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「これが噂で聞いたカメラか! こんなに高そうなものを戴いて良いのか⁉︎」
「はい。ご挨拶も兼ねて、受け取っていただけたらと」
「ありがとう。大事にするよ」
レオルド様と一緒にお父様のところへ挨拶しに行った。
婚約の話について説得するために来たわけだが、お父様はすでにカメラに夢中だ。
使い方をレオルド様に教えてもらうと、さっそく私を撮影しまくりである。
「一瞬にして絵を描ける道具とは……。カメラとは素晴らしいな」
「今は諜報員の捜査の役にたてるよう作っています。一般へ向けての販売は難しいかと思いますが、後日王都商会会長のセバル侯爵様と要相談で決めていこうかと考えています」
「そうか。なおのこと、このカメラは大事にしなければな」
お父様は私が描かれた写真を見て喜んでいる。
すでに婚約の話は成立しているかのように、レオルド様ととても仲良く話をしてくれているのだ。
「レオルド君! ソフィーナのこと、よろしく頼む。俺もソフィーナのことはまだ知らないことだらけだが、これからは国の騎士としても君たちを守っていくつもりだ。絶対にな!」
「ありがとうございます! もちろん、ソフィーナのことは大事にしていきますよ。彼女がいたおかげで、物づくりで商品化するという夢が叶ったのですから」
このとき、私は思った。
レオルド様は私のことをベタ褒めしてくれているが、その何倍もレオルド様に対して感謝している。
物置小屋で毎日過ごしていた生活から救い出してくれた。
私に自由を与えてくれた。
物づくりを一生懸命頑張っているレオルド様を見ていてワクワクしていた。
プリドラ学園の入学を一緒に果たそうという目標を一緒に頑張ってこれた。
私がドジをしてしまっても、レオルド様の物づくりのおかげで助けてくれた。
私と血の繋がった家族と仲良くしようとしてくれた。
数えたらキリがないほど感謝している。
「あの、お父様とレオルド様にお願いしたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「なんでしょう?」
「私と一緒にカメラで写真を撮ってくれませんか? 今この時間を記念に残しておきたくて」
二人とも笑顔で了承してくれた。
まずは私とお父様のツーショット。
筋肉で引き締まった肉体なのに、とても緊張している表情をしたお父様。
続けて私とレオルド様のツーショット。
今度は私が緊張して、レオルド様に視線を向けて顔を赤らめてしまった表情。
お父様が妬いていたのは言うまでもない。
最後に、三人揃って二度撮影した。
お父様の家に置いておく用と、私たちの家で飾る用だ。
「このような素晴らしい道具を販売できないかもしれないのは残念だな」
「そうですね……。一瞬で撮影できることから色々な問題もありそうですので、対策も必要になってきそうですから」
「そのための俺たち騎士がより王都の警備を強化しなければだな。レオルド君には協力したいと思う」
「ありがとうございます! カメラだけでなく、これからも色々な物を作っていきたいと考えていますので、また試作品が完成したら持ってきます」
無事に挨拶も済み、晴れて婚約関係は継続できることになった。
帰りの馬車の中で、レオルド様が私の真横にいるのだが、いつもよりもべったりとくっついてきた。
なにごとかと思い、私の心臓の鼓動が速くなる。
「さきほども言いましたが、私が侯爵への叙爵も、色々な物づくりができるのも、全てソフィーナのおかげです」
「ずるいですよ。私だって、レオルド様のおかげで今の自分が成り立っているようなものです。レオルド様には感謝しても足りないです」
私の頭をコツンとレオルド様の肩に乗せる。
レオルド様は私の頭をそっと撫でてきた。
「帰ったら、私はまた新しい道具を作ってみたいと考えています」
「いつもどおり、見学しながらご飯の用意をさせていただきますね」
「ありがとうございます。どれもソフィーナの役にたててホッとしています」
「え? どういうことですか?」
「実は、冷蔵庫やエアコンはソフィーナと出逢う前から作っていたものです。ゆえに、商品としての意識が高かったのです。しかし、それ以降に作りはじめた物は、すべてソフィーナのために作ったものなんですよ」
私の心臓に矢が何本もグサグサと刺さるようなことを聞かされ、あわあわ状態になって脳内がパニックになった。
