蠱惑

壺の蓋政五郎

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蠱惑『ぐい吞み』

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 クリスマスの売れ残りケーキだろうか、安価で店頭の隅に二つ並んでいる。12月26日は父の命日で忘れることがない。クリスマスだとお前達も都合が悪いだろうとわざわざ一日延ばして逝ったわけでもないだろうが、家族のいる私には実に都合のいい日である。
 キャンプ入り口を過ぎて地蔵坂上でバスを下車した。根岸の競馬場跡が窓から見えるマンションが両親の自宅である。私が十八の時に父と再婚した母が一人で暮らしている。柏葉の家を売ってここに移ったのは八年前である。二人暮らしには大き過ぎる、二間にキッチンで充分だと決めて移転した。そして二年目に父は脳の病で倒れ病院で息を引き取った。母にしてはまさかの出来事であった。ローンはないが手元にはいくらも残らない。還暦前の母はここを売り払い、アパート暮らしをしようかと考えているのを私に相談した。マンションの前で見上げると母が手を振っている。同じ横浜市内に暮らしていても立ち寄る日は年々減り、去年の父の命日に線香をあげに来た以来一年ぶりである。電話口の母の甘い声に妻の桜子がやきもちを妬く。継母であることを知っている桜子は独り身になった母とおかしな関係になりはしないかとそれこそ可笑しな心配をしている。それを女の勘で悟った母は電話を掛ける事も遠慮し出した。曙の和菓子を玄関で渡し父の仏壇に向かう。一本の線香が立っている。母が話し掛けていたに違いない。尊敬はしていないが大好きな父だった。学歴もなく多種多様の職業に就き最終的に仏具の営業として生涯を閉じた。柏葉の山の上で交通の便利も悪いが念願の自宅も購入した。処分したのはバブル期だから異常なほどの好条件で父は飛び上がるほど喜んでいたのを覚えている。仏壇の父に挨拶して居間に行く。
「孝さん、ゆっくりしていけんでしょ」
 私の母になったときからさん付けで呼ばれていた。
「ああ、帰るって言ったってもう用意してんでしょ」
 顔を見合わせて笑った。

  母は父が逝ってから食も細くなったらしい。でもそれが美を増している。薄っすらと化粧をして紅も指している。長い髪を頭の上で丸めていた。私が四十六で母は五十八である。それだけの差を感じないしその差を感じない年齢にになっていた。
「暑い?」
「うん少し」
「26℃にしようか」
「母さんが寒いんじゃないの」
「だいじょぶ、カーディガン羽織るから」
 母は立ち上がり戻る時に盆を下げてきた。中央に氷が収まるガラスの徳利とセットのぐい吞みを二つ置いた。
「はいどうぞ」
 母が両手で傾ける徳利に父のぐい吞みを差し出す。
「母さんもどうだい」
 母は嬉しそうにぐい吞みを差し出した。二十八年前、私が就職して最初の盆休みに帰宅して二人にプレゼントした酒器だった。

『あなた、孝さんよ。上がって、ゆっくりしていけんでしょ』
『おう、早いじゃないか、早い方がいい、じっと我慢してたんだ』
 二人共喜んで迎えてくれた。
『これ、のん兵衛の夫婦にはいいかな思って』
 母は『開けて言い?』と包装紙を丁寧に外した。
『これガラスの徳利とぐい吞みでしょ、素敵ねえあなた。そうだ早速使いましょう』
 母はキッチンで今取り出したばかりの酒器を洗った。中央部に氷を入れて予め冷やしてあるパックの酒を入れ、盆に載せ戻って来た、ちょうど今のように。あの時も髪を上げていた。

「ねえ孝さん、アパートのことだけどどう思う。私一人ではこんな贅沢なとこは要らないと思うの。売却したお金は貯えて置いて、パートでもしようかな」
「母さんの好きにしたらいいさ」
 母の顔は赤くなっていた。ぐい吞みで三杯目、母が注ぐ度に注ぎ返される。徳利の氷が解けて冷酒の温度を保つ機能を維持していない。母は氷を入れ替え序に減った酒を継ぎ足して戻って来た。
「でも桜子さんはどう?義父だけど少しは宛てにしてたりしていない遺産と言うかそういうの」
 桜子はこのマンションのことをよく口にする。継母がもしもの時は一人っ子の私が相続することになる。人気のある場所でバブル期ほどではないが安定した高値で推移している。母が枝豆を剥いて身だけを白い皿に取り出した、あの時と同じように。父がそれを箸で摘まんでいた。私も父のマネをした。

