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取引の真実(後)
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「ジオンの持っている魔道具はその場の音声を録音したり再生できる優れものでな。ロブリー殿との対談の際に記録しておいたのだよ」
「ブラークメリル王国の技師から買い取ったと聞きましたが」
「あぁ。ブラックメリル王国は技術、産業、どれをとっても素晴らしい国だからな。我が国も体制さえ整えば……おっと、少々静かにしててもらいたい」
クラフト陛下の宣言で全員が無言になり、魔道具から音声が流れてきた。
ロブリー陛下とクラフト陛下の声がその場にいるかのように聞こえてくる。
こんな凄い魔道具がブラークメリル王国に存在していたなんて、私は初めて知った。
確かこホワイトラブリー王国で対談した時期がロブリーが国王になったばかりのころだったはず。
クラフト陛下も同時期に国王に就任したようで、お互いに国の政策や方針について話し合っているようだ。
『……であるからに、我が国では今後はあらゆる面で節約、経費削減を行っていく所存です』
『あまり無理のなさらぬよう……』
『他国では皆聖女に金を使うようですが、我が国では聖女に対して無駄な出費は行わないつもりでしてね』
『正気です? 貴国の聖女はたった一人で国全体に結界を張るという噂を聞いたことがありますがな……』
『はっはっは、無駄な出費ですよ。欲しいなら買い取って欲しいくらいですよ』
『一人で国全体の結界ともなると、不謹慎ながら例えばですが王金貨三十枚でも喉から手が出そうなほど需要があるでしょうな』
『な!? ならば王金貨五十枚でも買うと!?』
『まぁ、そうでしょうな……。ただ、人間を売買という──』
『ではそういうことでよろしく頼みます』
『…………?』
『確認ですが、王金貨五十枚でいいのですな?』
『まぁ、取引という意味ならば……ただ何回もいいますが人間を売買──』
『あざます!!』
音声を聞いていて、私は大きくため息を吐いた。
アメリも物凄く気まずそうな顔をしている。
「つまり、ロブリー殿は我が国がイデアを王金貨五十枚で買い取ると誤解したと……。なにも知らずにイデアは国外追放のようなことをされてしまったというわけか……」
「兄上。他国のこととは言え、さすがにこれは酷すぎかと!」
「ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」
私はクラフト陛下とジオン殿下に対して深々と頭を下げた。
続けてアメリも一緒になって頭を下げてくれる。
「顔を上げたまえ。君たちには何の責任もあるまい……」
「そもそも兄上が人身売買などするわけがない!! あの国王は会った時から気に食わなかったが、まさかこんなに人の話を聞けない愚かな者だったとは……」
私はそれを聞いて安心した。
ホワイトラブリー王国で生きていくにしても、お金で私を買うような国ではまた社畜のような生活が待っているんじゃないかと考えていたからだ。
だが、そもそもの誤解であるから、完全な無職になっちゃったわけだけど……。
さて、ホワイトラブリー王国で私とアメリの移民を許可してもらえるように頼まなきゃ。
と、口を開こうかと思っていた矢先、先行してクラフト陛下がとんでもない提案をしてきたのだった。
「イデアが良ければの話だが……、この国で聖女として活動する気はないかね?」
「へ!?」
願ってもない提案をしてくださり、ついいつもの変な声が出てしまった。
しかも大きめの声で……。
「ブラークメリル王国の技師から買い取ったと聞きましたが」
「あぁ。ブラックメリル王国は技術、産業、どれをとっても素晴らしい国だからな。我が国も体制さえ整えば……おっと、少々静かにしててもらいたい」
クラフト陛下の宣言で全員が無言になり、魔道具から音声が流れてきた。
ロブリー陛下とクラフト陛下の声がその場にいるかのように聞こえてくる。
こんな凄い魔道具がブラークメリル王国に存在していたなんて、私は初めて知った。
確かこホワイトラブリー王国で対談した時期がロブリーが国王になったばかりのころだったはず。
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『あまり無理のなさらぬよう……』
『他国では皆聖女に金を使うようですが、我が国では聖女に対して無駄な出費は行わないつもりでしてね』
『正気です? 貴国の聖女はたった一人で国全体に結界を張るという噂を聞いたことがありますがな……』
『はっはっは、無駄な出費ですよ。欲しいなら買い取って欲しいくらいですよ』
『一人で国全体の結界ともなると、不謹慎ながら例えばですが王金貨三十枚でも喉から手が出そうなほど需要があるでしょうな』
『な!? ならば王金貨五十枚でも買うと!?』
『まぁ、そうでしょうな……。ただ、人間を売買という──』
『ではそういうことでよろしく頼みます』
『…………?』
『確認ですが、王金貨五十枚でいいのですな?』
『まぁ、取引という意味ならば……ただ何回もいいますが人間を売買──』
『あざます!!』
音声を聞いていて、私は大きくため息を吐いた。
アメリも物凄く気まずそうな顔をしている。
「つまり、ロブリー殿は我が国がイデアを王金貨五十枚で買い取ると誤解したと……。なにも知らずにイデアは国外追放のようなことをされてしまったというわけか……」
「兄上。他国のこととは言え、さすがにこれは酷すぎかと!」
「ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」
私はクラフト陛下とジオン殿下に対して深々と頭を下げた。
続けてアメリも一緒になって頭を下げてくれる。
「顔を上げたまえ。君たちには何の責任もあるまい……」
「そもそも兄上が人身売買などするわけがない!! あの国王は会った時から気に食わなかったが、まさかこんなに人の話を聞けない愚かな者だったとは……」
私はそれを聞いて安心した。
ホワイトラブリー王国で生きていくにしても、お金で私を買うような国ではまた社畜のような生活が待っているんじゃないかと考えていたからだ。
だが、そもそもの誤解であるから、完全な無職になっちゃったわけだけど……。
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と、口を開こうかと思っていた矢先、先行してクラフト陛下がとんでもない提案をしてきたのだった。
「イデアが良ければの話だが……、この国で聖女として活動する気はないかね?」
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しかも大きめの声で……。
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