ポラロイドの夜

壺の蓋政五郎

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ポラロイドの夜4

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「そう、それなら何でも知ってるね幸子さんのこと」
「ええ、何でも知ってる」
 サービス時間の終了を告げられたので延長をした。明美は寒いと言って浴槽に割り込んだ。ふくよかな皮下脂肪が浮力によってより膨らみ、胸から腰までの所謂くびれという凹みがなくなっていた。
「さっき本当に自殺しちゃったというのはどういう意味だい?以前にも未遂があったとか」
「うんう、さっちゃんね、あたしが知ってるだけでももう何回も自殺ごっこしてるの」
「自殺ごっこ?」
「そう自殺ごっこ。例えば男に振られるでしょ、そうすると今までの自分を自殺させちゃうの。そして心機一転一から始めるの。それを繰り返しているうちにね、さっちゃん強い女になったわ。付き合い始めた頃は本当にあどけない女の子だったけどね」
 私は湯に浸かっているのに鳥肌が立ちました。幸子は絶命することが目的ではなく、過去を断ち切るためにそれまでの自分を自殺という表現で切り捨てていたのでした。
「でもどうやって?」
「例えばビルの屋上とか岸壁とか、大体景色のいい所から仮想飛び込みで自殺するの、こうやって目を瞑ってね、手を合わせて死んだ娘『愛ちゃん』のことや別れた男のことなんかに集中しているとそれまでの自分が離脱して落ちていくらしいの。般若心経を鼻歌みたいに唱えながら最後に「愛ちゃんごめんね」って。そして抜け出て落ちていく過去の自分に遺書を投げつけてそれで終わり。その瞬間から新しいさっちゃんが始まるの。あたしも一回やったけど本当に落ちそうになってしまって止めたわ」
「娘の愛ちゃんはどうして死んだの?」
「付き合っていた男が車に愛ちゃんを残してパチンコやっていてね、ガス欠でエアコンが止まって脱水症状で死なせてしまったの」
「付き合っていた男って父親ではないの?」
「さっちゃんね、男に何度も騙されていたから若い頃、それでね、男なんて信用しなくなっていたの。それでもどうしても子供が欲しくてね、自分が小さいから背の高くて若いお客さんを選んでは避妊しないで接触したのよ。特定はできないけど五人の父親候補がいるのよ。写真に残してあるのよ。そしてね、愛ちゃんを授かったの。愛ちゃんが出来てからもこの商売続けていたでしょ。足代わりに付き合った男がぐうたらでさ、明けても暮れてもパチンコばっかりやってたその男に愛ちゃん殺されたの」
「遺書ってどんな遺書?」
「簡単な遺書。おもいつきを手書きでね、『ここを通り過ぎた人に財産の相続をお願いします』とか、『最初に発見した方にお願いします』とかそんな感じ。今度お客さんがあたしを指名してくれたら見せてあげる。あたしさっちゃんから何枚も遺書もらってるから。その中の一枚はすべての財産を明美にあげるって判子までついてあるんだから。あっそうだ、マンションどうすんだろ、貯金だって三千万はあるし、保険も入っているしね。もしかしたらあの遺書であたしが相続できたりして。まじで弁護士さんに相談に行ってみようかな。無理よね」
 明美は名案を思いついた探偵のように掌に拳をポンと叩いたが、すぐに諦めの顔になり静かに浴槽から出た。
 店を出ると厳しい冷気が私から体温を奪っていく。マフラーで首を巻きつけても効果なくズボンの裾から虚脱感と一緒に放出されてしまう。明美は弁護士に相談に行くのだろうか、まさかそんな悪知恵の働く女には感じなかったが。彼女の遺書には捺印がしてあると言った。それよりも自殺ごっこが常習であると警察が知ったなら再捜査に発展する可能性もある。そうなれば中村刑事が舌なめずり一番やって来るに違いない。だが明美の話はマイナスだけではなかった、幸子は保険に加入しているらしい。弁護士の田中に調査させてみよう、相続額が多いに越したことはない。しかしどちらにしても明美の存在が気になる。彼女の動き方次第で私の人生設計はすべて崩れ去ってしまう。