『あなた一人で食べちゃ孝さんの分がなくなるでしょ。孝さんも食べてよ、山形のだだちゃ豆だから美味しいよ』
『目がなくてな、母さんの料理で一番美味い』
『豆が美味しいの、私は塩を振っただけ』
 二人は見つめ合い笑った。徳利の氷が解け始め母が入れ替えた。二人共東北出身で酒は強かった。東北人だからと言うわけではないが、何故か東北人には日本酒が似合う。冬は熱燗、夏は冷やして、『冷酒はお造りにぴったりね』と立ち上がった。
『鮭のお刺身出そうか?』
 また立ち上がりキッチンに向かった。

「そうだ、孝さん鮭のお刺身食べられるわよね?」
「ええ大好きですよ」
 母は立ち上がりキッチンに向かった。ラップを外して座卓に出した。ピンク色をした鮭が薄く切られて皿の模様が見える。
「こないだ虫がいたの、死んでいるから害はないらしいけど気持ち悪いでしょ、だから出来る限り薄く切るの」
「そう、虫嫌いの母さんだから驚いただろうね」
 ゴキブリが出ると畳を裏返してまでスプレーを噴霧していた。
「でも齢と共に虫にも慣れて来たわ。ゴキブリが出たら新聞紙丸めて叩き潰してやるの」
 母は笑いながら言った。
「そりゃ進歩したね」
「お酒で温まってきたわ」
 そう言ってカーディガンを脱いで脇に置いた。

 父が母の脱いだカーディガンを端に寄せた。
『母さん脱げば脱ぎっ放し』
『そうなの、私は脱ぎっ放しの女です』
 母は酔っていた。父は鮭の薄く赤い刺身を箸で摘まみ振った。
『べろべろべろべろー』
 二人は大笑いしている。今度は母が鮭を摘まんだ。
『くちゅくちゅくちゅくちゅー』
 また見つめ合い大笑いしている。
『孝にご飯を出してあげなさいべろべろー』
『わかりましたくちゅくちゅー』
 何が可笑しいのか私に分からなかった。もしかしたら二人の暗号なのかもしれない、そのぐらいの予想はついた。

 あの時の二人の可笑しな暗号はなんだったのだろうか。もう二十七年前のことだから母は忘れているだろう。試してみようか、忘れていれば恥ずかしいし、覚えていればもっと恥ずかしい。私は刺身を摘まんでぶるぶると振った。箸先でいやらしく震える。
「べろべろべろべろー」
 母が不思議そうに見ている。そして箸で鮭を摘まんだ。
「くちゅくちゅくちゅくちゅー」
 母の顔に酒の酔いと違う赤みが差した。

『あなた、駄目よまだ早いし孝さんがいるでしょ』
 母が父にまだ早いと言ったのは早寝の父に私が来ているからもう少し付き合ってあげなさいと言う意味にとっていた。
『孝はご飯食べたら風呂に入りなさい。二階のお前の部屋は母さんが毎日掃除してくれているぞ』
『いいのよ、今日は親子水入らず、さあ孝さんももう少し飲みなさい』
 母が酌してくれた。
『父さんは相変わらず酔うのが早いね』
『早いからいいのよ、健康な証拠』
 父は私の久々の帰宅より母との酒宴を楽しんでいるようだった。私としては嬉しい。両親が仲良くしてくれれば安心して寮生活が送れる。母が鮭を摘まんで父の口の前で『くちゅくちゅ』と言って箸を振るわせた。父は口を開けて『べろべろ』と言って待ち構えていた。

 母さんが鮭を摘まんだ。まさかあの時父とふざけたことを私にするはずはないだろう。私はどうしたらいいのだろうか迷った。ピンクの鮭は私の口元まで近付いた。私があの時の父と同じように大きく口を開けるとぶるぶると震える鮭が私の舌に載る。震える箸が下唇に当たる。そして母は何かを待っている。そうだべろべろの反応。
「くちゅくちゅ」
 母は安心したように笑った。そして大きく口を開けた。まさかお返しだろうか。私は鮭を摘まんだ。そして震わせた。母の口元に近付ける。このまま口に入れてもいいのだろうか。
「く、・・くちゅくちゅ」
 母は上を向いて舌を出した。鮭のピンクより鮮やかなピンクだ。母の舌に載せた。箸を引くときに下唇に触れた。
「べろべろ」
 母が笑った。

『ねえあなた、孝さんあなたに似てきたわね。あなたの若い頃の写真とそっくり』
 母は私と父を交互に見て言った。
『そうかな、わたしの方がいい男でしょべろべろ』
『そんなことないわよ、孝さんの方が若くて素敵よくちゅくちゅ』
 二人共かなり酔っていた。父は肩が揺れて今にも座椅子の背もたれから外れそうである。母は正座から立膝になっていた。裾の広がったスカートだが下着が見えている。父がとうとう背もたれから外れて横になった。しかし倒れしな何かを見つけたのか目は開いている。そして笑っている。何かとは母の下着だった。座卓の下から母の股間は丸見えだ。母は見られていることに気付いているのだろうか。そして立ち上がり台所のガラス戸の向こうでもぞもぞしてすぐに座りまた立膝を付いた。私の位置から見えていた下着が消えた。母がもぞもぞしていたのは下着を脱いでいたのだ。

