【完結】物作りを頑張っている婚約者にベタ惚れしてしまったので、応援していたらなぜか爵位が上がっていきます

よどら文鳥

文字の大きさ
50 / 50

50

「これが噂で聞いたカメラか! こんなに高そうなものを戴いて良いのか⁉︎」
「はい。ご挨拶も兼ねて、受け取っていただけたらと」
「ありがとう。大事にするよ」

 レオルド様と一緒にお父様のところへ挨拶しに行った。
 婚約の話について説得するために来たわけだが、お父様はすでにカメラに夢中だ。
 使い方をレオルド様に教えてもらうと、さっそく私を撮影しまくりである。

「一瞬にして絵を描ける道具とは……。カメラとは素晴らしいな」
「今は諜報員の捜査の役にたてるよう作っています。一般へ向けての販売は難しいかと思いますが、後日王都商会会長のセバル侯爵様と要相談で決めていこうかと考えています」
「そうか。なおのこと、このカメラは大事にしなければな」

 お父様は私が描かれた写真を見て喜んでいる。
 すでに婚約の話は成立しているかのように、レオルド様ととても仲良く話をしてくれているのだ。

「レオルド君! ソフィーナのこと、よろしく頼む。俺もソフィーナのことはまだ知らないことだらけだが、これからは国の騎士としても君たちを守っていくつもりだ。絶対にな!」
「ありがとうございます! もちろん、ソフィーナのことは大事にしていきますよ。彼女がいたおかげで、物づくりで商品化するという夢が叶ったのですから」

 このとき、私は思った。
 レオルド様は私のことをベタ褒めしてくれているが、その何倍もレオルド様に対して感謝している。

 物置小屋で毎日過ごしていた生活から救い出してくれた。
 私に自由を与えてくれた。
 物づくりを一生懸命頑張っているレオルド様を見ていてワクワクしていた。
 プリドラ学園の入学を一緒に果たそうという目標を一緒に頑張ってこれた。
 私がドジをしてしまっても、レオルド様の物づくりのおかげで助けてくれた。
 私と血の繋がった家族と仲良くしようとしてくれた。

 数えたらキリがないほど感謝している。

「あの、お父様とレオルド様にお願いしたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「なんでしょう?」
「私と一緒にカメラで写真を撮ってくれませんか? 今この時間を記念に残しておきたくて」

 二人とも笑顔で了承してくれた。

 まずは私とお父様のツーショット。
 筋肉で引き締まった肉体なのに、とても緊張している表情をしたお父様。

 続けて私とレオルド様のツーショット。
 今度は私が緊張して、レオルド様に視線を向けて顔を赤らめてしまった表情。
 お父様が妬いていたのは言うまでもない。

 最後に、三人揃って二度撮影した。
 お父様の家に置いておく用と、私たちの家で飾る用だ。

「このような素晴らしい道具を販売できないかもしれないのは残念だな」
「そうですね……。一瞬で撮影できることから色々な問題もありそうですので、対策も必要になってきそうですから」
「そのための俺たち騎士がより王都の警備を強化しなければだな。レオルド君には協力したいと思う」
「ありがとうございます! カメラだけでなく、これからも色々な物を作っていきたいと考えていますので、また試作品が完成したら持ってきます」

 無事に挨拶も済み、晴れて婚約関係は継続できることになった。
 帰りの馬車の中で、レオルド様が私の真横にいるのだが、いつもよりもべったりとくっついてきた。
 なにごとかと思い、私の心臓の鼓動が速くなる。

「さきほども言いましたが、私が侯爵への叙爵も、色々な物づくりができるのも、全てソフィーナのおかげです」
「ずるいですよ。私だって、レオルド様のおかげで今の自分が成り立っているようなものです。レオルド様には感謝しても足りないです」

 私の頭をコツンとレオルド様の肩に乗せる。
 レオルド様は私の頭をそっと撫でてきた。

「帰ったら、私はまた新しい道具を作ってみたいと考えています」
「いつもどおり、見学しながらご飯の用意をさせていただきますね」
「ありがとうございます。どれもソフィーナの役にたててホッとしています」
「え? どういうことですか?」
「実は、冷蔵庫やエアコンはソフィーナと出逢う前から作っていたものです。ゆえに、商品としての意識が高かったのです。しかし、それ以降に作りはじめた物は、すべてソフィーナのために作ったものなんですよ」

 私の心臓に矢が何本もグサグサと刺さるようなことを聞かされ、あわあわ状態になって脳内がパニックになった。

「魔力測定器は、ソフィーナの魔力でも対応できるようなもの、なおかつソフィーナの魔力が役立つようにと作りました。血縁測定紙はソフィーナとモンブラー子爵家の関係性を確かにしたかったために作りました。カメラは今のソフィーナ、これからのソフィーナを永久に保管したいために作りました。これは私のためかもしれませんね……。ですが、盗聴器やカメラはソフィーナを苦しめてきた治安維持部隊の壊滅に役立てることができてホッとしています」

 全く気がつかなかった……。レオルド様が毎日楽しそうにしながら物づくりをしてきた理由が私のためだったなんて……。
 嬉しすぎて、今にも頭から湯気が出てしまいそうなくらいに感情が高ぶっていた。

「これからも、ソフィーナに役立てそうなものを作っていきたいと思います」
「ありがとうございます……レオルド様……」

 馬車の中で、私はレオルド様の頬に口をあててしまった。
 感情が抑えられないほど愛してしまったのだから、これくらいは許してほしい。

 そして後日談。
 それぞれ侯爵となり、より目立ってしまったが、レオルド様の物づくりの反響はすさまじく、誰一人文句を言うような者はいなかった。
 私とレオルド様は幸せな日々を過ごしながら無事にプリドラ学園を卒業し、結婚したのである。



ーーーーーーーーーー
【後書き】
全50話お付き合いくださり、ありがとうございました。

商業作品の広告宣伝の効果があったからなのか、今作品は最後までブクマ離れがなく、HOTからさようならしても、全サイトで永遠と伸びてくれました。
今回はもう、とにかく仕事としての執筆がデンジャラス状態だったため、執筆の休憩として楽しく書きました。
ほぼ趣味丸出しで、学園なんぞを出してみたりもしましたが、如何だったでしょうか。

そして次の新作は聖女系です。作者フォローしてくださっている方々の大半が、私の作品だと聖女を読みたいのかなぁと思って書いてみました。←違ったらスミマセン……。
それがこちら。

『追放無自覚聖女ののんびりカフェ ~聖なる飲み物でお客様を元気にしていることに気がつかない聖女と、聖女を追放させた姉妹の破滅への末路~』

ざまぁ展開はかなり先という悪手をしていますが、かなり書き溜めています。
良かったらぜひこちらもお願いします。

長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね

との
恋愛
離婚したいのですか?  喜んでお受けします。 でも、本当に大丈夫なんでしょうか? 伯爵様・・自滅の道を行ってません? まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。 収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。 (父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる) ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。 俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。 そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。 こんな女とは婚約解消だ。 この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。

「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」連載版

まほりろ
恋愛
 公爵令嬢のアデリナ・ブラウフォードの人生は実母の死後大きく変わった。  公爵は妻の葬儀が終わって間をあけず再婚。公爵と後妻の間には、再婚前に作った子供までいた。  アデリナは継母と異母妹に私物を奪われ、「離れ」と名ばかりの小屋に押し込められる。  腹違いの妹はアデリナを悪者に仕立て、周囲はそれを信じた。  本来ならアデリナの味方にならなくてはならない婚約者の王太子も、異母妹の魅力に骨抜きにされ全く頼りにならない。  学園の教師も、生徒も、生徒の保護者も王太子と異母妹の味方だ。    そんなアデリナにも唯一の味方がいる。それはトカゲのクヴェル。クヴェルは美少年に変身し、家事も炊事も裁縫も完璧にこなす不思議な存在だ。  実はクヴェルはこの国の建国に携わる水竜で、アデリナは三百年前に水竜を救った初代女王の生まれ変わりだったのだ。  アデリナを蔑ろにする国に嫌気がさしたクヴェルは、アデリナを連れて旅に出る。  神に去られた国は徐々に荒廃していき……。  一方その頃、祖国の荒廃を知らないアデリナはクヴェルとのグルメ旅を満喫していた。  「ん~~! このアップルパイは絶品! 紅茶も美味しい!!」 ・人外×人間、竜×人間。 ・短編版は小説家になろう、pixivにもアップしています。 ・長編版を小説家になろうにも投稿しています。小説家になろう先行投稿。 「Copyright(C)2025-まほりろ」 ※タイトル変更しました(2025/05/06) ✕「卒業パーティーで王太子から婚約破棄された公爵令嬢、親友のトカゲを連れて旅に出る〜私が国を出たあと井戸も湖も枯れたそうですが知りません」 ✕「嫌われ者の公爵令嬢は国外追放を言い渡される。私が神の祝福持ちだと王家が気付いた時には国の崩壊が始まっていました」 ◯新タイトル「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」 ・2025年5月16日HOTランキング2位!  ありがとうございます! ※表紙イラストは猫様からお借りしています。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。

光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。 最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。 たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。 地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。 天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね―――― 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。