「魔力測定器は、ソフィーナの魔力でも対応できるようなもの、なおかつソフィーナの魔力が役立つようにと作りました。血縁測定紙はソフィーナとモンブラー子爵家の関係性を確かにしたかったために作りました。カメラは今のソフィーナ、これからのソフィーナを永久に保管したいために作りました。これは私のためかもしれませんね……。ですが、盗聴器やカメラはソフィーナを苦しめてきた治安維持部隊の壊滅に役立てることができてホッとしています」
全く気がつかなかった……。レオルド様が毎日楽しそうにしながら物づくりをしてきた理由が私のためだったなんて……。
嬉しすぎて、今にも頭から湯気が出てしまいそうなくらいに感情が高ぶっていた。
「これからも、ソフィーナに役立てそうなものを作っていきたいと思います」
「ありがとうございます……レオルド様……」
馬車の中で、私はレオルド様の頬に口をあててしまった。
感情が抑えられないほど愛してしまったのだから、これくらいは許してほしい。
そして後日談。
それぞれ侯爵となり、より目立ってしまったが、レオルド様の物づくりの反響はすさまじく、誰一人文句を言うような者はいなかった。
私とレオルド様は幸せな日々を過ごしながら無事にプリドラ学園を卒業し、結婚したのである。
ーーーーーーーーーー
【後書き】
全50話お付き合いくださり、ありがとうございました。
商業作品の広告宣伝の効果があったからなのか、今作品は最後までブクマ離れがなく、HOTからさようならしても、全サイトで永遠と伸びてくれました。
今回はもう、とにかく仕事としての執筆がデンジャラス状態だったため、執筆の休憩として楽しく書きました。
ほぼ趣味丸出しで、学園なんぞを出してみたりもしましたが、如何だったでしょうか。
そして次の新作は聖女系です。作者フォローしてくださっている方々の大半が、私の作品だと聖女を読みたいのかなぁと思って書いてみました。←違ったらスミマセン……。
それがこちら。
『追放無自覚聖女ののんびりカフェ ~聖なる飲み物でお客様を元気にしていることに気がつかない聖女と、聖女を追放させた姉妹の破滅への末路~』
ざまぁ展開はかなり先という悪手をしていますが、かなり書き溜めています。
良かったらぜひこちらもお願いします。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
「はい。ご挨拶も兼ねて、受け取っていただけたらと」
「ありがとう。大事にするよ」
レオルド様と一緒にお父様のところへ挨拶しに行った。
婚約の話について説得するために来たわけだが、お父様はすでにカメラに夢中だ。
使い方をレオルド様に教えてもらうと、さっそく私を撮影しまくりである。
「一瞬にして絵を描ける道具とは……。カメラとは素晴らしいな」
「今は諜報員の捜査の役にたてるよう作っています。一般へ向けての販売は難しいかと思いますが、後日王都商会会長のセバル侯爵様と要相談で決めていこうかと考えています」
「そうか。なおのこと、このカメラは大事にしなければな」
お父様は私が描かれた写真を見て喜んでいる。
すでに婚約の話は成立しているかのように、レオルド様ととても仲良く話をしてくれているのだ。
「レオルド君! ソフィーナのこと、よろしく頼む。俺もソフィーナのことはまだ知らないことだらけだが、これからは国の騎士としても君たちを守っていくつもりだ。絶対にな!」
「ありがとうございます! もちろん、ソフィーナのことは大事にしていきますよ。彼女がいたおかげで、物づくりで商品化するという夢が叶ったのですから」
このとき、私は思った。
レオルド様は私のことをベタ褒めしてくれているが、その何倍もレオルド様に対して感謝している。
物置小屋で毎日過ごしていた生活から救い出してくれた。
私に自由を与えてくれた。
物づくりを一生懸命頑張っているレオルド様を見ていてワクワクしていた。
プリドラ学園の入学を一緒に果たそうという目標を一緒に頑張ってこれた。
私がドジをしてしまっても、レオルド様の物づくりのおかげで助けてくれた。
私と血の繋がった家族と仲良くしようとしてくれた。
数えたらキリがないほど感謝している。
「あの、お父様とレオルド様にお願いしたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「なんでしょう?」
「私と一緒にカメラで写真を撮ってくれませんか? 今この時間を記念に残しておきたくて」
二人とも笑顔で了承してくれた。
まずは私とお父様のツーショット。
筋肉で引き締まった肉体なのに、とても緊張している表情をしたお父様。
続けて私とレオルド様のツーショット。
