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17 働かざる者食うべからず②
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気を取り直すように頭を振った男は、すぐに人好きのする笑みを作って隼斗に向き直る。
「なんだ、ちゃんと伝わるじゃねぇか。おまえ、なんのためにしゃべれないフリなんかしていやがったんだ。……えっ?」
サミーラが、恋人の腕を引く。早口で何かささやいているが、彼女のことばは隼斗にはまるで分からない。
男の表情が、再びくぐもっていく。なぁボウズ、と男は隼斗に顔を近づけた。
「おまえのことばが理解できるのは、どうやらおれだけらしい。……不思議なことだがな」
「あの、あなたは日本語を……話せるの?」
声を出すのさえもどかしく、隼斗は男を見上げた。
「ニホンゴ?」
「ぼく日本から来たんだ! 家族といっしょに。エレベーターに乗ったら砂漠に着いて、そしたらサンドワームに襲われて……」
「ちょっと、待て。ニホンなんてチームは聞いたことがないな。何の作業をするためのチームだ?」
男は穴の開くほど隼斗の顔を凝視しながら、首をかしげている。
「チームじゃなくて、日本だよ、日本! 国のことだよ。ぼくたちは家族でここに来たんだよ、エレベーターに乗って!」
「その、エレなんとかってやつは、どういう動物だ? ロバの新種か?」
「ふざけないでよ、エレベーターはロバじゃないよ! 階段の代わりに自動で上に……いや、楽に運んでくれる箱みたいな……あぁ、違う。なんて言ったらいんだろう」
隼斗はあたふたと地団太を踏んだ。
「そうだ、青スーツの男のこと、知らない? サンドワームは?」
「ちょっと待て、そんなに一気に言われても分からないぞ」
矢継ぎ早にまくし立てられ困惑した男は、片手を上げて隼斗を制した。
「でも!」
あせった隼斗は男の胸倉を引っつかむ。その指先が、男の首にかけられていた丸い金属に触れる。
生暖かい風が、隼斗の後ろから吹き付けた。
「ことばが通じないなんて、奇妙な子だよ。あの子供はどこから来たんだろうねえ」
「まさか盗賊にでも襲われて、気が変になっちまったんじゃないのかね」
「悪魔の使いじゃないだろうね。あぁ、気味が悪い」
「なんだ、ちゃんと伝わるじゃねぇか。おまえ、なんのためにしゃべれないフリなんかしていやがったんだ。……えっ?」
サミーラが、恋人の腕を引く。早口で何かささやいているが、彼女のことばは隼斗にはまるで分からない。
男の表情が、再びくぐもっていく。なぁボウズ、と男は隼斗に顔を近づけた。
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「あの、あなたは日本語を……話せるの?」
声を出すのさえもどかしく、隼斗は男を見上げた。
「ニホンゴ?」
「ぼく日本から来たんだ! 家族といっしょに。エレベーターに乗ったら砂漠に着いて、そしたらサンドワームに襲われて……」
「ちょっと、待て。ニホンなんてチームは聞いたことがないな。何の作業をするためのチームだ?」
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「そうだ、青スーツの男のこと、知らない? サンドワームは?」
「ちょっと待て、そんなに一気に言われても分からないぞ」
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「でも!」
あせった隼斗は男の胸倉を引っつかむ。その指先が、男の首にかけられていた丸い金属に触れる。
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「ことばが通じないなんて、奇妙な子だよ。あの子供はどこから来たんだろうねえ」
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