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祭囃子を追いかけて 19
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「玲ちゃん、玲ちゃんたらまったく」
玲子がカウンターの中で電話をしながら賢治に手を振った。
「社長早いじゃん、下地入れてきた?」
オリーブで料理を注文すると幾らになるか見当がつかない、ママのその日の気分と客足に寄って違う。それに女の子達が便乗して鮨でも頼んだら鮨屋の三倍になって伝票が回ってくる。ここで飲むときは安い店で下地を入れ、腹ごしらえをしっかりしてから入るのが仲間内では暗黙の了解となっている。まして今晩は入所中の仕事の段取りを高橋に頼まなければならない、なんとか半人前のサブを使ってもらう約束を交わさなければならない大事な接待である。従って今晩の飲食代は賢治が持つことになり、高橋が下地を入れて来たかどうかは賢治にとって気になるところであった。
「それがさあ賢ちゃん、家に帰ったら客が来ててさあ、どこにも寄って来れなかったのよう、だから腹ぺこぺこ、なんか食ってもいい?」
高橋の両隣にはギャルがハイエナのように獲物を狙っている。この店のホステスにプロは少なく、ほとんどがOLか大学生で、仕事帰りか学校帰りに軽く稼ぎに来ている。当然食費を浮かすために客にへばり付き、より美味い物、高い物を頼むように仕掛ける。
「じゃあ焼きそばかなんか注文しようか、玲子が来たら言うから」
「焼きそばかあ、あんまり好きじゃないんだよねえ焼きそば」
「あ、だったらお鮨どうですか?ミキも食べたーい。ねえ社長お鮨にしようよ」
高橋の右隣のギャルが彼の太腿を摩りながら言った。
「あたしも食べたーい、お鮨だーい好き、社長お鮨、お鮨、お鮨、お鮨」
鼻の潰れた左隣のギャルがお鮨コールを始めた。
「いらっしゃーいレナでーす」
お鮨コールがすきっ腹を刺激したのか、まだ客のついていないギャルがぞろぞろと賢治達のテーブルに集まってきた。そのうちのギャルと呼ぶには失礼な婦人がしゃがれた声で言った。
「もう、最近の若い子は遠慮という言葉を知らないんだから、この人数で注文したら十人前じゃ足りないわよ、どうなさいますー?」
賢治の肩口に乳首を押し付けて言った。ブラジャーが分厚い素材なのか、乳首よりその縫い目の感触が強かった。
「お母さんお母さん、押さないで」
賢治が逃げると鳩見たいに胸を突き出してくる。
「はーい、お待ちー」
玲子がタイミングよくしゃがれ声の婦人と賢治の間に割り込んだ。
「何盛り上がってんの、あたしも入れてよ、えっ鮨、だめだめこのひとお金ないから、社長お腹空いてんの?だったら焼きそば焼きそば、チーフ、チーフ、焼きそば二つー」
恥はかいたが賢治には助け舟であった。
「いらっしゃーい」
新客の入店と同時に玲子としゃがれ声の婦人以外が移動した。暫くすると聞き覚えのあるお鮨コールが聞こえ、盛大な拍手が起こった。常連ならば問題ないが、髪を横分けにした若い青年はモテまくっている。しゃがれ声の婦人が恨めしそうにそっちを見ている。
「こちら高橋工務店の社長、新人の栄さんです」
玲子が栄を紹介した。
「栄でーす、宜しくお願いしまーす」
でーす、まーすの伸ばすところまで完全にしゃがれていて、浪曲を唸っているように聞こえる。
「新人さん?こりゃどうも」
「かんぱーい、いただきまーす」
「はい、はい乾杯」
高橋は啜る程度にグラスを口にしたが、栄は一気に飲み干して、「ふーっ」と大きな溜息と同時にグラスを揺らして氷を鳴らした。
「お替りいただいてもいいですか?」
「はいどうぞ」
彼女はグラスにヘネシーを七分目ほど注ぎ、大きめの氷をひとつ落とした。高橋の表情が冴えない。
「玲子、誰か呼んでやれよ、大事な話があるんだからよう、まとまるもんもまとまんねえよう、あれじゃあよう」
玲子の耳元で呟いた。栄は、高橋に出されたお通しの肉ジャガのジャガイモを「いただきまーす」と言って一口で頬張った。
「ほひひ~い~」
口の中一杯に広がるでんぷんが邪魔して声にならない。喉に痞えたのかグラスのヘネシーを半分ほど飲み、左手で胸を叩いた。「ウッホーウッホウッホウッホーホー」
栄が胸を叩くのに合わせて賢治がキングコングのまねをした。これは落ち込んだ高橋にも受けて、しらけた場が持ち直した。
「なーに、何が可笑しいの、わかんなーい」
栄はキングコングを本当に知らないのか、それともとぼけているのか、かわいこブリッコしてほっぺを膨らませた。
「ひゃっ」
肉ジャガと水割りが空の胃を刺激したのか、ブリッコ顔はしゃっくりで崩れた。
「あなた面白いわ、本当に面白い、僕好きだなあ君みたいの」
古本屋で面白い本を探し出したときのように栄のキャラクターに高橋は感激した。場は和み、改めて乾杯の音頭を玲子がとった。一本目のヘネシーが無くなるまで栄のしゃっくりが場のリズムを刻んだ。
「なんだ、明君辞めちゃうのか」
賢治の衝撃の告白に高橋はグラスを置いて考え込んだ。玲子が気を利かし、栄に席を外すように指示した。玲子もカウンター内に戻り、カウンター席で足を組んでいる気障な中年の相手を始めた。店の一番奥の席から『いらっしゃーい』としゃがれた声が聞こえた。
「サブかあ、大丈夫かい?いや仕事はいいんだよ、それほど難しい器具の取り付けなんかもないし、問題ないと思うんだが、彼、コミュニケーションとれるかなあうちの職人達と、それが心配なんだ」
賢治が懸念していた問題を高橋から先に指摘された。
「技術力は優れていても親方になれないひとと、碌な仕事しかできないけど親方で成功するひとっているよねえ、サブって損な性格だよなあ。まあまだ若いから突っ張っているところはあるんだろうけどね」
「社長、なんとか頼みますよ、社長しかお願いできる人いないんだ。俺が留守でも北川設備は安泰だってみんなに見せたいんだ。うちの家族が食っていくくらいの金はあたまを下げればなんとでもなる、ただ明にもサブにも恥ずかしい思いをさせたくないんだ」
二本目のヘネシーも残り僅かになった。高橋ももう一杯飲むだろうと予測して、賢治は少し残るように自分のグラスに注いだ。もう一本入れると財布は空になる、ホテル代ぐらいは残しておきたかった。
「わかった、賢ちゃん、でも一日待ってくれ、俺ひとりじゃ決められない、職人達に相談してみる、いや納得させるから」
「ありがとうございます、助かります。これで大手を振って刑務所に行けます、社長ありがとう」
「なに改まって、この町じゃあ賢ちゃんの方が先輩だし、北川設備あっての高橋工務店じゃないの、まあ任せておきなって、安心して臭い飯食ってきなって」
玲子が戻ってきて高橋の水割りを作った。
「あらもうないじゃない、どうする賢ちゃん?」
「そうだなあ、社長時間大丈夫?あんまり遅くなるとまずいんじゃないの」
「大丈夫、大丈夫、今日は賢ちゃんと最後の晩だからって言ったら女房の奴、それじゃあしょうがないわねえ、半年分飲んでいらっしゃいって」
「くわーっさすがだ、どうもありがとうございますってんだ」
賢治は口を尖がらせてボトルのお替りをした。
「いいわよ、あたしの奢り、旅立ちに乾杯」
「旅立ちってそりゃあねえべ」
「そうだよ玲ちゃん、旅と言うより修行に近いな、あたま丸めて、規則正しい生活と粗食、泣きたいくらい羨ましいよ」
「南無阿弥陀仏だっつうの」
栄がよりバージョンアップしたブリッコになって戻ってきた。
「ただいまー、社長おげんこー」
高橋の髪の毛を両手でくしゃくしゃにしながら口を鼻先に近づけて言った。
「うっ、栄ちゃん口臭い」
「そうおう、栄だいじょぶ、あそこのテーブルに残っていたお鮨いただいてきちゃったもんねえ、とろとかウニとかもうなくて、しめ鯖と納豆巻しかなかったの、くちゃい、栄の口、くちゃいですかあ、だいじょうぶー」
「あー気持ち悪くなってきた、おい抜けれるんだろ」
賢治は玲子に顎をしゃくった。
「社長、タクシー呼びますから」
蛸のように絡みつく栄を振りほどきながら高橋は頷いた。
(十九)
「賢治は?」
サキが世津子に聞いた。
「まだ寝てます」
「朝方車が止まる音がしたけどあれがそうでしょう、あたしがおトイレに起きたときだから四時頃だよ、これから酔っぱらい運転で刑務所に入る男がどうしょうもないねえ。世津子さん悪いわねえ、あんなの事故で死んじまえばよかったんだよう、そうすりゃあ保険金で楽できたのにねえ、ご免よう、父親譲りの放蕩もんだから」
洗濯物を干している世津子に、縁側に腰掛けたサキが申し訳なさそうに言った。
「お母さんが謝らなくても、私もう慣れましたから、香織と拓がいるし、それにお母さんが助けてくれるから」
「そうかい、ありがとう、ところで香織から聞いたかい、学校を辞めて料理人になりたいって、昨夜あの子が帰ってきたときお茶入れてあげてね、たまにはおばあちゃんと一緒にお茶でも飲もうよって、テレビ観ながらお茶啜っていたらあの子がね、あたし料理人の修行したいんだけどどう思うってあたしに聞くんだよ。高校卒業してもこの思いは変わらないし、だったら早い方がいいと思うって言うのよ。おばあちゃんの時代に高校なんか行く女はそんなにいなかったからどうってことはないけど、今はどうなの?行かないと友達から仲間外れにされたりしないの?それに料理なんて香織がお嫁さんに行ったら嫌でも毎日作らなければならないんだよって言ったのよ、そしたらね、おばあちゃんが言ってる家庭料理じゃなくて、本格中華料理を勉強したいって言うのよ。お母さんに相談したのかい?友達や先生にも相談してみたかい?自分には思いつかない、いい考えがあるかもしれないよって言ったら、あの子涙いっぱいためてね、わかんないの、どうしたらいいかわかんないのってねえ。おばあちゃんはどうなっても香織の味方だよって背中摩ってあげたら声出して泣き出しちゃってさあ、あたしも寂しくなってね、世津子さんから優しく聞いてみてあげてよ」
「はい」
世津子は香織が自分より先に、サキに相談したことが気になった。拓郎が中学に入学すると拓郎にかかりっきりになり、高校に入学した香織を構わなくなっていた。香織の部屋を母屋に設けてからは、食事も別になってしまった。しかしサキがいるからと特に気にもかけずにいたが、香織は寂しかったに違いない。
「主人にも話した方がいいでしょうねえお母さん?」
「やっぱりそうした方がいいんじゃないだろうかねえ、あんなバカでも父親だから、でも世津子さんがあの子と向かい合って話してあげたら、今すぐにでも、もう起きてるだろうから」
世津子は洗濯物を籠に残したままサキに一礼して母屋の玄関に入った。
「あたしがやっとくよ」
サキはよいしょの掛け声で立ち上がり、洗濯物の皺を伸ばしハンガーに吊るした。
賢治がタオルケットを股間に挟み、昨夜の玲子との余韻に慕っていると、障子が一気に開けられた。陽の光をまともに浴びた。
「あっ、もう少し寝かせてくれよ、商談で遅くなったんだからよう、あっ、なんだおふくろか、どした、なんか用か?」
「何が商談だよう、まったく。世津子さんのこと少しでも考えたことあんのかおまえは、死刑になっちまえばいいんだよ」
「なんだよいきなりよう、死刑になるようなことしてねえっつうのまったくよう、少しは優しくしてくれよ。あと四日で行っちゃうんだよ刑務所に、なんだよ死刑になればいいって、俺だってがんばってんだからみんなの生活のこととか考えて」
「反省してる態度がみえないって言うんだよう、朝方まで飲んで歩って、世津子さんの身にもなってみなさい、ところで拓には話したのかい?囚人になることを」
「囚人て、まだ話してねえよ、明日か明後日話す・・・・祭りのあとに」
ひゃーら、ひゃーらりら、ひゃりらひゃりら、
ひゃあーりら、ひゃーり、ひゃらり
てんてん、てんつく、てん、てん
「もうこんな時間かあ」
