14 / 58
14 誤字
しおりを挟む
「こ……これは誤字でしょうか……!?」
契約書類に目を通しているのだが、予定生産数に関する項目を何度も見直した。
これは確実におかしいだろうと確認したのだが……。
「いえ、間違いはありません。少なくて申し訳ございません……」
「逆ですよ! 多すぎでは? 今までの生産数の十倍以上ですよ!?」
「むしろ少なすぎだと思いますが。尚、その書類に記載されている新作の受注量は、まだ概ね全体の三割です」
驚きのあまり、私の目がまんまるになってしまった気がする。
「流石に、そこまで売れるとは思えませんが……」
「いえ、絶対に売れますとも。シェリル様のデザインですぞ。売れ残る方が不思議ですから。とはいえ、まだ全国に宣伝をしていませんからな。王宮直属の工場とはいえ生産スピードには限界があるので一部の地域にしか宣伝していないんですよ……」
「全国販売ですか……?」
驚きのあまり手が震えてしまっている。
今までは実家での直接販売だけだったし、王宮直属の仕立屋で生産してもらうとはいえ、今までどおりかと思っていた。
生産する数量は任せるとは言ったのだが、まさかの全国販売になってしまうとは……。
「シェリル様のデザインは王宮内でも非常に高い評価ですからな。特に結婚式でシェリル様が自ら着用されていたドレスは、商品化して欲しいと貴族の方々が口を揃えて言っていた程ですぞ」
「あぁ……あれだけは世界で一着のドレスにしたくて……。それから、できれば生産量を減らしていただけないでしょうか?」
「ほう……それは何故ですかな?」
「実家での販売が減ってしまわれるのではないかと……」
そもそもこの仕事は、私自身のお金儲けでやっているわけではない。どちらかというと、実家が商売繁盛するように手助けをしている方が気持ちとしては強い。
ここから全国に販売するのはいいが、王都までここから販売されては実家に影響が出てしまうだろう。
それでは本末転倒である。
「シェリル様……我々がアルブライデ家の販売を下げるようなプランを作るわけがありませんよ。王都内での需要分は全て今までどおりアルブライデ家で販売していただきます。この受注は近隣の街へ発送する分ですので……」
「え!?」
次から次へと驚きの連続である。
実家に影響がないなら問題はないのだが、売上額がとんでもない金額になってしまうに違いない。
「シェリル様……それから北の地域からは防寒服を、南の地域からは水着のデザインを作って欲しいと依頼がきております。他にも細かくご説明すると三八件依頼が……」
「なんですって!?」
嬉しい案件ではあるが、そんなに一気に描けない。
私は自分のペースを崩さない範囲で、少々遅くなってもよければという条件で全ての依頼を引き受けることにした。
これから大変になりそうだ。
でも、やりがいがあるし、なんとかやってみますか!
契約書類に目を通しているのだが、予定生産数に関する項目を何度も見直した。
これは確実におかしいだろうと確認したのだが……。
「いえ、間違いはありません。少なくて申し訳ございません……」
「逆ですよ! 多すぎでは? 今までの生産数の十倍以上ですよ!?」
「むしろ少なすぎだと思いますが。尚、その書類に記載されている新作の受注量は、まだ概ね全体の三割です」
驚きのあまり、私の目がまんまるになってしまった気がする。
「流石に、そこまで売れるとは思えませんが……」
「いえ、絶対に売れますとも。シェリル様のデザインですぞ。売れ残る方が不思議ですから。とはいえ、まだ全国に宣伝をしていませんからな。王宮直属の工場とはいえ生産スピードには限界があるので一部の地域にしか宣伝していないんですよ……」
「全国販売ですか……?」
驚きのあまり手が震えてしまっている。
今までは実家での直接販売だけだったし、王宮直属の仕立屋で生産してもらうとはいえ、今までどおりかと思っていた。
生産する数量は任せるとは言ったのだが、まさかの全国販売になってしまうとは……。
「シェリル様のデザインは王宮内でも非常に高い評価ですからな。特に結婚式でシェリル様が自ら着用されていたドレスは、商品化して欲しいと貴族の方々が口を揃えて言っていた程ですぞ」
「あぁ……あれだけは世界で一着のドレスにしたくて……。それから、できれば生産量を減らしていただけないでしょうか?」
「ほう……それは何故ですかな?」
「実家での販売が減ってしまわれるのではないかと……」
そもそもこの仕事は、私自身のお金儲けでやっているわけではない。どちらかというと、実家が商売繁盛するように手助けをしている方が気持ちとしては強い。
ここから全国に販売するのはいいが、王都までここから販売されては実家に影響が出てしまうだろう。
それでは本末転倒である。
「シェリル様……我々がアルブライデ家の販売を下げるようなプランを作るわけがありませんよ。王都内での需要分は全て今までどおりアルブライデ家で販売していただきます。この受注は近隣の街へ発送する分ですので……」
「え!?」
次から次へと驚きの連続である。
実家に影響がないなら問題はないのだが、売上額がとんでもない金額になってしまうに違いない。
「シェリル様……それから北の地域からは防寒服を、南の地域からは水着のデザインを作って欲しいと依頼がきております。他にも細かくご説明すると三八件依頼が……」
「なんですって!?」
嬉しい案件ではあるが、そんなに一気に描けない。
私は自分のペースを崩さない範囲で、少々遅くなってもよければという条件で全ての依頼を引き受けることにした。
これから大変になりそうだ。
でも、やりがいがあるし、なんとかやってみますか!
76
あなたにおすすめの小説
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。
【完結】大好きな幼馴染には愛している人がいるようです。だからわたしは頑張って仕事に生きようと思います。
たろ
恋愛
幼馴染のロード。
学校を卒業してロードは村から街へ。
街の警備隊の騎士になり、気がつけば人気者に。
ダリアは大好きなロードの近くにいたくて街に出て子爵家のメイドとして働き出した。
なかなか会うことはなくても同じ街にいるだけでも幸せだと思っていた。いつかは終わらせないといけない片思い。
ロードが恋人を作るまで、夢を見ていようと思っていたのに……何故か自分がロードの恋人になってしまった。
それも女避けのための(仮)の恋人に。
そしてとうとうロードには愛する女性が現れた。
ダリアは、静かに身を引く決意をして………
★ 短編から長編に変更させていただきます。
すみません。いつものように話が長くなってしまいました。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……
小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。
この作品は『小説家になろう』でも公開中です。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる