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29 ツバキ様の性格

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「私と婚約していただいたレイナ様だよ」
「えぇぇぇえええええ~~~~!? 婚約!? ……あ!! 申し遅れました。ツバキ=グレストです」
「お初にお目にかかります。レイナ=ファルアーヌと申します」

 ツバキ様の方から手をそっと差し出していただいたので、挨拶と同時に握手をかわす。
 ツバキ様とも仲良くなれそうでホッとした。

 私ってばとんだ勘違いをしていたようだ。
 もっと怖いイメージだったのだが、全くその気配はない。
 しかも普通に挨拶をしているし、ちょっとレオン様に対しての口調は幼い感じもするが、それ以外は非の打ち所などないように見える。
 そういえばレオン様が誰かに敬語を使わないのって初めて見るなぁ。
 ちょっとツバキ様が羨ましい。

「今日はどうしてまた急に呼び出したの? もしかして、婚約者自慢でも?」
「それもあるよ」
「う~~~ん……。確かにレイナさんは見た目可愛いし綺麗だし、レオン義兄にはお似合いよね~。いいなぁ」

 こんなに可愛いツバキ様にやたら褒めてくださって、とても恐縮だ。

「実はツバキに会って欲しい人がいるんだよ」
「え……? まさか縁談!? 絶対に嫌!!」

 ツバキ様は急に物凄く面倒くさそうな表情になって顔を下に向ける。

「そんなに堅く考えなくて良いんだ。ただ、友達になるくらいの感覚でいい。そのあとはツバキ次第だけどね」
「ふぅ~ん……。つまり、大人の権限で命令ってわけではないのよね?」
「そう。あくまで私が会わせてみたいと思った相手だ。もちろんその彼も私の友人だよ」

 しばらく真剣な表情になって考え黙り込む。
 そして、ツバキ様はニコリと笑った。

「おっけ~。レオン義兄の友人なら! でも、お付き合いとかは期待しないでよ? そういうのほんっとうに嫌なの。私は自分の好きになった人としか結婚とかしたくないんだから!」
「わかってるよ。もちろん気に入ってくれたら嬉しいけどね」
「うん、そういうラフなスタイルなら全然会うよ。ここでそういう話するってことは、レイナさんも共通の知り合いってこと?」

 ツバキ様は再び私の方をじーっと見つめてきた。

「そうですね。先日レオン様に紹介されたばかりなので深く関わっているわけではありませんが」
「そっか~。少し安心した。ところで……、レイナさんってどこかで会った気がするんだけど……」
「申し訳ありません! 気が付きませんでした!」

 慌てて謝った。
 でも、ツバキ様と会ったのは初めてだと思うんだけどなぁ。
 どこかで会っていただろうか。
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