  喪服に着替え終わり靴を拭いているとカチとロックを解除する音がしました。家内が外出先から帰宅しました。まだ夕方六時を回ったばかりですが家内の頬は赤く染まっています。
「飲んでいるのかい昼間から?」
「友達とワインの試飲をしただけです。あらご不幸ですか?」
「ああ、学生時代に世話になった先輩の親父さんだ、通夜から焼き場まで付き合うようになる」
「昨夜は何も話されなかったじゃありませんか、急ですこと」
「人の都合に合わせて死んでくれればありがたいがね、そうはいかない、急に決まっている」
「それはそうですけどいつもは何処の誰々で、斎場の案内図まで私に見せてくれるから、随分と急ですねとお聞きしただけよ。それに大学のご友人関係ならば私に同席しろと迫るくせに今回はそれもしないで隠れるように着替えてお出かけ」
「君が出掛けているときに連絡をいただいたんだ。何も隠しちゃいない、浮気じゃあるまいしどうして君に隠れて参列しなければならないんだ。おかしなことを言わないで欲しい」
「何焦っているの?」
 靴をだらしなく脱ぎ捨てて「あなたの嘘はお見通しよ」と言わんばかりにリビングに消えていった。昨夜のうちに報告しておいた方がよかったもしれない、しかし出鱈目を信用して同席されては困る。というのもこの不幸は私が喪主を務めるからである。通夜は嘘で、明日の十一時より林幸子のお別れ会を鶴見のセレモニーホールで行う。色々と考えをまとめるために今夜は幸子のマンションに泊まる。
 チョイスした名詞の男達にも連絡したがお別れ会の出欠どころか、幸子との関係すらとぼけていた。その方が私には好都合である。一応声をかけたが私用で出席できないとした方が、中村刑事にも印象がいいと思う。
 林幸子のお別れ会に集まったのは私を含め五人でした。身寄りのない女の自殺という死因が独特の雰囲気で場を支配していました。両親に先立たれた幸子にはこれといった信教はなかったようです。中村刑事、弁護士の田中、マンションの元オーナー横山、それに連絡はしませんでしたが誰からか聞きつけて参加した幸子の友達明美です。私も付き合いの葬儀には時折参列します。喪主家族と一度も面識がなく、故人の存在すら知らずに参列したこともあります。二時間近く難しい顔をして耐えているのは辛く、唯一の暇つぶしが弔問客の焼香スタイルの違いを見分けることです。しかし今日はその暇つぶしもできません。導師の経がこれだけ長く感じたことはありませんでした。私は遺族代表として参加者を労い、そのまま献杯の音頭を取りました。席に着くと田中が飲む前に話しておきたいことがあると言って私を一階の喫煙室に誘いました。
「橘、保険屋から連絡あったか?」
 この会が終わったら相談しようとしていた幸子の保険の件を田中から先に切り出されて少し驚きました。ですがこれでよかったのでしょう、私から訊ねたのでは情報元を詮索され面倒になるでしょうから。
「保険屋?俺は事故なんか起こしちゃいないよ。家内とドライブなんてもう十年もしていない」
「おまえんとこの夫婦関係に興味はない。幸子だよ林幸子、五千万の生命保険に加入している。調査はしているだろうがおまえが受け取るようになるだろう満額、なにしろ天涯孤独だって警察のお墨付きだからな。来週早々には保険屋からおまえんちに文書で届くだろう」
「家はまずいな、おまえんとこの事務所宛にできないだろうか?」
「ああ、できないことはないが委任状がいる。実印と自筆の記名が必要だ、それにおまえから明日朝一保険屋に電話して俺に一任する事情を説明しておけ、これが担当の連絡先だ。やったな橘、すべて合わせて二億近い資産が転がり込んでくる。同級生はみんな課長級以上に昇進していたり、独立したりしていて、おまえだけが出遅れてたからな、四十半ばにしてやっとツキが回ってきたな」