「子供達も夏休みになったからねえ。今夜は御仮屋の勤めがあるよ、罪滅ぼしにしっかり番をしてきなさい」
「ああ、わかってるよ」
「香織、入ってもいい?、大事な話があるの、起きてるんでしょう?入るわよ」
香織はヘッドフォーンをあてがい机に向かっていた。世津子に気が付きヘッドフォーンを外した。
「びっくりした、なーにお母さん?」
世津子はこの部屋に入るのは二回目であった。真っ白い壁にはポスターがびっしりと貼られている。天井にもプリクラで撮った小さな写真が星のようにまばらに貼られている。普通のどこにでもいる高校生であることに少し安心した。
「なーにお母さん?じろじろ見ないでよあたしの部屋」
「あっ、あの写真江ノ島で撮ったやつでしょう、海の家『竹内』に始めて行ったときの、おまえがまだ中二のときの」
「だからなあに?そろそろバイトに行くから支度するよ」
「おばあちゃんから聞いたわ、でもその前に竹内さんから聞いていたの」
世津子は正直に言った。香織は暫く沈黙し、世津子に向き直り言った。
「じゃあお父さんも知ってるのね?」
「まだ知らないわ」
竹内から聞いているのに父親が知らないのを不思議に思った。
「夏休み中に退学届け出すつもり、お母さん達には迷惑かけないわ、住み込みで修行するわ」
「あなたが料理の道に進んでいくのはお母さんも反対しないわ、でももう少し考えて、高校を卒業してからでも遅くはないんじゃないの。お父さんも、先生も、たぶん友達もお母さんと同じ意見だと思うわ」
「おばあちゃんは違うわ、どっちにしてもおまえの味方だって、やりたいことが自由にできる世の中だから、人に迷惑がかからなければどんどんやりなさいって」
「おばあちゃんたら、でも心配になってお母さんとこに報告に来たのよ。やっぱりおばあちゃんも高校ぐらいは卒業した方がいいと思っているのよ」
「お母さんさっき竹内さんから聞いたって言ったけどいつ頃聞いたの?」
「もう一週間ぐらい経つかしら、お父さんが御仮屋に務めた翌日だから」
「なんでお父さんには言わなかったの?どうして社長はお父さんに言わなかったのかしら、変じゃない」
世津子は言葉に詰まった。竹内が家に来る途中で、御仮屋の掃除をしているとき遇ったと正直に言えばなんの問題もない。しかし世津子にはその先の、車中での淫らな行為が、簡単な言葉を遮ってしまっていた。どもったり、トーンがあがったり、力が入ってしまうと、事実であっても香織に疑われてしまうと思った。
「香織、お願い、高校だけは卒業して、やっぱりあなたの将来を考えるとその方が絶対にいいと思うのお母さん」
「なんで?お母さん高校卒業して何かよかったことあるの、英語や数学や化学が役にたったことある、主婦やってて?」
「勉強だけじゃないと思うの、たくさん友達作って、お喋りしたり、映画を観たり、好きな先輩に告白したりとか」
「高校じゃなくても職場でも友達できるわ、お喋りもできるし映画も観れるわ、学校より楽しいのよ、料理のこと考えてる方が」
香織の強い視線に世津子は耐え切れず本棚に目を移した。学校で使う参考書の類より、料理の本が多かった。専門学校の案内書が熊のぬいぐるみによりかけてある。
「最近パソコンやってる?」
「チャットぐらいかなあ、お母さんは?、ワード覚えるって言ってたじゃない」
「だめ、手紙でも書こうかと思うけど相手いないし、家計簿も手書きが早いし。それにやろうと思っても夜は拓に占領されてるから」
「あいつゲームばっかりでしょ、あたしがいないときもここでゲームやってるのよ、お母さんからも言っといて、勝手にあたしの部屋に入るなって、あいつお母さんの言うことなら効くから」
「うん。さあ、おばあちゃんも心配してるから行くわ、お願いもう一度考え直して、ね、香織。それと今晩お父さんに話すわ」
「お父さん今度の月曜日でしょ、刑務所行くの。拓に話してないでしょまだ、あの子泣くよきっと。お父さんはそのことであたまがいっぱいだからあたしのことなんか構ってる暇ないわよ」
