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19話 ソフィアは引けない
「村長をしております。このたびは村を凶悪なモンスターから救っていただき、ありがとうございますじゃ。その上、滅多に見ることのない回復魔法まで……」
なぜか村長さんは主に私にお礼を言ってきた。
「騎士団全員いたからうまくいったので、私よりも騎士団長に言ってあげてください」
「え! ソフィア様。我々は騎士団です。やって当然のことをしたまでです。それに村人の回復はソフィア様にしかできなかったでしょう?」
「うーん……」
色々と展開的にはアーヴァイン様のおかげというのが強いんだけどなぁ。
アーヴァイン様は遠慮しがちなところが多いから、これ以上言っても聞いてくれないだろうから黙っておく。
「ところで、村の復旧に国からも支援を出せるよう要請はしておこう。だが、完全に復旧させるには予算が足りないかもしれん……」
「こればかりは仕方のないことですじゃ。村人全員で協力して頑張るしかないでしょう」
「あ!」
私はとっさに思いだす。
予算といえばだ。
私にはとっておきのアイテムがあるのだ。
「前に倒したケルベロスの本体って国で預かっていてくれたんですよね?」
「え? えぇそうですが。倒したのはソフィア様ですし、あの場所に放置していては誰かが発見したら盗まれてしまいますから」
ケルベロスも相当にレアなモンスターで、かなりの値打ちになるそうだ。
それを荒野に放置しているのは宝石を放っておくようなこと。
しっかりと騎士団が運んでくれていたのだ。
ただ、ケルベロス本体が真っ黒焦げになってしまっているそうで、価値はその分下がっちゃうみたいだけど。
「ケルベロスの本体をこの村に寄付したら少しは手助けになりますか?」
「「は!?」」
アーヴァイン様と村長さんの口調が見事に揃った。
しかもかなり大きめの声だ。
「ちょちょちょちょ……ちょっとこちらへ!」
「へ?」
アーヴァイン様に手を引っ張られて村長さんから少し離れた場所へ移動した。
「気は確かですか? いくら値打ちが下がっているとはいえ、ケルベロスの本体ですよ! あれだけでも数十回は裕福な生涯を過ごせてしまうほどの価値がありますよ!」
そこまでものすごい価値だったのか……。
知らなかったなぁ。
だけど、村長の前であげるって言っちゃったようなもんだし……。
村長が期待の目をしてこっち見つめてるよ……。
うーーーーん……。
でも、村も大変な状況になっているし仕方ないよね。
「ケルベロスの本体も一緒に支援しちゃっていいです」
村長の元へ戻って苦笑いをしながら言ってしまった。
「おぉ……!! ソフィア殿……、なんというお方だ……。女神様じゃ」
「はは……」
女神でもなんでもないです。
あげるって言っちゃって少し後悔しています。
「まったく……。ソフィア様は欲がなければ出し惜しみもしない。善意で村にここまで支援できる人なんてそうそういませんよ?」
「はは…………」
善意じゃないんです。
言っちゃったから引けなくなっただけなんです。
もちろん、本音は言わずに黙秘を貫いた。
今度から、モンスターを倒すときは慎重になって本体をなるべく傷つけないようにして値打ちになるような倒し方をしよう。
そう考えると、オロチを消滅させたことが悔やまれるなぁ。
まぁ旅をはじめてから二度もすごいモンスターと出会ったんだ。
きっと公爵様のもとへ着く前にまたモンスターが出てくるよね。
そしたらお金稼がせてもらおう。
だが、公爵様のところまで一度もモンスターと遭遇することもなく、平和が続いたのだった。
なぜか村長さんは主に私にお礼を言ってきた。
「騎士団全員いたからうまくいったので、私よりも騎士団長に言ってあげてください」
「え! ソフィア様。我々は騎士団です。やって当然のことをしたまでです。それに村人の回復はソフィア様にしかできなかったでしょう?」
「うーん……」
色々と展開的にはアーヴァイン様のおかげというのが強いんだけどなぁ。
アーヴァイン様は遠慮しがちなところが多いから、これ以上言っても聞いてくれないだろうから黙っておく。
「ところで、村の復旧に国からも支援を出せるよう要請はしておこう。だが、完全に復旧させるには予算が足りないかもしれん……」
「こればかりは仕方のないことですじゃ。村人全員で協力して頑張るしかないでしょう」
「あ!」
私はとっさに思いだす。
予算といえばだ。
私にはとっておきのアイテムがあるのだ。
「前に倒したケルベロスの本体って国で預かっていてくれたんですよね?」
「え? えぇそうですが。倒したのはソフィア様ですし、あの場所に放置していては誰かが発見したら盗まれてしまいますから」
ケルベロスも相当にレアなモンスターで、かなりの値打ちになるそうだ。
それを荒野に放置しているのは宝石を放っておくようなこと。
しっかりと騎士団が運んでくれていたのだ。
ただ、ケルベロス本体が真っ黒焦げになってしまっているそうで、価値はその分下がっちゃうみたいだけど。
「ケルベロスの本体をこの村に寄付したら少しは手助けになりますか?」
「「は!?」」
アーヴァイン様と村長さんの口調が見事に揃った。
しかもかなり大きめの声だ。
「ちょちょちょちょ……ちょっとこちらへ!」
「へ?」
アーヴァイン様に手を引っ張られて村長さんから少し離れた場所へ移動した。
「気は確かですか? いくら値打ちが下がっているとはいえ、ケルベロスの本体ですよ! あれだけでも数十回は裕福な生涯を過ごせてしまうほどの価値がありますよ!」
そこまでものすごい価値だったのか……。
知らなかったなぁ。
だけど、村長の前であげるって言っちゃったようなもんだし……。
村長が期待の目をしてこっち見つめてるよ……。
うーーーーん……。
でも、村も大変な状況になっているし仕方ないよね。
「ケルベロスの本体も一緒に支援しちゃっていいです」
村長の元へ戻って苦笑いをしながら言ってしまった。
「おぉ……!! ソフィア殿……、なんというお方だ……。女神様じゃ」
「はは……」
女神でもなんでもないです。
あげるって言っちゃって少し後悔しています。
「まったく……。ソフィア様は欲がなければ出し惜しみもしない。善意で村にここまで支援できる人なんてそうそういませんよ?」
「はは…………」
善意じゃないんです。
言っちゃったから引けなくなっただけなんです。
もちろん、本音は言わずに黙秘を貫いた。
今度から、モンスターを倒すときは慎重になって本体をなるべく傷つけないようにして値打ちになるような倒し方をしよう。
そう考えると、オロチを消滅させたことが悔やまれるなぁ。
まぁ旅をはじめてから二度もすごいモンスターと出会ったんだ。
きっと公爵様のもとへ着く前にまたモンスターが出てくるよね。
そしたらお金稼がせてもらおう。
だが、公爵様のところまで一度もモンスターと遭遇することもなく、平和が続いたのだった。
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