「声がでかい、それで報酬はどれくらいになる?」
「報酬か、億万長者になるお方が何をびびっていなさる。そうだな、二千万でどうだ。貧乏事務所を経営している親友を助けると思ってさ」
 まさに泡のように沸いた相続金でありますが、いざ支払うとなると惜しく感じます。大学時代も擦れ違い様に手を上げる程度の付き合いでした。卒業後も開業の葉書だけが繋ぐ田中と私の関係であります。今回の相続の一件がなければ再会などなかったでしょうに親友呼ばわりされるのは迷惑でした。落ち着いて考えれば、しっかりとした法律事務所にお願いして報酬の見積もりをしておけば、支払う段階において未練は残らなかったのではと後悔しても、ヤニで歯が黄色くなった同期生が目の前で笑っているのを見ると、時既に遅しと諦めなければならないのでしょうか。
 会食の席に戻ると中村刑事と明美が隣同士で盛り上がっています。少し離れたところに幸子の元パトロン横山が聞き耳を立てて鮨をつまんでいる。
「橘さんどこへ行ってたんですか、喪主がいないと話が盛り上がらない、ねえ明美さん」
「橘さん先日はどうも、こういう事情ならあの日に話してくれればよかったのに。それにこのお別れ会のことも。それよりさあ、中村さんと再会できるなんて考えてもみなかったわ」
「お知り合いで?」
「ええ、裸の付き合い。中村さんが川崎署に勤めていた頃よくお店に来てくれたの」
「いいからいいからそんな話は明美さん。お別れ会が終えたら場所を替えてゆっくりと。ねえ橘さん」
 お互いの唾が飛びかかっているのも気にせず、中村と明美は接触するほどに顔を近付けて大笑いしている。誰が明美に知らせたのだろうか?今更そんなことを詮索しても仕方がないが、腹のうちは怒りで煮えくりかえる。しかし中村と明美に面識があるのはショックだった。面識どころか裸の付き合いだとほざいている。この会が終えれば中村は明美を誘い出し、根掘り葉掘り聞き出すに違いない。開けっぴろげな明美はなんの躊躇いも不安も感じずに幸子との関係をべらべらと話してしまうだろう。『自殺ごっこ』に『偽遺書』そんな幸子の危なすぎる人生再生手段にすぐ中村は飛びつく。私は自分の不利な方向に進みやしないかと想像するだけで心臓の鼓動が高まった。私は焦ってきた。私にとって焦りは最大の敵だ。焦れば焦るほど辻褄の合わない嘘を吐く。その嘘を見破られていると気付いても、押し通さなければならない。焦ってアクセントを外し、語尾の発声を曖昧にしてしまっては感付かれてしまう。ここは冷静に、偶然の自殺に翻弄された中年男をサラリと演じなければならない。しかし幸子のことを知りたいと、明美と肌を重ねてしまったことが悔やまれる。
「橘さんこちらは?」
 笑いの収まった中村が田中に手を差し伸べて私に尋ねた。  
「始めまして田中と申します」
 私が紹介するより早く田中は名乗り名刺を差し出した。
「弁護士さんですか?」
「ええ、でも喪主とは大学の同期でして」
「今回相続のことで依頼されているとか?」
「失礼ですが」
「ああ、すいません、職業病とでもいいましょうか、つい首を突っ込む癖がありまして」
 中村が名刺を差し出した。田中はさっと確認して名刺入れに納めた。
「刑事さんですか、この事故を担当された。そうですか、ですがうるさくなりましてね、個人情報ってやつ、迂闊にお答えできないんですよ」
「弁護士さん、あたしにも名刺下さい。相談したいことがあるんです」
 明美が名刺を要求した。田中の顔は笑っているように見えるがそうではない。明美の職業を軽蔑しているのが一目瞭然、その仕草から受け取れる。それを明美も察して恐縮してしまった。そして眼を伏せたまま名刺を受け取った。
「偉い先生らしい明美ちゃん。是非相談に乗ってもらいなさい。橘さんの友達なら安心だ」
