【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜

よどら文鳥

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10 団長の言葉

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 綺麗に仕分けした肉や骨は馬車の荷台に積んだ。
 移動中の食料にもなるので今夜は焼肉だろう。

 さて、本題に入ろうか。
 団長が今もなおモジモジとしたような態度をとっている。
 重症かもしれないな。

「本当に怒らないか?」
「怒りませんよ?」
「シャーリー殿のことが好きなんだと言ったら?」
「怒りませんよ? って、……え!?」

 いやいやいやいやありえないって!
 今までそんな空気になったことなど一度もない。
 むしろ、私は騎士として働いているときは常に男同然のような行動ばかりしていたから、女として見られているなど微塵にも思ったことがなかった。

「冗談でなく好きなんだ。正直に言うと、レント氏と離婚すると聞いて……喜んでいる自分がいた。まぁあの男に関しては早く離れた方がいいと思っていたのもあるが……」
「まさか……冗談でしょう!?」

 団長の行動を冷静に考えてみよう。
 ……あ、あり得るかもしれない……。

「い……いつごろからですか?」
「騎士団にシャーリー殿が配属された日からだな……」

 それって私がレントと知り合う前だし。

「そ、そうでしたか。全く気がつかずにすみませんでした」

 なんで私が謝ってんだ。
 私まで頭が混乱してきてしまったぞ。

「気がつかなかったならそれでいい。俺も騎士団長としてバレないようにしていたからな。概ね団長としては任務を全うしたと言うわけだ」
「でも、レントと交際が始まったとき喜んでいてくださったではないですか」
「ポーカーフェイスだ。内心は悔しさで泣き喚いていた」

 団長は騎士としてはカッコいいんだが、普段の私生活になるとたまに弱さを見せてくるところがちょこちょこある。
 だが、そんな弱い部分を見せてくれているときは、たまにだが男としてカッコいいと思うことがあった。
 正直で素直な男が好きなのだ。

 レントのことも最初はそういう人だと思っていて、実際に態度が素直だったから結婚までしてしまった。
 結婚生活後に性格が一気に変わってしまったが。

「団長として交際は諦めていた。だが、馬車の中でシャーリー殿とずっと一緒にいて、もう黙っていることができなくてな……すまない」
「……」

 どうしよう……。
 うーーーーん……。
 というか、どうしたらいいんだ?
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