10 / 12
10 団長の言葉
しおりを挟む
綺麗に仕分けした肉や骨は馬車の荷台に積んだ。
移動中の食料にもなるので今夜は焼肉だろう。
さて、本題に入ろうか。
団長が今もなおモジモジとしたような態度をとっている。
重症かもしれないな。
「本当に怒らないか?」
「怒りませんよ?」
「シャーリー殿のことが好きなんだと言ったら?」
「怒りませんよ? って、……え!?」
いやいやいやいやありえないって!
今までそんな空気になったことなど一度もない。
むしろ、私は騎士として働いているときは常に男同然のような行動ばかりしていたから、女として見られているなど微塵にも思ったことがなかった。
「冗談でなく好きなんだ。正直に言うと、レント氏と離婚すると聞いて……喜んでいる自分がいた。まぁあの男に関しては早く離れた方がいいと思っていたのもあるが……」
「まさか……冗談でしょう!?」
団長の行動を冷静に考えてみよう。
……あ、あり得るかもしれない……。
「い……いつごろからですか?」
「騎士団にシャーリー殿が配属された日からだな……」
それって私がレントと知り合う前だし。
「そ、そうでしたか。全く気がつかずにすみませんでした」
なんで私が謝ってんだ。
私まで頭が混乱してきてしまったぞ。
「気がつかなかったならそれでいい。俺も騎士団長としてバレないようにしていたからな。概ね団長としては任務を全うしたと言うわけだ」
「でも、レントと交際が始まったとき喜んでいてくださったではないですか」
「ポーカーフェイスだ。内心は悔しさで泣き喚いていた」
団長は騎士としてはカッコいいんだが、普段の私生活になるとたまに弱さを見せてくるところがちょこちょこある。
だが、そんな弱い部分を見せてくれているときは、たまにだが男としてカッコいいと思うことがあった。
正直で素直な男が好きなのだ。
レントのことも最初はそういう人だと思っていて、実際に態度が素直だったから結婚までしてしまった。
結婚生活後に性格が一気に変わってしまったが。
「団長として交際は諦めていた。だが、馬車の中でシャーリー殿とずっと一緒にいて、もう黙っていることができなくてな……すまない」
「……」
どうしよう……。
うーーーーん……。
というか、どうしたらいいんだ?
移動中の食料にもなるので今夜は焼肉だろう。
さて、本題に入ろうか。
団長が今もなおモジモジとしたような態度をとっている。
重症かもしれないな。
「本当に怒らないか?」
「怒りませんよ?」
「シャーリー殿のことが好きなんだと言ったら?」
「怒りませんよ? って、……え!?」
いやいやいやいやありえないって!
今までそんな空気になったことなど一度もない。
むしろ、私は騎士として働いているときは常に男同然のような行動ばかりしていたから、女として見られているなど微塵にも思ったことがなかった。
「冗談でなく好きなんだ。正直に言うと、レント氏と離婚すると聞いて……喜んでいる自分がいた。まぁあの男に関しては早く離れた方がいいと思っていたのもあるが……」
「まさか……冗談でしょう!?」
団長の行動を冷静に考えてみよう。
……あ、あり得るかもしれない……。
「い……いつごろからですか?」
「騎士団にシャーリー殿が配属された日からだな……」
それって私がレントと知り合う前だし。
「そ、そうでしたか。全く気がつかずにすみませんでした」
なんで私が謝ってんだ。
私まで頭が混乱してきてしまったぞ。
「気がつかなかったならそれでいい。俺も騎士団長としてバレないようにしていたからな。概ね団長としては任務を全うしたと言うわけだ」
「でも、レントと交際が始まったとき喜んでいてくださったではないですか」
「ポーカーフェイスだ。内心は悔しさで泣き喚いていた」
団長は騎士としてはカッコいいんだが、普段の私生活になるとたまに弱さを見せてくるところがちょこちょこある。
だが、そんな弱い部分を見せてくれているときは、たまにだが男としてカッコいいと思うことがあった。
正直で素直な男が好きなのだ。
レントのことも最初はそういう人だと思っていて、実際に態度が素直だったから結婚までしてしまった。
結婚生活後に性格が一気に変わってしまったが。
「団長として交際は諦めていた。だが、馬車の中でシャーリー殿とずっと一緒にいて、もう黙っていることができなくてな……すまない」
「……」
どうしよう……。
うーーーーん……。
というか、どうしたらいいんだ?
437
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
私が家出をしたことを知って、旦那様は分かりやすく後悔し始めたようです
睡蓮
恋愛
リヒト侯爵様、婚約者である私がいなくなった後で、どうぞお好きなようになさってください。あなたがどれだけ焦ろうとも、もう私には関係のない話ですので。
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!
柚屋志宇
恋愛
「お前を愛することはない」
『氷の騎士』侯爵令息ライナスは、伯爵令嬢セルマに白い結婚を宣言した。
セルマは家同士の政略による契約結婚と割り切ってライナスの妻となり、二年後の離縁の日を待つ。
しかし結婚すると、最初は冷たかったライナスだが次第にセルマに好意的になる。
だがセルマは離縁の日が待ち遠しい。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる