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13話 レイラ、恐怖で意識を失う
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「怪我が治っても、帰りたくないです……」
「なるほど……」
「え?」
「俺とリリに任せろ。レイラ殿は必ず守る」
「どういうことですか?」
「すまないが、レイラ殿の私情はここ最近で知った。それに、すでにミリシャス伯爵邸からそのような動きもあったからな。ベッドをここへ運んできた日があっただろう? 実はあの日、ミリシャス伯爵がここへ来ていたのだ」
せっかく汗を拭いたのに、また身体中から嫌な汗がダラダラと流れてしまった。
ユメの直後だからこそ、よけいに想像しただけで気分が悪くなり吐き気を伴ってしまうほどだった。
私は、その場で前屈みになって吐き気で死にそうになってしまう。
「だ、大丈夫か!? 少し待て!」
ガルアルム様は立ち上がり、走って部屋を飛び出た。
遠くから大声で、『リリ』と叫ぶ声と、『大至急医師をここへ!』と聞こえてくる。
まだ服を着れていない状態だが、激しい吐き気と目眩によって、そのまま意識を失ってしまった。
♢
「う……うぅ……」
「気が、ついたか……?」
まだ少しクラクラするが、精神的な問題だろう。
しかし、横を見ると私の手にはガルアラム様の手が添えられ、リリさんと医師も見守ってくれていた。
「精神的ショックによる混乱が原因でしょう。時間と共に回復はします。薬は投与済みですので、しばらくは安静に」
「医師よ、朝からすまない。助かった」
「いえいえ、当然のこと。それではお大事に」
ここでの療養生活が居心地よすぎて、感覚が変わってしまったのかもしれない。
今までは家のことでなにがあってもここまで身体に影響が出ることなどなかった。
それが当たり前の毎日だったからだろう。
しかし、一度幸せな経験をしてしまうと、もう後には戻れないようだ。
「結論だけ先に言っておく。もう、安心して良い」
「え?」
「リリは口うるさい奴だし一部の者しか知らないが、国王の血を引いているのだよ」
「え……つまり王女ですか?」
「口外はしないでくださいね。とは言っても、誰も信用しないとは思いますが」
リリさんが説明をしてくれた。
今の王妃と結ばれる前に交際をしていた人との隠し子なのだという。
しかし、リリさんを産んだことで亡くなられてしまったらしい。
国と国王という立場上、王妃は絶対に必要であったため、その後今の王妃とつながったものの、王位継承などの関係でリリさんはこの侯爵邸で専属メイドとして育てられたそうだ。
だからといって、国王や今の王妃とも深くつながりがあり、そばにはいれないものの大事にはされているらしい。
「今回はお父様にご協力を要請して、徹底的にミリシャス伯爵邸の調査を行ってもらっています」
「どうして……」
「前々からお父様も気にはなっていたようです。それに、レイラ様の身体中の傷。あれを見たら私でもどういうことかくらいは想像できましたし」
どうやらバレていたらしい。
事故による怪我だと誤魔化そうとしていたが、意味がなかったようだ。
むしろ、それを聞いたらどこか安堵のため息がでたくらいである。
「先ほど言いかけたが、ベッドを搬入した日、実は伯爵がここへ訪ねてきたのだよ。しかも、『レイラを連れ帰る』といきなり言い出したのだ」
「それで、どうしたのですか……?」
「帰ってもらったよ。怪我がまだ治っていないし翌日治療の日だと言ったにも関わらず、伯爵にしてはあまりにも不審な行動と言動だったのでね」
「それだけで良くわかりましたね……。私、もしその日に連れ帰られていたらきっと……ユメのような展開に」
信じがたいことではあるが、昨晩みたのは、もしも連れ帰られていたらどうなっていたかの正夢だったのかもしれない。
そう思うと、ガルアルム様に感謝しても足りないほどの気持ちになる。
だが、同時にガルアラム様のことが心配になってしまった。
「なるほど……」
「え?」
「俺とリリに任せろ。レイラ殿は必ず守る」
「どういうことですか?」
「すまないが、レイラ殿の私情はここ最近で知った。それに、すでにミリシャス伯爵邸からそのような動きもあったからな。ベッドをここへ運んできた日があっただろう? 実はあの日、ミリシャス伯爵がここへ来ていたのだ」
せっかく汗を拭いたのに、また身体中から嫌な汗がダラダラと流れてしまった。
ユメの直後だからこそ、よけいに想像しただけで気分が悪くなり吐き気を伴ってしまうほどだった。
私は、その場で前屈みになって吐き気で死にそうになってしまう。
「だ、大丈夫か!? 少し待て!」
ガルアルム様は立ち上がり、走って部屋を飛び出た。
遠くから大声で、『リリ』と叫ぶ声と、『大至急医師をここへ!』と聞こえてくる。
まだ服を着れていない状態だが、激しい吐き気と目眩によって、そのまま意識を失ってしまった。
♢
「う……うぅ……」
「気が、ついたか……?」
まだ少しクラクラするが、精神的な問題だろう。
しかし、横を見ると私の手にはガルアラム様の手が添えられ、リリさんと医師も見守ってくれていた。
「精神的ショックによる混乱が原因でしょう。時間と共に回復はします。薬は投与済みですので、しばらくは安静に」
「医師よ、朝からすまない。助かった」
「いえいえ、当然のこと。それではお大事に」
ここでの療養生活が居心地よすぎて、感覚が変わってしまったのかもしれない。
今までは家のことでなにがあってもここまで身体に影響が出ることなどなかった。
それが当たり前の毎日だったからだろう。
しかし、一度幸せな経験をしてしまうと、もう後には戻れないようだ。
「結論だけ先に言っておく。もう、安心して良い」
「え?」
「リリは口うるさい奴だし一部の者しか知らないが、国王の血を引いているのだよ」
「え……つまり王女ですか?」
「口外はしないでくださいね。とは言っても、誰も信用しないとは思いますが」
リリさんが説明をしてくれた。
今の王妃と結ばれる前に交際をしていた人との隠し子なのだという。
しかし、リリさんを産んだことで亡くなられてしまったらしい。
国と国王という立場上、王妃は絶対に必要であったため、その後今の王妃とつながったものの、王位継承などの関係でリリさんはこの侯爵邸で専属メイドとして育てられたそうだ。
だからといって、国王や今の王妃とも深くつながりがあり、そばにはいれないものの大事にはされているらしい。
「今回はお父様にご協力を要請して、徹底的にミリシャス伯爵邸の調査を行ってもらっています」
「どうして……」
「前々からお父様も気にはなっていたようです。それに、レイラ様の身体中の傷。あれを見たら私でもどういうことかくらいは想像できましたし」
どうやらバレていたらしい。
事故による怪我だと誤魔化そうとしていたが、意味がなかったようだ。
むしろ、それを聞いたらどこか安堵のため息がでたくらいである。
「先ほど言いかけたが、ベッドを搬入した日、実は伯爵がここへ訪ねてきたのだよ。しかも、『レイラを連れ帰る』といきなり言い出したのだ」
「それで、どうしたのですか……?」
「帰ってもらったよ。怪我がまだ治っていないし翌日治療の日だと言ったにも関わらず、伯爵にしてはあまりにも不審な行動と言動だったのでね」
「それだけで良くわかりましたね……。私、もしその日に連れ帰られていたらきっと……ユメのような展開に」
信じがたいことではあるが、昨晩みたのは、もしも連れ帰られていたらどうなっていたかの正夢だったのかもしれない。
そう思うと、ガルアルム様に感謝しても足りないほどの気持ちになる。
だが、同時にガルアラム様のことが心配になってしまった。
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