【完結】突然婚約破棄され、国のためだと追放までされた聖女は、移動した国先の王族達から溺愛される

よどら文鳥

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13 プランタン王国への手紙

 クラルドと同居が始まってから二ヶ月。
 今もプラプラプランの一室を借りて二人で生活をしているが、これといって進展はない。
 お互いのことはよく知ったが、互いに謙虚しあっているので手を繋いだりとかそういう進展がないということだ。
 実は私の心中はすでにクラルドに夢中なのは内緒だが。

 そろそろ二人でデートくらいはしてみたい気持ちもあるのだがキッカケが作れない。
 元々私はなんでもハキハキと物事を言うタイプではあるが、恋愛に関しては自分から動く度胸がない。
 だが、クラルドも謙虚すぎるせいで何もしようとしてこないのだ。

 そんな中、シャロンが間に入ってくれるとことがスムーズに進むということが最近わかった。
 シャロンほど積極的になって介入してくれる頼もしいお方はいないだろう。
 今日もシャロンが部屋に突如としてやってきたのだが。

「エルシラよ、母上から王宮に至急来て欲しいと連絡があったのじゃが」
「私? 何か用事なのかしら」
「わからぬ。とにかく至急来て欲しいとのことじゃ。兄上も一緒に」
「わかった。行くぞエルシラ」

 三人で王宮へ向かう。
 王宮の門を潜り抜けるのはこれで二回目だ。
 二回目は顔パスで通してくれた。
 もちろん、両サイドに王族が二人もいるからなのだろうが。


「お久しぶりですねエルシラさん。あれからクラルドとは仲良くやっていますか?」
「おかげさまでとても紳士で誠実なお方だとよくわかりました。ところでどのようなご用件でしょうか?」
「実はザザーレンド王国から手紙が届きましたので」

 嫌な予感しかしない。
 これは明らかにオルトレスから私宛に来たものに違いないだろう。

「差出人ははオルトレス=ザザーレンド。私宛に届いたものですが、これはおそらくエルシラさんにも読んでもらおうとして書いたのでしょう」
「でも、私がこの国にいるなんてことは知らないはずでは?」
「それも手紙に書いてありますよ。読んでみますか?」

 逃げることはできないのだろう。
 覚悟を決めて手紙を読んでみる。
 途中まではセレス女王陛下宛に書いている内容と判断して間違いないだろう。
 手紙の相違があったことや勘違いをしたことで謝罪している文章だ。
 問題はその後だった。

『そちらに伺っているであろう聖女エルシラがお近くにいるようであればお伝えいただきたい。婚約破棄を一方的にしてしまいすまなかったと。あの件はエルシラが全て正しく、エルシラの話と言い分を聞いておけば良かったと後悔している。全てはエルシラを婚約破棄させたときにあの場にいたマーレットが仕組んだことだと知った。そのマーレットとは一時期恋仲になったものの、それを知ってからは彼女を処刑台に立たせるしか方法がなかった。それ以来私は後悔で苦しめられている。民衆からの信頼も激減し私の言うことなど誰も信用しようとはしなくなってしまった。エルシラよ、一度でいいからザザーレンドへ帰ってきてくれないだろうか? 私の口でしっかりと謝罪させていただきたい』

 読んだ後に大きくため息を吐いてしまう。
 マーレットという女のことは全く知らない。
 オルトレスは本気で後悔をしているのだと考えられる。
 だが、私の気持ちはすでにクラルドにいっている。

 今更帰れと言われてももう遅いんだと思う。

「行ってこい」
「え!? クラルドがそう言うの!?」

 横で一緒に見ていたクラルドからまさかの帰国宣告だ。
 オルトレスのことは話している。
 元婚約者の元へ平気で行けと言われて少々ショックでもある。

「もちろんここへ帰ってきてもらいたいが。このまま気持ちがもやもやした状態で結婚できるわけがないだろう? それにエルシラの飛翔があればザザーレンドまででも日帰りで帰ってこれるんだろ?」
「そりゃあまあそうだけど」

 それでも躊躇う。
 クラルドから気持ちがブレることはないだろうが、本人が許可しているとはいえ元婚約者と会うという行為に抵抗がある。

「エルシラよ、妾は恋愛に関しては無知じゃが。それでも昔はこの者を好きでいたんじゃろ? その者がこうやって手紙を書いてまでいるということは相当悩んで苦しんでおるのだろう。いつもの聖女の力でこの国の病気を救っているように、助けてあげればよいじゃろ」
「行ってこい。俺は待っている」
「気持ちは決まったようですね」

「すみません。一度出ていきますね」

 そのまま飛翔スキルを使って全速力でザザーランドへ向かった。
 オルトレスとは長い付き合いだから私にはよくわかる。

「このまま放置していたら、あの人、きっと責任を感じて自害してしまう」

 まさかもうそうなってることはないだろうなと不安を感じつつとにかく急いだ。

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