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7 ロイスさんの願い

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 言われたとおりにロイスさんの部屋へ向かいました。

「悪いな。得体の知れない奴が突然こんなところに呼び出しちまって。別に変なことをする気はねーからあんまり気を張らないでくれ」

 口は荒いですが、どうやら性格は紳士のようです。
 一息ついて落ち着いて話しはじめました。

「ロイスさん。私に何かご命令でしょうか? 私に出来ることならばやらせていただきたいと思います」
「いや、別に俺はお前を使用人とかメイドって扱いで考えてねーんだよな……何というか……その」

 どうしたのでしょうか。ロイスさんが今度はモジモジとしています。

「俺と友達になってくれねーか?」
「はい!?」

 突然の申し出に驚いてしまいました。

「俺こんな性格だからさ、あんまり外でも仲良い奴いねーんだ。公の場っつっても貴族の人間が綺麗事言って仲良くしてるだけで俺には合わねぇ。ここの使用人たちもどうしても俺には気を使われてしまって友達って感じじゃねーんだよ。みんないい奴なんだがな……」

「私も使用人かメイドとしてここに働かせていただくわけですから……」
「もちろん知ってるさ。だから先に言っておきてーんだ。俺には気を使わなくていいし、俺の身の回りのことは何もしなくていい。ただ話し相手として、気軽に喋れる友達になってほしいんだ」

 こういう場合はどうしたらいいのでしょうか。

 主従であるザーレムさんの息子さんですから、彼も同じように私の主従のようなお方です。
 その方にこのように命令されているわけですから従うべきなのか、それともザーレムさんに確認を取るべきか……。

「嬉しい申し出に感謝致します。しかしながらザーレムさんの判断も必要かと思いますので、少々お待ちいただけますか? 私の勝手な判断で動けませんので……」

「固いんだよなぁ……まぁ仕方がねぇか。もしも親父がオッケーだしたらでいいからさ、俺には敬語使わねーでいいから普通に接してくれよな?」
「ありがとうございます……」

 ロイスさんは寂しそうな表情をしていました。
 大変申し訳なく思ってしまったので、すぐにザーレムさんに相談しました。

 ♢

「そうか、わざわざ俺に確認してくるのは良いことだね。あいつがそう願っているなら構わないよ。使用人達にもこのことは伝えておくから、この家の中でなら遠慮なく仲良くしてやってくれたまえ」
「ありがとうございます!」

 私も嬉しくてすぐにお辞儀をしました。

「それから……ジューリー、これからは俺の許可を得なくても自分で考え自分で行動してもらって構わないからね」

「え……それではもしも間違えた行動をしてしまったら迷惑がかかるのでは……」
「そりゃ多少はな……。だが、ここの人間は全員自分で考え自ら動いてもらっているんだよ。だから主従関係はあるが、基本は全任せなのだ」

 大商人の家柄は皆このような感じなのでしょうか。
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