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第三章
脱出は容易
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地下に連れて行かれると、予想どおり他の魔眼使いと思われる者が何人も捕らえられていた。
牢屋がいくつかあり、それぞれ均等に分けられ収容されている。
警備は意外と放置気味のようで、見張りがいない。
俺はそのうちの一つの牢屋に放り込まれた。
「鍵をかけたらそいつのロープを解いて構わん」
俺を誘導していた警備兵も、牢に鍵をかけたら出ていってしまった。
牢の中にいた人たちにロープを解いてもらう。
「ありがとうございます」
「いえ、あなたも魔眼で捕まってしまったのですか?」
「まぁ、そんなところですね」
俺は周囲に警戒しながら小声で尋ねた。
「牢屋なのに、警備が疎かな気がしますけれど……」
「俺たちに監視など必要ないからですよ……。魔眼を使えなくする空間に放り込まれてしまっては……。何度も脱出を試みましたが、全くどうすることもできないのですよ」
「なるほど」
どうやら、伯爵は致命的なミスをしたようだな。
まずはこの人たちを脱出させることを優先させることにした。
「俺はレイスと言いまして、王宮で魔眼持ちの人材を集め、魔眼で国の改革を行っていこうとしている者です」
「そうでしたか。しかし、この街へ足を踏み込んでしまったがために捕われてしまったのですね……」
「いえ、皆さんを救出しに来ました。カナリアという方にここの事情も聞いたので」
「カナリア⁉︎ カナリアもいるんですか⁉︎」
「いえ、彼女は一旦王宮へ転移させて逃しました。危険を伴うかと思ったので」
男たちは不思議そうな顔を浮かべていた。
「あなたたちもこれから一旦王都の王宮へ転移させます。おそらくそこにフィリムという者かカナリアがいるはずなので、事情を彼女たちから聞いてもらえます? 俺は伯爵を捕まえるので」
「いやいや、先ほど言ったでしょう……。魔眼は使えないんですよ。どうやって出るつもりで?」
「大丈夫です。対策済みですから」
「はい?」
俺はポケットに忍ばせておいた魔道具を取り出して手に持った。
持っている者のみ、無効化されてしまう封印は消せるのだ。
つまり、俺はこれさえ持っていれば魔眼が通常どおりに使える。
『転移!』
「ななな⁉︎」
「この転移門は王宮へつながっています。ひとまず避難してください」
おそるおそる転移門を触れ、安全だとわかったようで順番に潜っていった。
俺は順番に牢屋へ魔眼で転移して、何度も転移門を展開させて王宮へ避難させた。
「これで全員か」
「ありがとうございます‼︎ なんとお礼を言って良いのやら……」
捕らえられていた最後の魔眼持ちが門をくぐった。
「さて……、人質はもういないから遠慮することはないか」
せめて牢獄部屋の入り口の鍵くらいかけておけよ……。
ドブルネ伯爵は自信がありすぎるのか、ツメが甘すぎる。
俺は堂々と地下から歩いて地上へ向かった。
「き……貴様! 何故ここに⁉︎」
さて、反撃といきますか。
別に何か深傷を負ったわけじゃないんだけどな。
牢屋がいくつかあり、それぞれ均等に分けられ収容されている。
警備は意外と放置気味のようで、見張りがいない。
俺はそのうちの一つの牢屋に放り込まれた。
「鍵をかけたらそいつのロープを解いて構わん」
俺を誘導していた警備兵も、牢に鍵をかけたら出ていってしまった。
牢の中にいた人たちにロープを解いてもらう。
「ありがとうございます」
「いえ、あなたも魔眼で捕まってしまったのですか?」
「まぁ、そんなところですね」
俺は周囲に警戒しながら小声で尋ねた。
「牢屋なのに、警備が疎かな気がしますけれど……」
「俺たちに監視など必要ないからですよ……。魔眼を使えなくする空間に放り込まれてしまっては……。何度も脱出を試みましたが、全くどうすることもできないのですよ」
「なるほど」
どうやら、伯爵は致命的なミスをしたようだな。
まずはこの人たちを脱出させることを優先させることにした。
「俺はレイスと言いまして、王宮で魔眼持ちの人材を集め、魔眼で国の改革を行っていこうとしている者です」
「そうでしたか。しかし、この街へ足を踏み込んでしまったがために捕われてしまったのですね……」
「いえ、皆さんを救出しに来ました。カナリアという方にここの事情も聞いたので」
「カナリア⁉︎ カナリアもいるんですか⁉︎」
「いえ、彼女は一旦王宮へ転移させて逃しました。危険を伴うかと思ったので」
男たちは不思議そうな顔を浮かべていた。
「あなたたちもこれから一旦王都の王宮へ転移させます。おそらくそこにフィリムという者かカナリアがいるはずなので、事情を彼女たちから聞いてもらえます? 俺は伯爵を捕まえるので」
「いやいや、先ほど言ったでしょう……。魔眼は使えないんですよ。どうやって出るつもりで?」
「大丈夫です。対策済みですから」
「はい?」
俺はポケットに忍ばせておいた魔道具を取り出して手に持った。
持っている者のみ、無効化されてしまう封印は消せるのだ。
つまり、俺はこれさえ持っていれば魔眼が通常どおりに使える。
『転移!』
「ななな⁉︎」
「この転移門は王宮へつながっています。ひとまず避難してください」
おそるおそる転移門を触れ、安全だとわかったようで順番に潜っていった。
俺は順番に牢屋へ魔眼で転移して、何度も転移門を展開させて王宮へ避難させた。
「これで全員か」
「ありがとうございます‼︎ なんとお礼を言って良いのやら……」
捕らえられていた最後の魔眼持ちが門をくぐった。
「さて……、人質はもういないから遠慮することはないか」
せめて牢獄部屋の入り口の鍵くらいかけておけよ……。
ドブルネ伯爵は自信がありすぎるのか、ツメが甘すぎる。
俺は堂々と地下から歩いて地上へ向かった。
「き……貴様! 何故ここに⁉︎」
さて、反撃といきますか。
別に何か深傷を負ったわけじゃないんだけどな。
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