世津子は立ち上がり部屋を出た。ドアを閉め切る寸前まで香織の強い視線を感じた。
玲子がカウンターの中で電話をしながら賢治に手を振った。
「社長早いじゃん、下地入れてきた?」
オリーブで料理を注文すると幾らになるか見当がつかない、ママのその日の気分と客足に寄って違う。それに女の子達が便乗して鮨でも頼んだら鮨屋の三倍になって伝票が回ってくる。ここで飲むときは安い店で下地を入れ、腹ごしらえをしっかりしてから入るのが仲間内では暗黙の了解となっている。まして今晩は入所中の仕事の段取りを高橋に頼まなければならない、なんとか半人前のサブを使ってもらう約束を交わさなければならない大事な接待である。従って今晩の飲食代は賢治が持つことになり、高橋が下地を入れて来たかどうかは賢治にとって気になるところであった。
「それがさあ賢ちゃん、家に帰ったら客が来ててさあ、どこにも寄って来れなかったのよう、だから腹ぺこぺこ、なんか食ってもいい?」
高橋の両隣にはギャルがハイエナのように獲物を狙っている。この店のホステスにプロは少なく、ほとんどがOLか大学生で、仕事帰りか学校帰りに軽く稼ぎに来ている。当然食費を浮かすために客にへばり付き、より美味い物、高い物を頼むように仕掛ける。
「じゃあ焼きそばかなんか注文しようか、玲子が来たら言うから」
「焼きそばかあ、あんまり好きじゃないんだよねえ焼きそば」
「あ、だったらお鮨どうですか?ミキも食べたーい。ねえ社長お鮨にしようよ」
高橋の右隣のギャルが彼の太腿を摩りながら言った。
「あたしも食べたーい、お鮨だーい好き、社長お鮨、お鮨、お鮨、お鮨」
鼻の潰れた左隣のギャルがお鮨コールを始めた。
「いらっしゃーいレナでーす」
お鮨コールがすきっ腹を刺激したのか、まだ客のついていないギャルがぞろぞろと賢治達のテーブルに集まってきた。そのうちのギャルと呼ぶには失礼な婦人がしゃがれた声で言った。
「もう、最近の若い子は遠慮という言葉を知らないんだから、この人数で注文したら十人前じゃ足りないわよ、どうなさいますー?」
賢治の肩口に乳首を押し付けて言った。ブラジャーが分厚い素材なのか、乳首よりその縫い目の感触が強かった。
「お母さんお母さん、押さないで」
賢治が逃げると鳩見たいに胸を突き出してくる。
「はーい、お待ちー」
玲子がタイミングよくしゃがれ声の婦人と賢治の間に割り込んだ。
「何盛り上がってんの、あたしも入れてよ、えっ鮨、だめだめこのひとお金ないから、社長お腹空いてんの?だったら焼きそば焼きそば、チーフ、チーフ、焼きそば二つー」
恥はかいたが賢治には助け舟であった。
「いらっしゃーい」
新客の入店と同時に玲子としゃがれ声の婦人以外が移動した。暫くすると聞き覚えのあるお鮨コールが聞こえ、盛大な拍手が起こった。常連ならば問題ないが、髪を横分けにした若い青年はモテまくっている。しゃがれ声の婦人が恨めしそうにそっちを見ている。
「こちら高橋工務店の社長、新人の栄さんです」
玲子が栄を紹介した。
「栄でーす、宜しくお願いしまーす」
でーす、まーすの伸ばすところまで完全にしゃがれていて、浪曲を唸っているように聞こえる。
「新人さん?こりゃどうも」
「かんぱーい、いただきまーす」
「はい、はい乾杯」
高橋は啜る程度にグラスを口にしたが、栄は一気に飲み干して、「ふーっ」と大きな溜息と同時にグラスを揺らして氷を鳴らした。
「お替りいただいてもいいですか?」
「はいどうぞ」
彼女はグラスにヘネシーを七分目ほど注ぎ、大きめの氷をひとつ落とした。高橋の表情が冴えない。
「玲子、誰か呼んでやれよ、大事な話があるんだからよう、まとまるもんもまとまんねえよう、あれじゃあよう」
玲子の耳元で呟いた。栄は、高橋に出されたお通しの肉ジャガのジャガイモを「いただきまーす」と言って一口で頬張った。
「ほひひ~い~」
口の中一杯に広がるでんぷんが邪魔して声にならない。喉に痞えたのかグラスのヘネシーを半分ほど飲み、左手で胸を叩いた。「ウッホーウッホウッホウッホーホー」