今度は私が緊張して、レオルド様に視線を向けて顔を赤らめてしまった表情。
お父様が妬いていたのは言うまでもない。
最後に、三人揃って二度撮影した。
お父様の家に置いておく用と、私たちの家で飾る用だ。
「このような素晴らしい道具を販売できないかもしれないのは残念だな」
「そうですね……。一瞬で撮影できることから色々な問題もありそうですので、対策も必要になってきそうですから」
「そのための俺たち騎士がより王都の警備を強化しなければだな。レオルド君には協力したいと思う」
「ありがとうございます! カメラだけでなく、これからも色々な物を作っていきたいと考えていますので、また試作品が完成したら持ってきます」
無事に挨拶も済み、晴れて婚約関係は継続できることになった。
帰りの馬車の中で、レオルド様が私の真横にいるのだが、いつもよりもべったりとくっついてきた。
なにごとかと思い、私の心臓の鼓動が速くなる。
「さきほども言いましたが、私が侯爵への叙爵も、色々な物づくりができるのも、全てソフィーナのおかげです」
「ずるいですよ。私だって、レオルド様のおかげで今の自分が成り立っているようなものです。レオルド様には感謝しても足りないです」
私の頭をコツンとレオルド様の肩に乗せる。
レオルド様は私の頭をそっと撫でてきた。
「帰ったら、私はまた新しい道具を作ってみたいと考えています」
「いつもどおり、見学しながらご飯の用意をさせていただきますね」
「ありがとうございます。どれもソフィーナの役にたててホッとしています」
「え? どういうことですか?」
「実は、冷蔵庫やエアコンはソフィーナと出逢う前から作っていたものです。ゆえに、商品としての意識が高かったのです。しかし、それ以降に作りはじめた物は、すべてソフィーナのために作ったものなんですよ」
私の心臓に矢が何本もグサグサと刺さるようなことを聞かされ、あわあわ状態になって脳内がパニックになった。
「魔力測定器は、ソフィーナの魔力でも対応できるようなもの、なおかつソフィーナの魔力が役立つようにと作りました。血縁測定紙はソフィーナとモンブラー子爵家の関係性を確かにしたかったために作りました。カメラは今のソフィーナ、これからのソフィーナを永久に保管したいために作りました。これは私のためかもしれませんね……。ですが、盗聴器やカメラはソフィーナを苦しめてきた治安維持部隊の壊滅に役立てることができてホッとしています」
全く気がつかなかった……。レオルド様が毎日楽しそうにしながら物づくりをしてきた理由が私のためだったなんて……。
嬉しすぎて、今にも頭から湯気が出てしまいそうなくらいに感情が高ぶっていた。
「これからも、ソフィーナに役立てそうなものを作っていきたいと思います」
「ありがとうございます……レオルド様……」
馬車の中で、私はレオルド様の頬に口をあててしまった。
感情が抑えられないほど愛してしまったのだから、これくらいは許してほしい。
そして後日談。
それぞれ侯爵となり、より目立ってしまったが、レオルド様の物づくりの反響はすさまじく、誰一人文句を言うような者はいなかった。
私とレオルド様は幸せな日々を過ごしながら無事にプリドラ学園を卒業し、結婚したのである。
ーーーーーーーーーー
【後書き】
全50話お付き合いくださり、ありがとうございました。
商業作品の広告宣伝の効果があったからなのか、今作品は最後までブクマ離れがなく、HOTからさようならしても、全サイトで永遠と伸びてくれました。
今回はもう、とにかく仕事としての執筆がデンジャラス状態だったため、執筆の休憩として楽しく書きました。
ほぼ趣味丸出しで、学園なんぞを出してみたりもしましたが、如何だったでしょうか。
そして次の新作は聖女系です。作者フォローしてくださっている方々の大半が、私の作品だと聖女を読みたいのかなぁと思って書いてみました。←違ったらスミマセン……。
それがこちら。
『追放無自覚聖女ののんびりカフェ ~聖なる飲み物でお客様を元気にしていることに気がつかない聖女と、聖女を追放させた姉妹の破滅への末路~』
ざまぁ展開はかなり先という悪手をしていますが、かなり書き溜めています。
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長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
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