【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥

文字の大きさ
10 / 71
第一章

10 街へお出かけ

しおりを挟む
 綺羅びやかな馬車に乗せていただき、ライカル様と共に出発しました。

 王都の中心部に王宮があります。
 住み込みさせていただいている公爵家は、王宮から少し離れた位置にあり、そこには王族や上流貴族が住む屋敷が他にいくつかあります。
 そこから外側に行くと貴族が住む家がズラズラと並んでいますが、ここまでは今まで住んでいたアルガルデ王国と一緒のようです。

 故郷の国と違うのは、商店や民間人が住む更に外側の雰囲気ですね。
 アルガルデ王国は治安が悪く、至る場所に警備兵や兵士が配置されていました。
 ですが、ここオーブルジェ王国にはほとんどいません。

「ライカル様、兵士や警備兵がいないようですが……」
「王宮には流石に配置していますが、街には不要でしょう。事件も滅多に起きませんからね」
「え……!?」

 国が違うだけでこんなに環境が変わるのでしょうか。
 たくさんの人間が住んでる以上、どうしてもトラブルや争い、犯罪が起こってしまうものだと思っていましたが。

「王都の皆で協力していますからね。言ってみれば街の住人一人一人が警備兵と言っても過言ではありません」
「窃盗や痴漢とかあったら住民が捕まえているのですか?」
「そもそもそんな大事件、ここ数か月起きていませんよ。前回は確か……柿泥棒が記憶に新しいですね。住民の力を合わせ、全力で極悪人を捕らえましたが。その前は確か、スカートめくり事件ですね」

 真剣な表情で話してくれているので、どうやら柿泥棒ですら大事件になるのでしょうか。

 感覚が違いすぎるので失礼な言い方になってしまいますが、ここの王都はとても平和なようで何よりです。

「さぁ、街の中心部なのでここからは二人で歩いて回りましょうか」
「い……良いのですか? 公爵殿下ともあろう方が無防備に……」
「え? 何か問題でもありますか?」

 ライカル様は不思議そうな顔をしています。
 どうやら今までの常識はない方がいいのかもしれませんね……。
 馬車から降りると、ライカル様が私の手を取ってくださり、そのまま歩きます。一緒だった護衛は少し離れた後ろから付いてきました。

 手を繋いで歩くことが、これほどまでにドキドキするものだと思いませんでした。

「この先に私のお気に入りの店があるのですが、そこで食事をしようと思います。よろしいでしょうか?」
「はい。楽しみです」

 しばらく歩くと、そこには老舗と言える小さな店がポツリと建っていました。

「ここです」
 私は今まで外食などしたことがほぼ無かったので、とても楽しみです。

「いらっしゃいませライカル様。……おや、今日はデートですかな?」
 お年は七十代くらいでしょうか。背筋もピンと伸びてて、年齢の割に元気そうな方です。
 ライカル様に対してもやたらと馴れ馴れしく話していますが、もう気にするのはやめておきます。私もこの国の住人になったのですから。

「あぁ、紹介しよう。先日知り合い、今は住み込みで私の勉強を見てくれているリリーナさんだ」
「ほう。ライカル様の教育をされるとは……さぞかし優秀な方なのでしょうな。ならば今日は腕によりをかけて調理しましょう」
「あぁ、フルコースで頼むマスター。リリーナさん、そこのテーブル席へ」

 ライカル様が椅子を引き、そこに私が座るように誘導してくれます。こういった経験が全くなかったので、彼の紳士な行動が一層際立って見えます。

「よく来られるのですか?」
「月に一度くらいですね。私の叔父……国王陛下に紹介されて気に入ったのがきっかけなんですよ」
「国王陛下ですか!?」

 この店、実は王族が出入りするお店なのでしょうか。王都が謎だらけですが、とても興味深いです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです

柚木ゆず
恋愛
 コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。  ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず
恋愛
 今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。  お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?  ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――

プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!

山田 バルス
恋愛
 王都の中央にそびえる黄金の魔塔――その頂には、選ばれし者のみが入ることを許された「王都学院」が存在する。魔法と剣の才を持つ貴族の子弟たちが集い、王国の未来を担う人材が育つこの学院に、一人の少女が通っていた。  名はベアトリス=ローデリア。金糸を編んだような髪と、透き通るような青い瞳を持つ、美しき伯爵令嬢。気品と誇りを備えた彼女は、その立ち居振る舞いひとつで周囲の目を奪う、まさに「王都の金の薔薇」と謳われる存在であった。 だが、彼女には胸に秘めた切ない想いがあった。 ――婚約者、シャルル=フォンティーヌ。  同じ伯爵家の息子であり、王都学院でも才気あふれる青年として知られる彼は、ベアトリスの幼馴染であり、未来を誓い合った相手でもある。だが、学院に入ってからというもの、シャルルは王女殿下と共に生徒会での活動に没頭するようになり、ベアトリスの前に姿を見せることすら稀になっていった。  そんなある日、ベアトリスは前世を思い出した。この世界はかつて病院に入院していた時の乙女ゲームの世界だと。  そして、自分は悪役令嬢だと。ゲームのシナリオをぶち壊すために、ベアトリスは立ち上がった。  レベルを上げに励み、頂点を極めた。これでゲームシナリオはぶち壊せる。  そう思ったベアトリスに真の目的が見つかった。前世では病院食ばかりだった。好きなものを食べられずに死んでしまった。だから、この世界では美味しいものを食べたい。ベアトリスの食への欲求を満たす旅が始まろうとしていた。

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います

菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。 その隣には見知らぬ女性が立っていた。 二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。 両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。 メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。 数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。 彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。 ※ハッピーエンド&純愛 他サイトでも掲載しております。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...