【完結】順序を守り過ぎる婚約者から、婚約破棄されました。〜幼馴染と先に婚約してたって……五歳のおままごとで誓った婚約も有効なんですか?〜

よどら文鳥

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16 判決とサプライズ

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「ザザンガは王族に危害を加えた罪で当然ながら処刑と推奨されたのだが……」
 散々な目にあったとはいえ、婚約をしていた相手が罪を犯すというのは悲しいです。
 大きなため息をはきました。

「被害にあったマーチルがな、すぐに処刑しなくとも良いと言ってるのだ。エイプリーは猛反対だったが」
「何故でしょう? 王族の命を狙っていた者が処刑を免れたケースなど聞いたことありませんが」

 マーチル殿下のお人好しな性格も驚きですが、エイプリーさんからしたらたまったものではありませんよね。婚約者が殺されかけたのですから。私だって彼を許そうとは思えません。

「私もそうだが、彼に対して一度無礼なことををしてしまった。大笑いをしてしまったのだからな……」
 確かにあのときは私としても複雑な気分になりましたが……。

「それもあるんだが、店に迷惑をかけ、営業ができない状況に追い込んだ罰をしっかりと受けてもらった方がいいだろうと言っている。ザザンガの言い方だと店側の被害に対する罰を優先し、奴流の順序を考慮しようと……」

 毒を盛った店と王都中に広がってしまい、潰れてしまいましたからね……。

「結論として、慰謝料をしっかりと払った後に鉱山行きとなった」
「順序を守るだけあって、処刑よりも重い気がしますね」

「あぁ。順序を大事にしているザザンガにとってはこれが良いだろう。当然ザザンガ家もろとも責任を負うことになるし、足りない分は家族ぐるみで必死に働かないと返済できぬ額だ。キッチリとやることをやってから、その後は一生過酷労働で反省してもらう。マーチルは即処刑よりもこの方が迷惑をかけた店も報われるだろうと判断したのだ」

 確かに即処刑では慰謝料が払えないですよね。それでは被害にあった店が報われません。

「それならば良かったんじゃないでしょうか。ザザンガさんは順序を徹底していましたし。しっかりと慰謝料を払えて、その後に罪を償えるのならば」

「勿論脱走させない為に、強制労働の上、牢獄での生活だがな」
 これでひとまずは一件落着でしょうか。
 順序を大事にするために平気で人を殺そうとまでするザザンガさんのことなど、なんとも思えなくなってしまっているのでどうなろうと知りませんが。

「さて、前回のデートはアクシデントになってしまった。次回はそのようなことにならぬようにしたい」
「やはり護衛はいた方がいいかと思います。前回は護衛が一緒でも回避できなかったかと思いますが……どこで命を狙われるかわかりませんから」

「ふむ……肝に銘じておこう……。だが次回のデートには現地に護衛を同行させられぬのだ」
「どこへ行く予定でしょう?」
「当日の楽しみにしてくれると嬉しい」

 どこへ連れて行ってくれるのでしょうか。
 前回のようなことにならないようにしたいですね。

 ♢

 フェブラーリ様とのデートです。
 護衛を連れて馬車で移動していますが、私は行き先を知りません。どうやら今回行くお店の中の一部は護衛を同行させたくないそうです。

「着いたか。ではジュリーン、行こうか」
「一体どこで──!?」

 あぁ……こういうサプライズに私はとても弱いのです。
 嬉しさのあまり涙が出てきました。

「さぁ、ここで結婚式の打ち合わせを始めよう。ジュリーンに合うウェディングドレスも新調しようか」
「は……はい。ありがとうございます!」

 フェブラーリ様と手を繋いで、店の中へ入ります。

「おいおい……またかよ兄上……」
「ジュリーンさん、わたくし達の真似ばっかりですわね」

 それはお互い様です。
 どうやらマーチル殿下達とは行動が一緒になってしまうようですね。
 ですが、お互いに幸せになるための場ですから。
 双方幸せで良いことですよね。

 流石に打ち合わせやドレスの新調は、それぞれ別々に行動します。
 お互いに幸せな結婚式を挙げましょうね。



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【後書き】

最後までありがとうございました。

途中、読者の方に不安要素が強く残ってしまった点があったことに関して、お詫びと共に、今後の作品に活かしていこうと思います。

新作のお知らせです。

新作『愛してきた義妹と婚約者に騙され、全てを奪われましたが、大商人に拾われて幸せになりました』

こちらも宜しくお願い致します。
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