「孝さん、段々とお父さんに似て来たね、と言うよりそっくり」
 母は遺影の父と私を見比べて言った。私も段々酔いが回って来た。父の座椅子の背もたれから外れそうになる。母は立膝を付いている。膝で捲れ上がるフレアスカートの奥に下着が見える。母は私が見えるのを知っているのだろうか。すると立ち上がり曇りガラスの向こうでもぞもぞと動いてすぐに元の位置に座り立膝を付いた。下着が見えない、いや履いていないのか。
「少し酔いました、ここでちょっと横になる」
 私は肘枕で横になりました。座卓の下から母の股間が丸見えです。

『あなた、そんな体勢で横になっては腰を痛めますよ』
 母は立ち上がり父の上に跨いだ。スカートの丈は長く父の顔まで覆いました。
『大丈夫、このままがいい』
 父は赤ん坊言葉で言いました。
『また、そんなこと言って、いつまでも私がこうしているわけにはいかないでしょ』
 母はスカートを振って笑った。父の左手がない。右手は普通に腰の当たりに落ち着いている。あっ、母のスカートの中に差し込まれているのだ。父の左手が何をしているか分からないが母が壁に手を付いた。

「孝さん、ほらほら、お父さんと同じで酔うとすぐに引っくり返る、その体勢は腰を痛めますよっていつも言っているでしょ」
 いつもって私に向かっては初めて聞いた。あれ待てよ、二十七年前の記憶は私の記憶違いだったのか。母は立ち上がり私の上に跨いだ。スカートの裾が鼻を掠る。
「大丈夫です、この姿勢が楽なんでちゅ」 
 何故か語尾は赤ちゃん言葉にしないと母に悪いような気がした。母はスカートを振った。懐かしい香りがくすぐったい。また振る。何かを催促しているのだろうか。まさか父の左手?そんなことはないだろう。鼻先に雫が垂れた。まさか、左手を伸ばした。生暖かい。中指が吸い込まれて行く。雫が掌から肘まで伝わった。

『お父さんてば孝さんがいるでしょもう』
 母は壁から手を離して右足を四股のように上げて父から離れた。父の左手は突き出したままで、肘まで油に漬けたように蛍光灯に照らされ光っている。母は『暑い暑い』と奥に行き戻って来た時には上半身裸だった。私は目のやり場に困った。しかし横目でしっかりと見ていた。
『孝さんも暑いでしょ、遠慮しないで脱ぎなさい』
『いや大丈夫です』
 実は暑かった。エアコンで室温は安定しているはずだが体温が上昇し汗ばんだ。
『あらあら、あなたも暑いんでしょ。全く世話の焼ける人』
 そう言って父の履いているスウェットをずり下げた。腹部のベルトゴムがでっぱりに引っ掛かる。下向きになりゴムが外れると上に弾けた。母が『ぼよよ~ん』と言って笑った。

「孝さん、お父さんが見てるでしょもう」
 えっ?母が何か勘違いしてる。確かにテレビ台の上にある二人の写真はこっちを向いている。母は右足を上げて私から離れた。私の左腕は天井に向けて伸びている。中指と中指に巻き付く人差し指を離すと粘る糸が引いた。母は暑いから着替えてくると言い、戻って来た時に目を疑った。上半身裸である。私は目のやり場に困るも母が笑うのでつられて笑った。
「孝さんも暑いんでしょ、ほら脱ぎなさい」
「いや大丈夫ですよ僕は」
 母は私の言う事など気にせずズボンのベルトを外しチャックを下ろして下げ始めた。当然パンツのゴムが引っ掛かる。
「ぼよよーん」
 二十七年前に聞いた母の発した言葉を、私は母が言う前に言ってしまった。

『あなた、こんなになって孝さんの前で恥ずかしいわ』
 膝まで擦り下げたスウェットが情けない。
『孝が見ているから隠してくれ』
 父が首を持ち上げて言った。
『はいはい』
 母はあろうことか裸の上半身で父の上に覆い被さった。ゆっさゆっさと房が揺れる。揺れるたびにフレアスカートが捲れ上がる。ついにフレアスカートは腰に巻かれた布状態になった。
『母さん、スカートが捲れているよ』
 私は恥ずかしいが母に言った。
『あら、直して孝さん』
 私は目を背けながらもしっかりと見ていた。そして腰で揺れるフレアスカートを摘まんで露わな母の下半身を隠した。

