17 / 20
13 プランタン王国への手紙
クラルドと同居が始まってから二ヶ月。
今もプラプラプランの一室を借りて二人で生活をしているが、これといって進展はない。
お互いのことはよく知ったが、互いに謙虚しあっているので手を繋いだりとかそういう進展がないということだ。
実は私の心中はすでにクラルドに夢中なのは内緒だが。
そろそろ二人でデートくらいはしてみたい気持ちもあるのだがキッカケが作れない。
元々私はなんでもハキハキと物事を言うタイプではあるが、恋愛に関しては自分から動く度胸がない。
だが、クラルドも謙虚すぎるせいで何もしようとしてこないのだ。
そんな中、シャロンが間に入ってくれるとことがスムーズに進むということが最近わかった。
シャロンほど積極的になって介入してくれる頼もしいお方はいないだろう。
今日もシャロンが部屋に突如としてやってきたのだが。
「エルシラよ、母上から王宮に至急来て欲しいと連絡があったのじゃが」
「私? 何か用事なのかしら」
「わからぬ。とにかく至急来て欲しいとのことじゃ。兄上も一緒に」
「わかった。行くぞエルシラ」
三人で王宮へ向かう。
王宮の門を潜り抜けるのはこれで二回目だ。
二回目は顔パスで通してくれた。
もちろん、両サイドに王族が二人もいるからなのだろうが。
「お久しぶりですねエルシラさん。あれからクラルドとは仲良くやっていますか?」
「おかげさまでとても紳士で誠実なお方だとよくわかりました。ところでどのようなご用件でしょうか?」
「実はザザーレンド王国から手紙が届きましたので」
嫌な予感しかしない。
これは明らかにオルトレスから私宛に来たものに違いないだろう。
「差出人ははオルトレス=ザザーレンド。私宛に届いたものですが、これはおそらくエルシラさんにも読んでもらおうとして書いたのでしょう」
「でも、私がこの国にいるなんてことは知らないはずでは?」
「それも手紙に書いてありますよ。読んでみますか?」
逃げることはできないのだろう。
覚悟を決めて手紙を読んでみる。
途中まではセレス女王陛下宛に書いている内容と判断して間違いないだろう。
手紙の相違があったことや勘違いをしたことで謝罪している文章だ。
問題はその後だった。
『そちらに伺っているであろう聖女エルシラがお近くにいるようであればお伝えいただきたい。婚約破棄を一方的にしてしまいすまなかったと。あの件はエルシラが全て正しく、エルシラの話と言い分を聞いておけば良かったと後悔している。全てはエルシラを婚約破棄させたときにあの場にいたマーレットが仕組んだことだと知った。そのマーレットとは一時期恋仲になったものの、それを知ってからは彼女を処刑台に立たせるしか方法がなかった。それ以来私は後悔で苦しめられている。民衆からの信頼も激減し私の言うことなど誰も信用しようとはしなくなってしまった。エルシラよ、一度でいいからザザーレンドへ帰ってきてくれないだろうか? 私の口でしっかりと謝罪させていただきたい』
読んだ後に大きくため息を吐いてしまう。
マーレットという女のことは全く知らない。
オルトレスは本気で後悔をしているのだと考えられる。
だが、私の気持ちはすでにクラルドにいっている。
今更帰れと言われてももう遅いんだと思う。
「行ってこい」
「え!? クラルドがそう言うの!?」
横で一緒に見ていたクラルドからまさかの帰国宣告だ。
オルトレスのことは話している。
元婚約者の元へ平気で行けと言われて少々ショックでもある。
「もちろんここへ帰ってきてもらいたいが。このまま気持ちがもやもやした状態で結婚できるわけがないだろう? それにエルシラの飛翔があればザザーレンドまででも日帰りで帰ってこれるんだろ?」
「そりゃあまあそうだけど」
それでも躊躇う。
クラルドから気持ちがブレることはないだろうが、本人が許可しているとはいえ元婚約者と会うという行為に抵抗がある。
「エルシラよ、妾は恋愛に関しては無知じゃが。それでも昔はこの者を好きでいたんじゃろ? その者がこうやって手紙を書いてまでいるということは相当悩んで苦しんでおるのだろう。いつもの聖女の力でこの国の病気を救っているように、助けてあげればよいじゃろ」
「行ってこい。俺は待っている」
「気持ちは決まったようですね」
「すみません。一度出ていきますね」
そのまま飛翔スキルを使って全速力でザザーランドへ向かった。
オルトレスとは長い付き合いだから私にはよくわかる。
「このまま放置していたら、あの人、きっと責任を感じて自害してしまう」
まさかもうそうなってることはないだろうなと不安を感じつつとにかく急いだ。
今もプラプラプランの一室を借りて二人で生活をしているが、これといって進展はない。
お互いのことはよく知ったが、互いに謙虚しあっているので手を繋いだりとかそういう進展がないということだ。
実は私の心中はすでにクラルドに夢中なのは内緒だが。
そろそろ二人でデートくらいはしてみたい気持ちもあるのだがキッカケが作れない。
元々私はなんでもハキハキと物事を言うタイプではあるが、恋愛に関しては自分から動く度胸がない。
だが、クラルドも謙虚すぎるせいで何もしようとしてこないのだ。
そんな中、シャロンが間に入ってくれるとことがスムーズに進むということが最近わかった。
シャロンほど積極的になって介入してくれる頼もしいお方はいないだろう。
今日もシャロンが部屋に突如としてやってきたのだが。