栄が胸を叩くのに合わせて賢治がキングコングのまねをした。これは落ち込んだ高橋にも受けて、しらけた場が持ち直した。
「なーに、何が可笑しいの、わかんなーい」
栄はキングコングを本当に知らないのか、それともとぼけているのか、かわいこブリッコしてほっぺを膨らませた。
「ひゃっ」
肉ジャガと水割りが空の胃を刺激したのか、ブリッコ顔はしゃっくりで崩れた。
「あなた面白いわ、本当に面白い、僕好きだなあ君みたいの」
古本屋で面白い本を探し出したときのように栄のキャラクターに高橋は感激した。場は和み、改めて乾杯の音頭を玲子がとった。一本目のヘネシーが無くなるまで栄のしゃっくりが場のリズムを刻んだ。
「なんだ、明君辞めちゃうのか」
賢治の衝撃の告白に高橋はグラスを置いて考え込んだ。玲子が気を利かし、栄に席を外すように指示した。玲子もカウンター内に戻り、カウンター席で足を組んでいる気障な中年の相手を始めた。店の一番奥の席から『いらっしゃーい』としゃがれた声が聞こえた。
「サブかあ、大丈夫かい?いや仕事はいいんだよ、それほど難しい器具の取り付けなんかもないし、問題ないと思うんだが、彼、コミュニケーションとれるかなあうちの職人達と、それが心配なんだ」
賢治が懸念していた問題を高橋から先に指摘された。
「技術力は優れていても親方になれないひとと、碌な仕事しかできないけど親方で成功するひとっているよねえ、サブって損な性格だよなあ。まあまだ若いから突っ張っているところはあるんだろうけどね」
「社長、なんとか頼みますよ、社長しかお願いできる人いないんだ。俺が留守でも北川設備は安泰だってみんなに見せたいんだ。うちの家族が食っていくくらいの金はあたまを下げればなんとでもなる、ただ明にもサブにも恥ずかしい思いをさせたくないんだ」
二本目のヘネシーも残り僅かになった。高橋ももう一杯飲むだろうと予測して、賢治は少し残るように自分のグラスに注いだ。もう一本入れると財布は空になる、ホテル代ぐらいは残しておきたかった。
「わかった、賢ちゃん、でも一日待ってくれ、俺ひとりじゃ決められない、職人達に相談してみる、いや納得させるから」
「ありがとうございます、助かります。これで大手を振って刑務所に行けます、社長ありがとう」
「なに改まって、この町じゃあ賢ちゃんの方が先輩だし、北川設備あっての高橋工務店じゃないの、まあ任せておきなって、安心して臭い飯食ってきなって」
玲子が戻ってきて高橋の水割りを作った。
「あらもうないじゃない、どうする賢ちゃん?」
「そうだなあ、社長時間大丈夫?あんまり遅くなるとまずいんじゃないの」
「大丈夫、大丈夫、今日は賢ちゃんと最後の晩だからって言ったら女房の奴、それじゃあしょうがないわねえ、半年分飲んでいらっしゃいって」
「くわーっさすがだ、どうもありがとうございますってんだ」
賢治は口を尖がらせてボトルのお替りをした。
「いいわよ、あたしの奢り、旅立ちに乾杯」
「旅立ちってそりゃあねえべ」
「そうだよ玲ちゃん、旅と言うより修行に近いな、あたま丸めて、規則正しい生活と粗食、泣きたいくらい羨ましいよ」
「南無阿弥陀仏だっつうの」
栄がよりバージョンアップしたブリッコになって戻ってきた。
「ただいまー、社長おげんこー」
高橋の髪の毛を両手でくしゃくしゃにしながら口を鼻先に近づけて言った。
「うっ、栄ちゃん口臭い」
「そうおう、栄だいじょぶ、あそこのテーブルに残っていたお鮨いただいてきちゃったもんねえ、とろとかウニとかもうなくて、しめ鯖と納豆巻しかなかったの、くちゃい、栄の口、くちゃいですかあ、だいじょうぶー」
「あー気持ち悪くなってきた、おい抜けれるんだろ」
賢治は玲子に顎をしゃくった。
「社長、タクシー呼びますから」
蛸のように絡みつく栄を振りほどきながら高橋は頷いた。
(十九)
「賢治は?」
サキが世津子に聞いた。
「まだ寝てます」
