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32 太陽を背負った男②
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隼斗はシュンのメダルを見つめ、本当に自分の持っていたものと似ているな、と再確認した。
その視線に気づいたシュンの目が、いぶかし気に曇る。なんでもないよ、と言いながら、隼斗は立ち上がった。
隼斗のメダルを奪ったアムル。シュンはさらにそれを手に入れたのか。だとしたら、それを隼斗に返す心づもりでいるのだろうか。
彼ならばきっと、自分を助けてくれるに違いないという幻想まで持ち始めていた。
ふたりは、ゆったりと歩き始める。隼斗はとりとめのない話を続け、最後には少年野球チームのことまで説明した。
だが、そのどれよりもシュンが興味を持ったのは、家族の消息についてだった。
「どこにいるのか分からないんだよ。サンドワームに追われたときに、別れたきりだから」
シュンは不服そうに、その後も何度も家族の消息、特に姉のアカネの話を聞きたがった。
あのときのことを思い出そうと、隼斗も何度も首をひねる。
「急に襲われて必死だったし、ぼくは転んでみんなとはぐれてしまったから」
野球帽をかぶった父。互いをかばい合うように走っていた、母とアカネ。
「そうだ。姉ちゃん、ボディバッグに鈴のストラップを付けていたっけ。金と銀のリボンを巻いたやつ。きっとあのバケモノは、鈴に引かれて姉ちゃんたちのほうを追いかけたんだろうなあ」
鈴は、まさにシュンのものと瓜二つ。
「同じもの?」
口にこそ出さないが、きっとシュンは姉の消息を知っているのではないか。それならば、やはり彼に付いてギザに戻るしか道はない。覚悟を決めた隼斗は、足早に先を行くシュンを追った。
やがて、ピラミッド建設現場を一望できる砂丘のてっぺんまで戻ると、シュンが「間に合った」と、息を吐き出した。
何が、とは聞き返さなかった。飾り立てた隊列が、広場を行くのが見えたのだ。
「視察の一行だよ。中央の輿に持っているのが大王クフ。横にいるのが、王の従兄弟のヘムオン」
手をかざして笑う彼の指先を眺め、隼斗は首をかしげた。その名は、つい最近どこかで聞いた覚えがある。
「近くまで行ってみようか」
「でも、アムルに見つかったら……」
腰が引ける隼斗の肩を強くたたき付け、シュンは大丈夫だと繰り返した。
「ここにどれだけの人間がいると思うのだ。心配せずとも、鉢合わせすることはないだろう」
その視線に気づいたシュンの目が、いぶかし気に曇る。なんでもないよ、と言いながら、隼斗は立ち上がった。
隼斗のメダルを奪ったアムル。シュンはさらにそれを手に入れたのか。だとしたら、それを隼斗に返す心づもりでいるのだろうか。
彼ならばきっと、自分を助けてくれるに違いないという幻想まで持ち始めていた。
ふたりは、ゆったりと歩き始める。隼斗はとりとめのない話を続け、最後には少年野球チームのことまで説明した。
だが、そのどれよりもシュンが興味を持ったのは、家族の消息についてだった。
「どこにいるのか分からないんだよ。サンドワームに追われたときに、別れたきりだから」
シュンは不服そうに、その後も何度も家族の消息、特に姉のアカネの話を聞きたがった。
あのときのことを思い出そうと、隼斗も何度も首をひねる。
「急に襲われて必死だったし、ぼくは転んでみんなとはぐれてしまったから」
野球帽をかぶった父。互いをかばい合うように走っていた、母とアカネ。
「そうだ。姉ちゃん、ボディバッグに鈴のストラップを付けていたっけ。金と銀のリボンを巻いたやつ。きっとあのバケモノは、鈴に引かれて姉ちゃんたちのほうを追いかけたんだろうなあ」
鈴は、まさにシュンのものと瓜二つ。
「同じもの?」
口にこそ出さないが、きっとシュンは姉の消息を知っているのではないか。それならば、やはり彼に付いてギザに戻るしか道はない。覚悟を決めた隼斗は、足早に先を行くシュンを追った。
やがて、ピラミッド建設現場を一望できる砂丘のてっぺんまで戻ると、シュンが「間に合った」と、息を吐き出した。
何が、とは聞き返さなかった。飾り立てた隊列が、広場を行くのが見えたのだ。
「視察の一行だよ。中央の輿に持っているのが大王クフ。横にいるのが、王の従兄弟のヘムオン」
手をかざして笑う彼の指先を眺め、隼斗は首をかしげた。その名は、つい最近どこかで聞いた覚えがある。
「近くまで行ってみようか」
「でも、アムルに見つかったら……」
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