「エルシラよ、母上から王宮に至急来て欲しいと連絡があったのじゃが」
「私? 何か用事なのかしら」
「わからぬ。とにかく至急来て欲しいとのことじゃ。兄上も一緒に」
「わかった。行くぞエルシラ」
三人で王宮へ向かう。
王宮の門を潜り抜けるのはこれで二回目だ。
二回目は顔パスで通してくれた。
もちろん、両サイドに王族が二人もいるからなのだろうが。
「お久しぶりですねエルシラさん。あれからクラルドとは仲良くやっていますか?」
「おかげさまでとても紳士で誠実なお方だとよくわかりました。ところでどのようなご用件でしょうか?」
「実はザザーレンド王国から手紙が届きましたので」
嫌な予感しかしない。
これは明らかにオルトレスから私宛に来たものに違いないだろう。
「差出人ははオルトレス=ザザーレンド。私宛に届いたものですが、これはおそらくエルシラさんにも読んでもらおうとして書いたのでしょう」
「でも、私がこの国にいるなんてことは知らないはずでは?」
「それも手紙に書いてありますよ。読んでみますか?」
逃げることはできないのだろう。
覚悟を決めて手紙を読んでみる。
途中まではセレス女王陛下宛に書いている内容と判断して間違いないだろう。
手紙の相違があったことや勘違いをしたことで謝罪している文章だ。
問題はその後だった。
『そちらに伺っているであろう聖女エルシラがお近くにいるようであればお伝えいただきたい。婚約破棄を一方的にしてしまいすまなかったと。あの件はエルシラが全て正しく、エルシラの話と言い分を聞いておけば良かったと後悔している。全てはエルシラを婚約破棄させたときにあの場にいたマーレットが仕組んだことだと知った。そのマーレットとは一時期恋仲になったものの、それを知ってからは彼女を処刑台に立たせるしか方法がなかった。それ以来私は後悔で苦しめられている。民衆からの信頼も激減し私の言うことなど誰も信用しようとはしなくなってしまった。エルシラよ、一度でいいからザザーレンドへ帰ってきてくれないだろうか? 私の口でしっかりと謝罪させていただきたい』
読んだ後に大きくため息を吐いてしまう。
マーレットという女のことは全く知らない。
オルトレスは本気で後悔をしているのだと考えられる。
だが、私の気持ちはすでにクラルドにいっている。
今更帰れと言われてももう遅いんだと思う。
「行ってこい」
「え!? クラルドがそう言うの!?」
横で一緒に見ていたクラルドからまさかの帰国宣告だ。
オルトレスのことは話している。
元婚約者の元へ平気で行けと言われて少々ショックでもある。
「もちろんここへ帰ってきてもらいたいが。このまま気持ちがもやもやした状態で結婚できるわけがないだろう? それにエルシラの飛翔があればザザーレンドまででも日帰りで帰ってこれるんだろ?」
「そりゃあまあそうだけど」
それでも躊躇う。
クラルドから気持ちがブレることはないだろうが、本人が許可しているとはいえ元婚約者と会うという行為に抵抗がある。
「エルシラよ、妾は恋愛に関しては無知じゃが。それでも昔はこの者を好きでいたんじゃろ? その者がこうやって手紙を書いてまでいるということは相当悩んで苦しんでおるのだろう。いつもの聖女の力でこの国の病気を救っているように、助けてあげればよいじゃろ」
「行ってこい。俺は待っている」
「気持ちは決まったようですね」
「すみません。一度出ていきますね」
そのまま飛翔スキルを使って全速力でザザーランドへ向かった。
オルトレスとは長い付き合いだから私にはよくわかる。
「このまま放置していたら、あの人、きっと責任を感じて自害してしまう」
まさかもうそうなってることはないだろうなと不安を感じつつとにかく急いだ。
あなたにおすすめの小説
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
追放された聖女ですが、辺境で幸せにお務めをしています 〜追放の主犯の姉は、聖女の務めに耐えられず破滅しました〜
ゆうき
恋愛
幼い頃から聖女として酷使され、家族にも愛されなかったベル。
双子の姉に婚約者を奪われ、ついには「聖女の務めを放棄し、姉に押し付けた」という濡れ衣を着せられ、危険な辺境へ追放されてしまう。
――こんな地獄から解放されるなら、どこへでも行く。
しかし、辿り着いた地でベルを待っていたのは、温かい歓迎と、人々の優しさだった。
中でも辺境伯で騎士団長のリオネルは、厳つい姿とは裏腹に穏やかで優しく、ベルを大切にしてくれた。
一方、王都では姉が聖女の務めに追い詰められ、次第に破綻していく。
さらに、リオネルの隠された秘密と、辺境を覆う瘴気の謎が、ベルの運命を大きく揺るがす――。
☆全四十六話。予約投稿済みです。タイトルを変えました。前タイトル『婚約破棄に追放? 謹んでお受けいたしますので、もう放っておいてください』☆
幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
聖女の妹によって家を追い出された私が真の聖女でした
天宮有
恋愛
グーリサ伯爵家から聖女が選ばれることになり、長女の私エステルより妹ザリカの方が優秀だった。
聖女がザリカに決まり、私は家から追い出されてしまう。
その後、追い出された私の元に、他国の王子マグリスがやって来る。
マグリスの話を聞くと私が真の聖女で、これからザリカの力は消えていくようだ。