オルダニネス国王陛下、そしてガブネス第二王子が集まった。
「この度、アーロン皇国の戦闘兵士一団が我がディラスト王国に攻めてくるとの報告があった。結論を先に言う。ダイン第一王子は対談をしに遠征している。ガブネス、ヨハネス、今回は其方達に指揮官を任せる。
急ぎ戦力を集め、攻めてくる兵士達を退治せよ。王都に侵入させてはならぬ」
オルダニネス国王陛下はそれほどまでにガブネス王子の部下達の戦力とヨハネスの配下、レイス達を高く評価している。
ヨハネスはこの時、バレないように【真贋鑑定】を発動してガブネス第二王子を探っていた。
「レイス、フィリム、クレア、久しぶりだな。休暇は楽しめたか?」
「おかげさまで! これはヨハネスとヨハネスの部下の方々にお土産」
すぐ食べられるように剥ぎ取り作業をしたキングタラバンガニを一体分、マジックボックスから出してプレゼントした。
キングタラバンガニを倒してからかなり時間が経過しているが、マジックボックスにずっと収納していたので、新鮮な状態が保たれている。
「ほう! 王都では滅多にお目にかからないキングタラバンガニか! ありがたくいただこう」
渡すとはいえ、量が多いので、一旦マジックボックスに収納して、あとで調理場へ持って行くことにした。
「ギルド冒険者になったのか」
「うん、クレアに剣術も習ったし、フィリムには格闘技術も習ったから、王都の近くで暴れていたメガタイガー討伐の依頼も俺とフィリムで引き受けてた」
「ほう! ギルドランクAクラスの危険種認定モンスターまで倒してしまったのか。しかも二人だけで」
「フィリムの石化魔眼が無かったら危なかったけどね」
ヨハネスは俺たちの話を聞いて満足げな顔をしていた。
「こちらも進展があった。ガブネス兄上の手下が私に毒を盛り暗殺をしようとしてきたのだが、あえてその場でグラスに注がれた物を飲み、無駄なことを二度とするなと脅し、それ以降大人しくなった」
「毒を飲んだのですか!?」
「相変わらず無茶するわね……」
普通なら毒を飲むなど有り得ない。しかし、ヨハネスの用意周到さから、何かあるのだとは思っていた。
「実際には私は毒を飲んでいない。予め毒を盛られると盗聴器から推測していたからな。毒を無効化する魔道具を予め忍ばせておいた」
ヨハネスの行動も凄いが、俺たちもいずれこれくらいの用意周到さが出来るようにしなければいけないかもしれないと思った。
「さて、まもなく豊穣祭だ。今のところガブネス兄上以外の者達も怪しい動きはないが、ガブネス兄上に関してはこのまま放置していれば処刑されることも考えるはずだ。警戒は必要だろう」
今後のことを話し合っている時に想像もしないような事件が起きようとしていた。
『南東のアーロン皇国が攻め込んでくるぞ!!』
部屋の外から大声で怒鳴る声。
「なんだと!? バカな。アーロン皇国とは不可侵条約を結んでいるはずだ!! 何故だ!? すまん、席をあけるがここで待っていてくれ」
珍しくヨハネスが慌てて席を立って部屋の扉を開けて飛び出した。
♢
「それではこれより緊急対策会議を開始する」
オルダニネス国王陛下の横に控えた宰相の宣言と同時に、臨時で集まった全員が跪く。
緊急事態には、玉座の間に王子や大臣の緊急招集がある。
大臣達、オルダニネス国王陛下、そしてガブネス第二王子が集まった。
「この度、アーロン皇国の戦闘兵士一団が我がディラスト王国に攻めてくるとの報告があった。結論を先に言う。ダイン第一王子は対談をしに遠征している。ガブネス、ヨハネス、今回は其方達に指揮官を任せる。
急ぎ戦力を集め、攻めてくる兵士達を退治せよ。王都に侵入させてはならぬ」
オルダニネス国王陛下はそれほどまでにガブネス王子の部下達の戦力とヨハネスの配下、レイス達を高く評価している。
ヨハネスはこの時、バレないように【真贋鑑定】を発動してガブネス第二王子を探っていた。
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