 中村が田中を皮肉った。田中は鼻で笑い煙草に火をつけた。しかしそんなことはどうでもいい。問題は私がまだ位置についたばかりだというのに勝手に話は進んで行ってしまう。無理をしてでも手遅れになる前に追いつかなければならない。横山が脂ののったトロを口に頬張りクチャクチャと音を立てている。まだ口の中に魚臭さが残っているうちにビールを煽る。グラスの縁に噛み砕かれた米粒が付いている。おしぼりで口の周りを拭うと私に話しかけてきた。
「景色はいいでしょう、査定はいくらになりました。二億は切ってしまったかな。私が購入したときは三億五千万だった。まったく情けない、あのマンションだけなら立ち直ることもできたでしょうがツキまであのあばずれに持っていかれてしまった」
 横山はまた鮨を口に放り込んだ。巻物には手をつけず高級なものから順に手をつけている。クチャクチャといやらしい咀嚼音は故意に大きくしているとしか考えられない。それは幸子にマンションを掠め取られたせめてもの腹癒せだろうか。
「本日はお忙しい中ありがとうございます。お時間の許す限り故人を偲んでやってください」
「ああそうさせていただく。ところで橘さんでしたか、あんた幸子の相続人だそうだが、あのあばずれが自殺するなんて考えられないんだよなあ俺には。まあしかしそう決着したんだから仕方がないが。いずれあんたのツキも落ちるときが来る」
 聞き耳を立てていた明美が横山にまくし立てた。
「何よあばずれって偉そうに、あんたなんか幸子に捨てられて当然よ。あんなマンションぐらいじゃ幸子がかわいそうよ」
「おうこれはこれはベテラントルコ嬢の明美さんじゃありませんか。お客さんの手前知らん振りしてあげた俺の気遣いが通じなかったようだな。まだ現役らしいじゃないか。ばばあが腰振っても食っていけるまでに景気も回復してきたってことか」
 明美はよっぽど悔しいのかハンカチを噛み締めて化粧室に立った。
「やっぱりばばあだ、今どきハンカチ噛んで悔しがる女はいないよ。ねえ相続人」
 今の今まで、幸子に騙された男としてこの横山を不憫だと思っていたが、言動のひとつひとつ、そして吐き気の催す咀嚼音がそんな思いやりを跡形もなく吹き飛ばしてしまった。一瞬でも同情したことを後悔した。きっと幸子はもっとも現実的な住宅という幸福を手に入れるためこの男に抱かれることをじっと辛抱していたのだろう。我慢に我慢を重ねて、限界まで我慢してあのマンションをその代償として手に入れたのだろう。アルバムに写った裸の五人男の一人がマジックで顔を消されていた。あの男は紛れもなくこの横山であると確信した。今あのアルバムが手元にあったなら、目の前で修正液を垂らしてマジックを消してやりたい。そして鮨折の上に広げて、ここにいる全員で指を差して笑ってやる。
「横山さん、そういう言い方はないんじゃないの。彼女ショックで立ち直れないよ。私も職業が職業だから相談受けたら黙ってやり過ごすわけにはいかない。しょっ引かれて説教のひとつじゃすまないよ。ねえ田中先生」
 田中は中村に振られたことが面倒だったのか、曖昧に頷いただけだった。中村はそれが気に入らなかったのか今度は私に矛先を向けてきた。
「橘さん、あんなこと言われて黙っているんですか?あばずれだよあばずれ、仏になった人つかまえてあばずれはないでしょ」
 私も田中と同様迷惑でした。この話を広げたくない、自然消滅することを望んでいる私にとって、幸子と少しでも関係の合った男とはどんな些細な事においても関わりたくなかった。このお別れ会が済んでしまえば九割方解決したようなものである。後は手続きの進捗を待つだけだ。文書のやりとりだけで対面の作業はなくなる。ここにいる、誰とも接触する必要はなくなるのです。

 正月のお飾りを売る屋台にも活気はありません。昭和の時代には路行く車のほとんどに飾られていましたが、最近ではそれを見かける方が稀になってきました。厳かなる正月は単なる連休と成り下がってしまったのでしょうか。私は仕事納めの二十九日に体調不調を理由に退社願いを提出しました。
