【完結】前世の記憶と知識を手に入れたので、毒殺回避して復讐します

よどら文鳥

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第三章 サンシャイン公国編

21 サンシャイン公国

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「シャイン女王陛下。またグレイ王国よりサンシャイン公国に移民する者が」
「は、ええと、はい」

 いつのまにか私はこの国の王様になってしまった。
 理由は元々住んでいたグレイ王国からの通達で領主として任せる件が、貧民街の土地は譲渡する代わりに、国交断絶宣言の文書が送られてきたのだ。
 むしろ好都合で、これで何があってもグレイ王国の貴族王族は貧民街に手出しをすることができなくなった。
 つまり、たとえ貧民街が発展していったとしても、文句も言えないし税の徴収などもできない。

 貧民街というのもグレイ王国の名残なので、今は私の名前から文字ってサンシャイン公国となった。

 私の名前もシャイン=サンシャインだ。
 言いづらい。

 そんな状況になってしまって私はいまだに慣れない。

 しかも、お風呂の噂がグレイ王国に漏れたようで、それからは移民してくる人が後をたたない。
 おかげでサンシャイン公国はすでに貧民街というほど落ちていない。
 むしろいい感じの国になっている。

「奥方様はもはや立派な女王陛下ですねぇ~」
「私どもも予想していなかったのでいまだに驚いています」

 アルマとエレナがクスクスと笑いながら私にそう言う。
 私自信、いまだにユメでも見ているんじゃないかと思っているくらいだ。

 はぁ……毎日忙しいし、いい加減に娯楽に触れたい……。

「それにしても平和になりましたよねぇ……」
「奥方様がお風呂を作られてからは栄えましたからね。シャイン様のおかげで国の無双が始まったようなものです」

 私は二人の会話を聞いてあることを思い出した。

「平和……ピンフ。国の無双……国士無双(こくしむそう)……。はぁ、麻雀みたいな娯楽でもあればなぁ」
「「まーじゃん?」」

 また私は余計なことをしてしまったのでは……。
 アルマとエレナがものすごい興味津々な顔でこちらを向いてくる。

 いくらなんでも麻雀を作るのは無理がある。
 全く同じ牌を作る技術はこの国にはないからだ。
 しかし、私は前世の記憶であることを思い出した。

「牌じゃなくてもカードでだったら……」

 私は娯楽に飢えていた。
 元々前世でアプリゲーやゲーセンを好んでいたくらいだから、遊べるものが何もない国では限界がある。
 多少高級品にはなるが、文書を送ったりするときには紙を使っている。
 つまり、紙に文字さえ書き込んでしまえば麻雀も作れるだろう。
 ただ、覚えさせるまでが苦労しそうだが。

 ダメ元で、紙を用意してもらって、手で持てるくらいのサイズになるよう均等に切る。
 私は麻雀にそこまで詳しいわけではない。
 友達同士でやってみて、面白いと思った程度だ。
 ルールと役くらいしかわかっていないが、それっぽくできれば今はいいだろう。

 漢字は覚えていないので、簡略化して『一万、二万……一草、二草、一ピン……』と書いていく。
 全部で百三十六枚にそれぞれ書いていくのは大変だったが、なんとかできた。
 点数とかは後だ後。
 とにかくできるかどうか試したかった。

 ひとまず、近くにいたアルマとエレナ、それから柔道の練習をしていたザイラスとスティールを捕まえて自家製の麻雀のルールとやりかたを教えていく。

 すぐに飽きるかと思ったが、むしろ全員が興味津々で真剣になって聞いて覚えようとしていた。
 想定以上の反応なので、作った私もそれなりに嬉しい。

 やがて役まで覚えてしまい、数日間の間、麻雀に没頭する日々となってしまった。



「シャイン様の発想の転換には毎度驚かされますね。これはぜひともサンシャイン公国の名物として広げていきたいですよ」
「スティールったら大袈裟でしょう……。私は少し楽しめればそれで良かったんだけど」
「何を言っているんだ!?」

 ザイラスが呆れたような顔をして頬を掻いていた。

「こんなに夢中になって楽しめる『げーむ』と言ったか? 広めるに決まっているだろう」
「でも、カードはこれしかないし、作るとなっても大変では?」
「それくらい俺がなんとか人材を集める。むしろ、この素晴らしいアイディアを他国にも売ればサンシャイン公国は更に発展するぞ!? そのためには、まず国の全員に普及させなければ」

 大袈裟だろう。
 あくまで私が遊びたいから作ってみて、遊びに付き合ってもらっただけなのだが。

 私の思惑はとおらず、あっという間にしっかりとした牌で作った麻雀がいくつも生産されたのだ。
 もちろん、点棒やその他もろもろも私が説明した通りに作ってくれた。

 しばらくして、サンシャイン公国では空前の麻雀ブームになり、娯楽の中心となってしまった。
 しかも、この噂がグレイ王国に広まり、いつのまにかグレイ王国に住んでいた民衆のほとんどがサンシャイン王国の住民になってしまったのだ。
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