「あらやだ、こんなになっちゃって孝さんに笑われてしまいますよ」
 あれ、私が孝だと思うんだけど母が勘違いしているのか、いや待てよ、私が勘違いしているのか。
「テレビ台のツーショット写真、父の視線が気になるな」
「あの頃に戻りたいわね」
 そう言って裸の上半身で私の上に覆い被さった。私の上で母の房が揺れる。そしてその揺れによってフレアスカートが少しずつ捲れ上がる。とうとう腰にまとまってしまった。後ろからは丸見えだ、二十七年前は私が戻してあげたが今は誰もいない。それでも言わなければならない。
「母さん、スカートが捲れているよ」
「そのうち孝さんが直してくれるでしょ」
 違う、私が孝だよ。

『母さん、もう少し上に上がってくれないか、母さんの顔が見たい』
 母はゆっくりと父の上を移動して行く。蛾の幼虫が這うように、ふくよかな腹の脂肪が伸びたり縮んだりを繰り返し上って行く。
『そこだ』
 父が叫んだ。その父の言葉と同時にグッチュンと音がした。雌雄セットが定位置に収まったように二人共心地よい顔をしている。
『孝がいるから早く動いちゃ駄目だよ母さん』
『あなたこそ孝君の前で勇み足は駄目よ』
『そうだ孝に動かないように押さえてもらえばいい』
『お願い、孝さん上から押さえて』
 私は仕方なく母のフレアスカートの腰の当たりを両手で抑えつけました。手には上下運動を感じました。

「母さん、起き上がってくれませんか」
 私は離れるように母に言ったつもりだったがうまく通じなかったようだ。母は少しずつ上へ這い上がって来る。ゆっくりと、上半身が伸びて下半身が縮む、幼虫のような動き方。そして恐らく二十七年前に父が感じたベストポジションにもうすぐ嵌る。声を上げなければ母は素通りしてしまいそうだった。
「そこです」
 私は叫んでしまいました。声と同時にグッチョンと音がしました。心棒が定位置に収まった音です。
「母さん、あまり動いてはいけませんよ」
「あなたこそ孝君の前で勇み足は駄目ですよ」
 あれ、母さんは酔っているのかそれとも完全に勘違いしているのか、私のことをあなたと言った。そう言えばテレビ台のツーショット写真は私によく似ている。
「孝さんに動きを抑えてもらいましょう」
「そ、そうだね」
 私は両足を広げ腰に丸まった母のフレアスカートの上を、両踵で強く押さえた。踵には上下運動を感じます。

『た、孝、もっと強く押さえないと駄目だよ、母さんの動きを押さえられないよそれじゃ、父さんがっかりだな、孝はもっと強いと思っていただけに』
 父を落胆させたくなかった 。
『そうよ、孝さん、私のことは気にせずフレアスカートを目いっぱい捲り上げて直に押さえてちょうだい』
私は母に言われた通りフレアスカートを母の腹まで擦り上げました。母は一瞬腹を浮かせてフレアスカートが上がり易く協力してくれました。
『ありがとう母さん』
 聞こえたかどうか。しかしスカートの上からだから押さえられた。直接肌ではなく布が間にあるから押さえられたのに今は何もない。母の白い肌が二つ山のようだ。
『早くしなさい孝、母さんに笑われてしまうよ』
『そうよ孝さん、お父さんは気は長いけどあれは早いのよ』
 よく意味は分からないが母の尻の山を押さえた。強く押さえると山は真っ二つに割れた。いや割れが広がった。そして生温かい空気が上がって来た。臭いに負けて一瞬手を放してしまった。
『どうしたんだ孝、手を放しちゃ駄目じゃないか』
 私はその理由を言えなかった。

「あなた、どうするの」
 母は完全に二十七年前にタイムスリップしている。そして私も父になって行く。そんな気がした。私の心棒は母の宇宙に突き刺さったまま回転した。そして私は父の命により母の胎内に発射され奥深く侵入する。回転が止まると母と座卓を挟んで向かい合っていた。
「ほう、きれいなガラスの徳利だね、それにセットのぐい吞み」
「さあどうぞ」
 注いでくれたのは母だが注がれた私は誰だろう。テレビ台の上には合羽橋で撮った二人のツーショット。間違いなく私である。そうだ窓から根岸の競馬場跡が見えれば私は息子の孝だ。窓を開けた。霧が深く見通せない。仏壇だ仏壇に父の遺影があるはずだ。あった、仏壇だ。よかったやはり父は死んでいたんだ、でも遺影が違う。
「早いものね、もう二十七年目」
「誰が?誰が死んだんだ?」
「孝さんよ、覚えてないの?」
「そうかもうそんなになるのか」
「何を他人事みたいに孝さんたら」
 母は父のぐい吞みに酒を注いでくれた。
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