「折角頑張ってきたのに惜しいなあ。考え直すことはできないかね」
「はい、これ以上会社に迷惑をかけることは不本意ですので」
「そうか、それほどまでに君の意志が固まっているなら仕方がない。もし考えが変わったらいつでも相談にきなさい」
 お約束である部長の引き留め劇もあっさりしていて、実は二十年間の無駄は私自身ではなく、会社が背負っていたんだと言わんばかりでした。それでも年度内の三月までは有給扱いにしていただいたし、退職金もぎりぎりマンションの残債が整理できる額面でした。住宅ローンがなくなれば三月まで有給であるし、それ以降は失業保険を申請して半年間は食いつなぐことができる。遅くとも夏か初秋には相続の一件は片付くでしょう。
 家内には退社したことをしばらく伏せて置くことにしました。会社からは連絡があるわけではないでしょうし、家内が私の行動を不振に思って会社に連絡するようなことは天地が逆さまになったとしても有り得ません。それにもし知れてしまっても一向に構いません。むしろ不甲斐無い男と三行半を突き付けられればこれ幸い、私を見限ってここから出て行ってしまう、それが私の希望するところでもありますから、肩を窄めてその役、演じ切る自信があります。ただ家内が気付くまでの間、定刻に出勤しなければならないのが面倒といえば面倒な日課になるかもしれませんが、実質手中に収めたマンションの、生理的に苦手な分野である整理整頓を考えるだけで、顔がほころんでしまうのは私が異常者だからでしょうか。
「あなた、お正月休みは?」
「いや特に予定はしていないが、美味いもんでも食いに行こうか」
「あたし実家に行ってきます。あなたもどうですか?」
「うん、今年は遠慮しておこう。君んとこは多くの人が訪ねて来るから、私に気を遣わせては悪いし」
「そうですか、父はあなたと飲むのを楽しみにしているのに残念ね。都合が悪いって伝えておくわ。仕事始めの四日には戻ってきます」
 取りあえず誘う。二人共Noの返事を期待している。声を掛けたが都合が合わずに同行できない。お互いが自身の正当性を訴える謀《はかりごと》です。
 家内がいなければ私もここに戻る必要はまったくなくなる。相続したマンションに比べるとここはウサギ小屋に思えてしまう。いち早く向こうに行って徹夜で大掃除でもして、二十階のリビングで高級ウヰスキーでもくゆらしながら、初日の出でも拝ませていただきましょう。
 重厚なドアを開けて中を見ると、わかってはいてもうんざりしてしまうゴミの山です。ガウンを羽織っての初日の出は来年になるでしょう。ごみ袋を数百枚用意した私はまずリビングの幸子の衣類を詰め込んだ。ブランドには疎い私ですが、そんな私にもこれは高級であると確信できるものがありましたが、選別などせずに袋に詰め込んでは口を結び玄関に近いところに転がしていきました。年内のごみ収集日は終了して、年明けの四日まで持ち出すことはできないので、その間はビニール袋の山に囲まれて過ごさなければなりません。ですがそれが愉快でなりませんでした。
 リビングの至る所に散乱していた衣類は、汚れ物、洗濯済み、或いはクリーニングのビニールカバーがかかったものも一緒くたにしてゴミとして袋詰めしたせいか一晩で片付きました。それだけでリビングの広さを感じることができました。その他の無用な置物飾り物、不必要な家具一切を新春すぐに粗大ゴミとして処分してしまうつもりです。真っ暗だったカーテンがオレンジ色に染まりました。私は手を休め電動のブラインドを開けるとまさに日の出でした。太陽は水平線から上がる、その贅沢をこれから先毎日ソファーにふんぞり返って堪能できるのです。
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