「朝方車が止まる音がしたけどあれがそうでしょう、あたしがおトイレに起きたときだから四時頃だよ、これから酔っぱらい運転で刑務所に入る男がどうしょうもないねえ。世津子さん悪いわねえ、あんなの事故で死んじまえばよかったんだよう、そうすりゃあ保険金で楽できたのにねえ、ご免よう、父親譲りの放蕩もんだから」
洗濯物を干している世津子に、縁側に腰掛けたサキが申し訳なさそうに言った。
「お母さんが謝らなくても、私もう慣れましたから、香織と拓がいるし、それにお母さんが助けてくれるから」
「そうかい、ありがとう、ところで香織から聞いたかい、学校を辞めて料理人になりたいって、昨夜あの子が帰ってきたときお茶入れてあげてね、たまにはおばあちゃんと一緒にお茶でも飲もうよって、テレビ観ながらお茶啜っていたらあの子がね、あたし料理人の修行したいんだけどどう思うってあたしに聞くんだよ。高校卒業してもこの思いは変わらないし、だったら早い方がいいと思うって言うのよ。おばあちゃんの時代に高校なんか行く女はそんなにいなかったからどうってことはないけど、今はどうなの?行かないと友達から仲間外れにされたりしないの?それに料理なんて香織がお嫁さんに行ったら嫌でも毎日作らなければならないんだよって言ったのよ、そしたらね、おばあちゃんが言ってる家庭料理じゃなくて、本格中華料理を勉強したいって言うのよ。お母さんに相談したのかい?友達や先生にも相談してみたかい?自分には思いつかない、いい考えがあるかもしれないよって言ったら、あの子涙いっぱいためてね、わかんないの、どうしたらいいかわかんないのってねえ。おばあちゃんはどうなっても香織の味方だよって背中摩ってあげたら声出して泣き出しちゃってさあ、あたしも寂しくなってね、世津子さんから優しく聞いてみてあげてよ」
「はい」
世津子は香織が自分より先に、サキに相談したことが気になった。拓郎が中学に入学すると拓郎にかかりっきりになり、高校に入学した香織を構わなくなっていた。香織の部屋を母屋に設けてからは、食事も別になってしまった。しかしサキがいるからと特に気にもかけずにいたが、香織は寂しかったに違いない。
「主人にも話した方がいいでしょうねえお母さん?」
「やっぱりそうした方がいいんじゃないだろうかねえ、あんなバカでも父親だから、でも世津子さんがあの子と向かい合って話してあげたら、今すぐにでも、もう起きてるだろうから」
世津子は洗濯物を籠に残したままサキに一礼して母屋の玄関に入った。
「あたしがやっとくよ」
サキはよいしょの掛け声で立ち上がり、洗濯物の皺を伸ばしハンガーに吊るした。
賢治がタオルケットを股間に挟み、昨夜の玲子との余韻に慕っていると、障子が一気に開けられた。陽の光をまともに浴びた。
「あっ、もう少し寝かせてくれよ、商談で遅くなったんだからよう、あっ、なんだおふくろか、どした、なんか用か?」
「何が商談だよう、まったく。世津子さんのこと少しでも考えたことあんのかおまえは、死刑になっちまえばいいんだよ」
「なんだよいきなりよう、死刑になるようなことしてねえっつうのまったくよう、少しは優しくしてくれよ。あと四日で行っちゃうんだよ刑務所に、なんだよ死刑になればいいって、俺だってがんばってんだからみんなの生活のこととか考えて」
「反省してる態度がみえないって言うんだよう、朝方まで飲んで歩って、世津子さんの身にもなってみなさい、ところで拓には話したのかい?囚人になることを」
「囚人て、まだ話してねえよ、明日か明後日話す・・・・祭りのあとに」
ひゃーら、ひゃーらりら、ひゃりらひゃりら、
ひゃあーりら、ひゃーり、ひゃらり
てんてん、てんつく、てん、てん
「もうこんな時間かあ」
「子供達も夏休みになったからねえ。今夜は御仮屋の勤めがあるよ、罪滅ぼしにしっかり番をしてきなさい」
「ああ、わかってるよ」
「香織、入ってもいい?、大事な話があるの、起きてるんでしょう?入るわよ」
香織はヘッドフォーンをあてがい机に向かっていた。世津子に気が付きヘッドフォーンを外した。
「びっくりした、なーにお母さん?」
世津子はこの部屋に入るのは二回目であった。真っ白い壁にはポスターがびっしりと貼られている。天井にもプリクラで撮った小さな写真が星のようにまばらに貼られている。普通のどこにでもいる高校生であることに少し安心した。
「なーにお母さん?じろじろ見ないでよあたしの部屋」
「あっ、あの写真江ノ島で撮ったやつでしょう、海の家『竹内』に始めて行ったときの、おまえがまだ中二のときの」
「だからなあに?そろそろバイトに行くから支度するよ」
「おばあちゃんから聞いたわ、でもその前に竹内さんから聞いていたの」
世津子は正直に言った。香織は暫く沈黙し、世津子に向き直り言った。
「じゃあお父さんも知ってるのね?」
「まだ知らないわ」
竹内から聞いているのに父親が知らないのを不思議に思った。
「夏休み中に退学届け出すつもり、お母さん達には迷惑かけないわ、住み込みで修行するわ」
「あなたが料理の道に進んでいくのはお母さんも反対しないわ、でももう少し考えて、高校を卒業してからでも遅くはないんじゃないの。お父さんも、先生も、たぶん友達もお母さんと同じ意見だと思うわ」
「おばあちゃんは違うわ、どっちにしてもおまえの味方だって、やりたいことが自由にできる世の中だから、人に迷惑がかからなければどんどんやりなさいって」
「おばあちゃんたら、でも心配になってお母さんとこに報告に来たのよ。やっぱりおばあちゃんも高校ぐらいは卒業した方がいいと思っているのよ」
「お母さんさっき竹内さんから聞いたって言ったけどいつ頃聞いたの?」
「もう一週間ぐらい経つかしら、お父さんが御仮屋に務めた翌日だから」
「なんでお父さんには言わなかったの?どうして社長はお父さんに言わなかったのかしら、変じゃない」
世津子は言葉に詰まった。竹内が家に来る途中で、御仮屋の掃除をしているとき遇ったと正直に言えばなんの問題もない。しかし世津子にはその先の、車中での淫らな行為が、簡単な言葉を遮ってしまっていた。どもったり、トーンがあがったり、力が入ってしまうと、事実であっても香織に疑われてしまうと思った。
「香織、お願い、高校だけは卒業して、やっぱりあなたの将来を考えるとその方が絶対にいいと思うのお母さん」
「なんで?お母さん高校卒業して何かよかったことあるの、英語や数学や化学が役にたったことある、主婦やってて?」
「勉強だけじゃないと思うの、たくさん友達作って、お喋りしたり、映画を観たり、好きな先輩に告白したりとか」
「高校じゃなくても職場でも友達できるわ、お喋りもできるし映画も観れるわ、学校より楽しいのよ、料理のこと考えてる方が」
香織の強い視線に世津子は耐え切れず本棚に目を移した。学校で使う参考書の類より、料理の本が多かった。専門学校の案内書が熊のぬいぐるみによりかけてある。
「最近パソコンやってる?」
「チャットぐらいかなあ、お母さんは?、ワード覚えるって言ってたじゃない」
「だめ、手紙でも書こうかと思うけど相手いないし、家計簿も手書きが早いし。それにやろうと思っても夜は拓に占領されてるから」
「あいつゲームばっかりでしょ、あたしがいないときもここでゲームやってるのよ、お母さんからも言っといて、勝手にあたしの部屋に入るなって、あいつお母さんの言うことなら効くから」
「うん。さあ、おばあちゃんも心配してるから行くわ、お願いもう一度考え直して、ね、香織。それと今晩お父さんに話すわ」
「お父さん今度の月曜日でしょ、刑務所行くの。拓に話してないでしょまだ、あの子泣くよきっと。お父さんはそのことであたまがいっぱいだからあたしのことなんか構ってる暇ないわよ」
世津子は立ち上がり部屋を出た。ドアを閉め切る寸前まで香織の強い視線を感じた。
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