16 / 27
専属のお世話係ができた
しおりを挟む
マリアに聖なる力の指導を終えたあと、私は重大な問題に直面したことに気がついた。
今まで成り行きで流されたように過ごしてきていたため、気がつかなかったのだ。
(この先、どこで寝泊りすればいいんだろう……)
お金もない、土地勘もない、ホワイトラブリー王国の王都へ出たこともない、治安もわかんない、と……なにもかもがわからないし貧乏なのだ。
そういえば一緒にここへ来たアメリはどうしているのだろうか。
私自身は体力が回復できるまでずっと病室で過ごしてきた。
だが、今はすっかり元気になったし病室で過ごすわけにもいかない。
頼りのアメリを探すにしても、私だけで単独行動したら迷子になりそうだ。
マリアが部屋から退室した後、私はこの応接室で一人ぼっちで悩んでいたのだが……。
「失礼します」
「あ、アメリ!!」
「イデア様……、元気になられたようで」
最後に会ったときのアメリの格好とは違い、かなりの変化がある。
服装から察するに、充実した毎日を送れているに違いない。
久しぶりの再会で、私は涙すら溢してしまいそうなほど嬉しかった。
「アメリも元気にしている? ホワイトラブリー王国は慣れたの?」
「はい。イデア様のおかげで、私もひとつ仕事を任されました。しかも聞いてくださいっ!」
アメリが今まで見せてきたことがないような、とてもニコやかで満面の笑みをしながら私の両手をギュッと握ってきた。
「アメリ……?」
「今後、イデア様のお世話係りを担当することになったんですよ!?」
「私のお世話?」
「はい! つまりメイドや使用人といったところでしょうか」
アメリが一緒についていてくれるのは非常に助かるしありがたい。
だが、肝心な問題があるのだ。
「私、今後住む場所もないし、アメリに報酬だって払えないよ……?」
「なにを言っているのですか。すでに、イデア様が今後住むための場所の準備は整っていますよ」
「はい?」
「遠慮深いイデア様のことなので先に言っておきますが……、これはイデア様だからとかではありませんからね。聖女様という職務の方は全員、国から住居も与えられるそうですよ。まぁ、イデア様の場合は王宮の一室が与えられたので特別には変わりありませんが……」
ちょっと信じられなかったため、自分のほっぺをぐいっとつねってみた。
うん、痛い。
「や──」
「家賃などは当然かかりませんからね!? 私も専属でお世話係になったため、イデア様の隣の部屋を提供してくださったので、今のイデア様と同じようなことをしちゃいましたけど……」
「……アメリ……。…………」
私は、今までの苦しさから完全に解放されたような気分だった。
いや、きっと私だけでなく一緒にこの国へ来たアメリもそうだったに違いない。
「ホワイトラブリー王国に一緒に来れて良かったね!」
全身全霊でそう告げた。
「はい……。皮肉にもロブリー陛下のタダ同然の依頼がなければこんな幸せは訪れなかったでしょうけれどね」
「ある意味、クビにしてくれて感謝しなきゃいけないかもね。あらためて、これからよろしくね!」
「はい。イデア様の身の回りのお世話はお任せください」
お世話係になってくれたアメリについていき、今後私が住むという部屋へ案内されたのだが……。
今まで成り行きで流されたように過ごしてきていたため、気がつかなかったのだ。
(この先、どこで寝泊りすればいいんだろう……)
お金もない、土地勘もない、ホワイトラブリー王国の王都へ出たこともない、治安もわかんない、と……なにもかもがわからないし貧乏なのだ。
そういえば一緒にここへ来たアメリはどうしているのだろうか。
私自身は体力が回復できるまでずっと病室で過ごしてきた。
だが、今はすっかり元気になったし病室で過ごすわけにもいかない。
頼りのアメリを探すにしても、私だけで単独行動したら迷子になりそうだ。
マリアが部屋から退室した後、私はこの応接室で一人ぼっちで悩んでいたのだが……。
「失礼します」
「あ、アメリ!!」
「イデア様……、元気になられたようで」
最後に会ったときのアメリの格好とは違い、かなりの変化がある。
服装から察するに、充実した毎日を送れているに違いない。
久しぶりの再会で、私は涙すら溢してしまいそうなほど嬉しかった。
「アメリも元気にしている? ホワイトラブリー王国は慣れたの?」
「はい。イデア様のおかげで、私もひとつ仕事を任されました。しかも聞いてくださいっ!」
アメリが今まで見せてきたことがないような、とてもニコやかで満面の笑みをしながら私の両手をギュッと握ってきた。
「アメリ……?」
「今後、イデア様のお世話係りを担当することになったんですよ!?」
「私のお世話?」
「はい! つまりメイドや使用人といったところでしょうか」
アメリが一緒についていてくれるのは非常に助かるしありがたい。
だが、肝心な問題があるのだ。
「私、今後住む場所もないし、アメリに報酬だって払えないよ……?」
「なにを言っているのですか。すでに、イデア様が今後住むための場所の準備は整っていますよ」
「はい?」
「遠慮深いイデア様のことなので先に言っておきますが……、これはイデア様だからとかではありませんからね。聖女様という職務の方は全員、国から住居も与えられるそうですよ。まぁ、イデア様の場合は王宮の一室が与えられたので特別には変わりありませんが……」
ちょっと信じられなかったため、自分のほっぺをぐいっとつねってみた。
うん、痛い。
「や──」
「家賃などは当然かかりませんからね!? 私も専属でお世話係になったため、イデア様の隣の部屋を提供してくださったので、今のイデア様と同じようなことをしちゃいましたけど……」
「……アメリ……。…………」
私は、今までの苦しさから完全に解放されたような気分だった。
いや、きっと私だけでなく一緒にこの国へ来たアメリもそうだったに違いない。
「ホワイトラブリー王国に一緒に来れて良かったね!」
全身全霊でそう告げた。
「はい……。皮肉にもロブリー陛下のタダ同然の依頼がなければこんな幸せは訪れなかったでしょうけれどね」
「ある意味、クビにしてくれて感謝しなきゃいけないかもね。あらためて、これからよろしくね!」
「はい。イデア様の身の回りのお世話はお任せください」
お世話係になってくれたアメリについていき、今後私が住むという部屋へ案内されたのだが……。
63
あなたにおすすめの小説
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】アラフォー聖女、辺境で愛されます。~用済みと追放されましたが私はここで充実しています~
猫燕
恋愛
聖女エレナは、20年間教会で酷使された末、若い新聖女に取って代わられ冷淡に追放される。「私の人生、何だったの?」と疲れ果てた彼女が流れ着いたのは、魔物の呪いに苦しむ辺境の村。咄嗟に使った治癒魔法で村人を救うと、村の若者たちに「聖女様!」とチヤホヤされる。エレナの力はまだ輝いていた――。追放されたアラフォー聖女が、新たな居場所で自信と愛を取り戻す、癒やしと逆転の物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
【完結】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜
ゆうき
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。
そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。
悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。
「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」
こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。
新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!?
⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです。11/12 HOTランキング一位ありがとうございます!⭐︎
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる