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22 むき出しの悪意②
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嫌悪の輪が確実に広がっていくのを、隼斗は敏感に感じて取る。
「おまえの仕事は、そこにある石灰岩を磨くことだ」
アゴでさされた方を見やると、隼斗より大きな体をした青年たちが道具を使って石を削っているところだった。
「それは外装用の貴重な石材だ。おまえが磨いた石を、おれたちが運ぶ。いいか、何ひとつ粗末に扱うんじゃないぞ」
アムルは、意地悪そうな光を目の奥にたたえた。
「さぼるなよ、必死に働くんだ。それこそ……奴隷のようにな」
無遠慮な笑い声に追い立てられ、隼斗は返事をすることさえもできずに、追い立てられた。
日よけの中に入り、懸命に石を磨いていく。
太陽が空のてっぺんに近づいたころ、隼斗はようやく石磨きの作業から開放された。腕はひどくしびれていたし、立ちっぱなしで重たくなった足は自分のものでないように感じられる。
それでも時おり様子を見にくるアムルが舌打ちしていたのを見ると、どうやら隼斗は順調に作業をこなしているらしい。
「へへっ、リトルリーグチャンピオンをなめんなよ」
得意げな隼斗の腕を、分厚いヒゲを蓄えた男が引いた。ひと仕事終え、安心しきった隼斗は、もう帰れるのではないかと期待する。
それでも、むき出しの悪意を込めてヒゲ男が笑うのを見て、気が遠くなった。きっとこれから、何か大変な仕事を押し付けられるのだろうと思えた。
ヒゲの男は隼斗の腕をつかみ取ったまま、傾斜路を上り始める。まさか、と嫌な予感が頭をよぎった。
「来たな、奴隷」
傾斜路の先の広場で、アムルが笑う。
「呼んだのはそっちじゃないか」
いら立ちながらも、こうして会話できることがうれしい。
「なんだ。まだ元気そうじゃないか」
怠け者、とさげすまれたように感じて、隼斗は唇を固く引き結ぶ。
「こっちは人手が足りない。おまえも、手伝っていけ」
あたりまえのように追いたてて、アムルは石を引く大人の列に隼斗を放り込んだ。
自動車ほどもあろうかという石のかたまりは、丈夫なロープで木製のそりにくくりつけてある。
「おまえの仕事は、そこにある石灰岩を磨くことだ」
アゴでさされた方を見やると、隼斗より大きな体をした青年たちが道具を使って石を削っているところだった。
「それは外装用の貴重な石材だ。おまえが磨いた石を、おれたちが運ぶ。いいか、何ひとつ粗末に扱うんじゃないぞ」
アムルは、意地悪そうな光を目の奥にたたえた。
「さぼるなよ、必死に働くんだ。それこそ……奴隷のようにな」
無遠慮な笑い声に追い立てられ、隼斗は返事をすることさえもできずに、追い立てられた。
日よけの中に入り、懸命に石を磨いていく。
太陽が空のてっぺんに近づいたころ、隼斗はようやく石磨きの作業から開放された。腕はひどくしびれていたし、立ちっぱなしで重たくなった足は自分のものでないように感じられる。
それでも時おり様子を見にくるアムルが舌打ちしていたのを見ると、どうやら隼斗は順調に作業をこなしているらしい。
「へへっ、リトルリーグチャンピオンをなめんなよ」
得意げな隼斗の腕を、分厚いヒゲを蓄えた男が引いた。ひと仕事終え、安心しきった隼斗は、もう帰れるのではないかと期待する。
それでも、むき出しの悪意を込めてヒゲ男が笑うのを見て、気が遠くなった。きっとこれから、何か大変な仕事を押し付けられるのだろうと思えた。
ヒゲの男は隼斗の腕をつかみ取ったまま、傾斜路を上り始める。まさか、と嫌な予感が頭をよぎった。
「来たな、奴隷」
傾斜路の先の広場で、アムルが笑う。
「呼んだのはそっちじゃないか」
いら立ちながらも、こうして会話できることがうれしい。
「なんだ。まだ元気そうじゃないか」
怠け者、とさげすまれたように感じて、隼斗は唇を固く引き結ぶ。
「こっちは人手が足りない。おまえも、手伝っていけ」
あたりまえのように追いたてて、アムルは石を引く大人の列に隼斗を放り込んだ。
自動車ほどもあろうかという石のかたまりは、丈夫なロープで木製のそりにくくりつけてある。
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