31 / 40
ソフィアは見学するだけ
しおりを挟む
アーヴァイン様は、大事な用事があると言っていたけど、もう片付いたのかな。
「ソフィア様の敷地内への不法侵入、及び危害を加えようとした現行犯だ! 捕らえよ!!」
アーヴァイン様の掛け声で、騎士団は一斉に魔導師たちを捕らえようとしたが、易々と捕まるような者たちではなかった。
「捕まってたまるか! 殺ってしまえ!!」
リーダー格の大男がアーヴァイン様に魔法と剣で襲いかかる。
私もすぐに魔法でアーヴァイン様を助けようとしたが、止められてしまった。
「ソフィア様をお守りするのが我々の義務ですから」
体格差や数の多さを考えたらそんなこと言っている余裕はないと思うんだけど……。
私はそう心配したのだが、体格差や魔法など関係ない。
アーヴァイン様は襲いかかってくる剣を余裕の表情でひらりとかわしていく。
あっという間にアーヴァイン様の持っている木刀のような武器だけで圧倒してしまった。
「足腰も魔力もなっていないぞ……?」
「ば……ばかな……。魔法の力なしで俺の魔法が打ち破られただと!?」
アーヴァイン様以外の騎士たちも、次々と魔導師たちを打ち負かしていった。
私が心配する必要はなかったようだ。
それにしても騎士団たちは用意周到なのではないだろうか。
沢山の檻付きの馬車がズラリと並んでいる。
普段はこのような馬車は用意されていない。
「よし。予定どおり全員を収容所の地下牢へ運んでくれ。私はここに残りソフィア様に経緯の説明をする」
騎士団が捕らえた多勢の魔導師を牢へ入れ、そのまま連行していった。
さて……、私もアーヴァイン様に色々と聞きたいことがある。
「間に合って良かったです。お怪我はありませんか?」
「私は平気ですよ。むしろ、アーヴァイン様たちに怪我はありませんでしたか?」
「普段の厳しい訓練と比べたらこのくらいどうってこともありませんよ」
私が聞きたかったことはこれで全て聞けた。
今までケルベロスやオロチのような規格外な強さを相手にして負傷してしまった場面ばかりを見ていた。
それでも、魔導師相手とはいえ心配にはなっていたのだ。
「留守にして申し訳ありませんでした。本来の予定では敷地内に侵入する前に捕らえる予定でしたが、邪魔が入ってしまい遅くなってしまったのです」
「えぇと……、そもそもどういう経緯だったのかイマイチわかっていないのですが。陛下の側近にいた魔導師に注意するようにとはアーヴァイン様に言われていましたが……」
いくらなんでも、陛下直属に仕えているような魔導師が、今回の件に関わっているとは思えない。
あまりにも無作為で、どうしようもないほど情けない方々だった。
「その魔導師の命令でソフィア様を襲撃するよう命じていたことが判明したのです」
うわ……。
無計画で行動するどうしようもない魔導師だったのか。
「ソフィア様の敷地内への不法侵入、及び危害を加えようとした現行犯だ! 捕らえよ!!」
アーヴァイン様の掛け声で、騎士団は一斉に魔導師たちを捕らえようとしたが、易々と捕まるような者たちではなかった。
「捕まってたまるか! 殺ってしまえ!!」
リーダー格の大男がアーヴァイン様に魔法と剣で襲いかかる。
私もすぐに魔法でアーヴァイン様を助けようとしたが、止められてしまった。
「ソフィア様をお守りするのが我々の義務ですから」
体格差や数の多さを考えたらそんなこと言っている余裕はないと思うんだけど……。
私はそう心配したのだが、体格差や魔法など関係ない。
アーヴァイン様は襲いかかってくる剣を余裕の表情でひらりとかわしていく。
あっという間にアーヴァイン様の持っている木刀のような武器だけで圧倒してしまった。
「足腰も魔力もなっていないぞ……?」
「ば……ばかな……。魔法の力なしで俺の魔法が打ち破られただと!?」
アーヴァイン様以外の騎士たちも、次々と魔導師たちを打ち負かしていった。
私が心配する必要はなかったようだ。
それにしても騎士団たちは用意周到なのではないだろうか。
沢山の檻付きの馬車がズラリと並んでいる。
普段はこのような馬車は用意されていない。
「よし。予定どおり全員を収容所の地下牢へ運んでくれ。私はここに残りソフィア様に経緯の説明をする」
騎士団が捕らえた多勢の魔導師を牢へ入れ、そのまま連行していった。
さて……、私もアーヴァイン様に色々と聞きたいことがある。
「間に合って良かったです。お怪我はありませんか?」
「私は平気ですよ。むしろ、アーヴァイン様たちに怪我はありませんでしたか?」
「普段の厳しい訓練と比べたらこのくらいどうってこともありませんよ」
私が聞きたかったことはこれで全て聞けた。
今までケルベロスやオロチのような規格外な強さを相手にして負傷してしまった場面ばかりを見ていた。
それでも、魔導師相手とはいえ心配にはなっていたのだ。
「留守にして申し訳ありませんでした。本来の予定では敷地内に侵入する前に捕らえる予定でしたが、邪魔が入ってしまい遅くなってしまったのです」
「えぇと……、そもそもどういう経緯だったのかイマイチわかっていないのですが。陛下の側近にいた魔導師に注意するようにとはアーヴァイン様に言われていましたが……」
いくらなんでも、陛下直属に仕えているような魔導師が、今回の件に関わっているとは思えない。
あまりにも無作為で、どうしようもないほど情けない方々だった。
「その魔導師の命令でソフィア様を襲撃するよう命じていたことが判明したのです」
うわ……。
無計画で行動するどうしようもない魔導師だったのか。
25
あなたにおすすめの小説
家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~
チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。
そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。
ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。
なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。
やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。
シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。
彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。
その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。
家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。
そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。
わたしはあなたの側にいます、と。
このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。
*** ***
※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。
※設定などいろいろとご都合主義です。
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】
かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。
――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。
その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。
動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。
一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。
そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。
※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる